『マーベル・ライバルズ』がマルチバースにおいて最高のヒーローシューターを目指す方法
2024.12.2
執筆:寄稿者:クリス・ベイカー
間接的な示唆は全くありません。トレーラーを視聴していた誰にとっても、本作がテンポの速いヒーローシューターゲーム━━もとい、「インクレディブル」なキャラや「アメイジング」なキャラ、不気味なキャラや無敵なキャラなど、マーベルのさまざまなヒーローとヴィランが登場する、テンポの速いスーパーヒーローシューターであることは明らかでした。私たちはキャラクターたちが協力し合い、建物が崩壊していく様子を目撃しました。そしてそのすべてが、東洋の影響を取り入れているだけでなく、何十年も愛されてきたキャラクターたちに新鮮なひねりを加えた印象的なアートスタイルで描かれています。この新鮮なスタイルは、12月6日金曜日(米国時間)に『マーベル・ライバルズ』がリリースされる際に、ヒーローシューターゲームのジャンル全体にも広がります。
チームは、競争の激しいヒーローシュータージャンルで成功するための鍵として、Marvelを最大限に活用することの重要性を強調しています。「私たちは、『このゲームはどんな物語を語るのか?』という疑問に答える必要がありました」と振り返るのは、ゲームのリードナラティブデザイナーであるジンホア氏。「Marvelの名前を冠したゲームとして、こうした期待に応えなければならないと感じました」

キャラクターをかっこよく見せたり、印象的な方法でパワーを発揮させたりすること以上に(いずれもゲームに豊富に含まれていますが)、『マーベル・ライバルズ』は明らかにストーリーを重視しています。ゲームを起動したら数分間ハルクになって蜘蛛の糸をかわすだけだと思っていた人は驚くかもしれません。マーベル・マルチバースはストーリーがすべての中心にある世界であり、今後何年も定期的にプレイしたくなるゲームを作成するためための場所ですが、NetEaseは、全体的なゲームデザインからストーリー展開に至るまで、ここで独自の地位を確立しています。
「私たちは世界観を確立した後、Marvelチームと物語のデザインについて綿密に話し合いました」とジンホア氏は説明します。「私たちが提示したのは、没入感のある世界、素晴らしいビジュアル、そして広範囲に及ぶ影響力を持つ物語体験というビジョンです。私たちの目標は、物語の要素をPvPのゲームプレイに織り込むことで従来のストーリーテリングを超えた、プレイヤーが理解できる争いの背後にある理由を提供し、ゲームのあらゆる部分に魅力的な要素を加えることでした」
クラスの選択肢
ジンホア氏が言及するPvPのゲームプレイは、ヒーローシューターの熟練プレイヤーには馴染み深いものです。『マーベル・ライバルズ』は6対6の戦闘と三人称視点を組み合わせています。この混沌とした戦場で成功するには、バンガード、ファイター、ストラテジストの3つのクラスのバランスが取れているチームである必要があります。「最高のチーム構成を1つだけ特定するのは難しいです」と話すのは、リード戦闘デザイナーのジヨン氏。「より高いレベルのプレイでは、チーム構成は対戦相手の構成とチームメイトがどのロールを好むかによって決まります。このダイナミックな意思決定が、ゲームを魅力的で多様性に富んだものにしています」

キャラクターを特定のクラスに割り当てるという要素は、『マーベル・ライバルズ』の物語の枠組みよりも、ゲームプレイの仕組みにMarvelのヒーローを適応させることをNetEaseが優先した、数少ない例のひとつであるように思われます。一部のヒーローは予想どおりの役割を果たします。強靭なソーはヴァンガードとして神のような正確さで戦場でタンクの役割を果たし、スカーレット・ウィッチはファイターとして魔法で火力を発揮するDPSとして機能し、ロキはストラテジストとして狡猾さをもってチームメイト(とおそらく自身の策略)をサポートします。
それでも、ハルクのような一見明白なクラス割り当てでさえ、予想外のひねりが加えられています。「ヴァンガードとして、ハルクの能力は並外れた回復力と防御力を強調するように設計されています」とジヨン氏は説明します。このキャラクターは、ヒーローのハルク、破壊的なモンスター形態のハルク、さらにはガンマガンを装備した弱小に見える人間形態のバナーなど、複数の形態を取ります。「彼のスーパージャンプは素早い追跡や戦線離脱を可能にし、アルティメットの形態では大ダメージを与えます。このヴァンガードのデザインのおかげで、ハルクの力が持つさまざまな側面を探求し、紹介することを可能にしています」

他のクラス割り当てには驚くかもしれません。たとえば、実際のDPSとして知られるある小さなキャラはファイターだろうと考えるのではないでしょうか。「現在、ロケット・ラクーンは、従来の描写から最もかけ離れたキャラクターです」と話すジヨン氏は、ハーフ・ワールドの住人をストラテジストにした理由をこう説明します。「彼のゲームプレイを作り上げていくなかで、私たちは『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』の天才エンジニアとしてのアイデンティティを重視しました。トレードマークであるジェットパックと強力な銃器はそのままに、チームをサポートするための独創的なガジェットを数多く装備し、グループの関係性における彼の重要な役割を反映させています」
スパイディ、一緒に協力し合おう
ロケットのすごいところは他に何かご存知ですか?『マーベル・ライバルズ』の傑出したゲームプレイ機能のひとつとして、コミックや映画のようにグルートの肩に乗ってパワーをさらに高めることができます。これは、特定のキャラクターが強みを組み合わせて能力を強化できる「連携」メカニズム(この場合は「X星の仲間」)の一例です。

「連携スキルは、マーベルユニバース全体に見られる強い絆と協力精神からインスピレーションを得ています」とジヨン氏は説明します。「私たちのチームとMarvelの両方が採用したこのデザインアプローチは、本物のMarvel体験を提供すると同時に、新しいゲームプレイの可能性を切り開くための優れた手段となります。連携のデザインは、キャラクター間のインタラクションを深く掘り下げることから始めました。これには、グルートの肩に乗るロケット・ラクーンをはじめとする象徴的な組み合わせや、ハルクのガンマエネルギーがアイアンマンとドクター・ストレンジを強化したり、ヴェノムのシンビオートがペニー・パーカーとスパイダーマンを強化したりする能力ベースの相乗効果が含まれます」
しかし…自分がヴェノムをプレイしていて、誰もペニーやスパイダーマンを選ばなかったらどうなるのでしょうか?トニーをプレイしていてもスティーヴンがいときや、ロケット・ラクーンにグルートがいない場合は?自分のチームにどのヒーローがいるかをコントロールできない場合、連携は実際にどれほど重要になるのでしょうか?ジヨン氏はこう説明します。「私たちは、初期のデザイン段階でこの懸念を考慮しました。これに対処するために、2~3人のキャラクターの組み合わせを開発し、より小さなグループ内で連携スキルを発動しやすくしました」
ハルクスマッシュ!!(この場合は「みんなスマッシュ」ですが)
一部の連携は見た目の派手さよりも実用性を優先していますが(たとえば、ヘラは「Ragnarok:Rebirth」でソーやロキを復活させることができます)、より劇的な連携は、NetEaseが『マーベル・ライバルズ』で破壊を主要なゲームプレイメカニズムにするという選択の恩恵を十分に受けています。「破壊はスーパーヒーローチームベースのPvPゲームに不可欠な要素です。破壊と環境との相互作用は、レベルデザインにおいて重要な役割を果たします」とジヨン氏は話します。

開発チームは、これらの要素をゲームプレイに組み込むため、ジヨン氏の説明にもあるように「何層にも重なるアプローチ」を採用しました。3つの層が組み合わさることで、「深みがあり常に進化するゲームプレイ環境」が生まれます。「最初の層は、ダイナミックな破壊を組み込むことでスーパーヒーローの戦闘体験を向上させ、戦闘中の感覚体験を強化します。戦いが進むにつれて、特定のエリアが崩れ、建物が倒壊し、アクションの激しさが増します」
第二の層は、破壊が単に視覚面で印象的であるだけでなく、重要な戦略的要素にもなり得ることを証明しています。「第二の層では、レベル構造の破壊を通じてゲームプレイにダイナミックな要素が追加されます。たとえば、高いプラットフォームを崩壊させると戦略的な状況が変わり、壁を突き破ると新しい道が開きます。さらに、遮蔽物の破壊によって、以前は安全だったエリアが敵の攻撃にさらされる可能性があり、根本的にゲームプレイに大きな影響を与えます」

最後に、第三の層では、『マーベル・ライバルズ』を支える物語要素が取り入れられます。「第三の層では、各ステージのテーマに合わせた特別な破壊メカニズムを導入することで、この基盤を拡張します。たとえば、『東京2099』では、倒壊した建物がクモのウェブで空中に浮かんでおり、ユニークな空の遮蔽物となっています。これにより、特に空を飛ぶヒーローや高いプラットフォームに到達できるヒーローにとって、独特のゲームプレイ体験が生まれます」
意味のあるイースターエッグ
各環境(『マーベル・ライバルズ』ではクロノバースと呼ばれます)は、破壊を念頭に置いて注意深く設計されていますが、NetEaseの細部へのこだわりには目を見張るものがあります。これらの環境が、語られるストーリーと一致するようにするための努力が明確に感じられます。「マップのデザインでは、2つの主要なアプローチ、つまり『ひねり』と『結びつき』に重点を置いています」とジンホア氏。「特定のコミックの号で描写される設定を直接再現するのではなく、概念的な世界とシーズンの物語に基づいて各マップの背景を再解釈しているんです」
言い換えれば、アスガルドを体験するだけではなく、世界樹ユグドラシルと融合したソーの故郷であるユグスガルドを体験することになります。では、ワカンダはどうでしょう?ジンホア氏の答えはこうです。「2099年のタイムラインでは、地球のルーツから分岐した高度な恒星間帝国として描かれています」発売時にはユグスガルドとワカンダ2099の両方がストーリーで重要な役割を果たし、シーズンごとに物語が進むにつれ、新しい環境がそれに追随するよう設定されています。

ジンホア氏は次のように説明します。「マップを作成する際は、ナラティブ、レベルデザイン、アートの各チームと緊密に連携します。ナラティブチームは、マップデザインのプロセスを開始し、ストーリーと世界設定を開発して、勢力間の対立とChronoviumの役割(以下で説明)を強調します。そこから、主要な情報要素を定義し、レベルチームとアートチームと緊密に連携して、基になるマップの枠組みを構築します」
その後、エキサイティングな部分に取り掛かります。スタン・リーたちによるキャラクターが互いに白熱した戦闘を繰り広げる以上に、Marvelらしさをゲームに加える取り組みです。「マップのストーリーの一部として、ストーリーに命を吹き込むために、多数のイースターエッグを埋め込むことに重点を置いています」
いずれのマップにおいても、プレイヤーはジンホア氏が言及しているイースターエッグを目にすることになります。ここでは、ある特定の設定を少しばかり掘り下げようと思います。2099年の世界は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』やActivisionの『Spider-Man: Shattered Dimensions』、『Spider-Man: Edge of Time』といったゲームのおかげで、一般のMarvelファンにとってまったく馴染みのない世界というわけではありませんが、東京2099は、NetEaseが独自の創造性を広げることで、さらに「ひねりを加えて結びつけた」、より深みのある、知る人ぞ知る世界です。これは、『ゴジラ』のMarvelコミックのライセンスが1979年に失効した以降も、おそらく繁栄を続けていたのであろう未来の東京と言えます。それ自体がイースターエッグであり、その中にちょっとした引用のコレクションが含まれています。
真の信者(True Believer)であるあなたは、自力でいくつ見つけられるでしょうか?

- Pixel Corp:わずか9冊のコミック(そのうち8冊は『Doom 2099』内)に登場したPixel Corpは、ロボットやそれに類似するものを作成することで知られています。
- Green Globe:Green Globeが何をするかを説明したいのは山々ですが、それには関連するコミック『Ravage 2099』を読む必要があります(スタンにお詫びします!)。
- 3A) Horizon Labsと3B) Alchemax:オタク仲間の皆さん、抗議をするときがやってきました!『マーベル・ライバルズ』の世界では、2010年代初頭の『アメイジング・スパイダーマン』で展開されたBig Time時代にピーター・パーカーを雇った会社が、Allan Chemicalと合併してアルケマックス(2099年のタイムラインを支配する巨大な悪徳企業)を形成することはなかったようです。
- Stark-Fujikawa(薄暗い照明):これは、Stark EnterprisesとFujikawa Corporationの合併の結果です。皆さんも、亡くなったトニーという名の男性ついて耳にしたことがあるのではないでしょうか?彼がいない企業は非常に邪悪です。
- D/Monix:D/Monix(同様に怪しげな響きの「Data Manipulation and Organization Networks」(データ操作および組織ネットワーク)に由来)という名のサイバネティクスおよび人間強化会社が、『Ghost Rider 2099』のページからそのまま飛び出てきたなんて信じられますか?でも、本当なんですよ!
- Beyond Corporation:2022年の『The Amazing Spider-Man: Beyond』のストーリーアークを覚えていますか?誰もが素晴らしいと言っていましたが、読む時間がなかったあれです。この腐敗したマルチバース企業がそう言われている理由です。
- Public Eye:アルケマックスが運営する近未来警察部隊です。より正確に言うと、アルケマックスのFearmasterと呼ばれる男が率いる近未来警察部隊です。知っておく必要があるのはそれだけです。
- Yashida:シルバー・サムライ(写真右下)を含むヤシダ一族は、コミックではセイバートゥースに次ぐウルヴァリンの最大のライバルと言えます。しかし、皆さんは、このロゴが初めて登場したヒュー・ジャックマン主演の『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)でよくご存知かもしれません。まだ10年にも満たないディズニーによる20世紀フォックスの買収以前だったら、現実の企業政治の観点から、フォックス制作の図像はおろか、ヤシダの名前に言及することすら、ほぼ完全に制限されていた可能性が高いです。
- Parker Industries:ピーターがトニー・スタークになろうとした試み(ドクター・オクトパスが原因ですが、話せば長くなります)。『マーベル・ライバルズ』の世界ではプレイ可能なキャラクターであり、『スパイダーマン:スパイダーバース』のアニメ風スパイダーマンであるペニー・パーカーの別人格であるSP//DRと、彼の会社は関係があります。下には日本語で「パーカー産業の最終兵器」と書かれており、『マーベル・ライバルズ』バージョンのペニーは、ピーターの会社が実際に存続した未来から来たことを示唆しています。『Spider-Verse』のコミックでは、彼女のメカスーツはオズコープ社によるものです。
- Douglas Jazz Night:これは、少なくともコミックでは、ドラックス・ザ・デストロイヤーの人間としての正体であるサクソフォン奏者、アーサー・ダグラスのことを指します。

ジンホア氏はさらに詳しく説明します。「マップに企業名を組み込むことで、2099年の東京を忠実に再現することができます。ゲームの舞台設定は、技術の進歩と社会の混乱によって形作られた世界、気候の悪化と超人の紛争によってヒーロー時代の痕跡が消し去られた世界です。このストーリーでは、テクノロジー企業が、謎の起源を持つ最先端のイノベーションで世界を変えています。アルケマックス、スターク-フジカワ、Roxxon Energy Corporation、ヤシダ一族などの大組織が、かつては多くの国が存在した地域を今や支配しています」
ストーリーは、その外観が語るよりもさらに深く掘り下げられています。「生命と運命のウェブによってここに引き寄せられたWeb-Warriorsことスパイダーマンたち自警団による行動が、これらの強力な企業による水面下の活動を妨害してきました」とジンホア氏は説明します。「その結果、Public Eyeとして知られる民間警察が行動を起こし、複数のヒーローが2099年に独自の新しいグループを結成することになりますが、これは今後明らかになります。こうした入り組んだ要素は、ヒーローの背景にあるストーリーやマップ上のナレーションに織り込まれ、シーン全体に表示される企業ロゴに反映されることで没入感を高めています」
正直に言いますが、おそらくこれを読んでいる人のほとんどは、ジンホア氏と彼のチームが細部に注いだ努力についてあまり深く考えず、すぐにゲームを開始することでしょう。しかし、長くプレイし、その環境に触れるほど、何が起きているのかを理解するようになるはずです。
DoomのDays of Future Present
では、実際に何が起きているのでしょうか?そもそも、なぜみんな戦っているのでしょうか?「この課題は、ナラティブチームにとって重要な優先事項でした。私たちはPvPの特性を包括的なストーリーラインに自然に織り込み、それをパラレルワールド間の戦いやヒーロー同士の内部抗争に変えていく方法について、長い時間をかけて議論しました」とジンホア氏は説明します。

ジンホア氏はドクター・Doomを「私たちのゲームにおける物語の複雑な出発点」と表現しています。Marvelの最大のスーパーヴィランとして広く認められているこのキャラクターを深く掘り下げることがチームの興味をそそったことは明らかです。「Doomは伝統的なヒーローではないかもしれませんが、本当に悪なのでしょうか?」とジンホア氏は疑問を投げかけます。「彼のファンは反論すると思います。人間の本質の複雑さ故に、ヒーローはしばしば異なる選択をします。私たちの仕事は、こうしたシナリオを作り上げ、プラットフォームを提供し、キャラクターが自然に反対の立場を取るようにすることです」
純粋な悪であろうとなかろうと、ドクター・DoomとDoom 2099が、同時にタイムストリームに手を出すのは、それがどう機能するにせよ、おそらく最前のアイデアではなかったのです…次の瞬間には、「時間的な乱気流」として知られるタイムストリームのもつれが、『マーベル・ライバルズ』の4つの最初のクロノバース全体に大混乱を引き起こします。
「このもつれにより、過去と潜在的な未来が無限に絡み合い、タイムラインの崩壊と融合を引き起こしました。その結果、一時的な爆発が起こり、さまざまな宇宙に物理的な痕跡を残したのです」とジンホア氏は説明します。「これらの痕跡がChronoviumとして物質化し、時間エネルギーを結晶化して、場所によってその形が変化します」
こうして、前述の物語を重視した環境の出番となります。「混沌とした世界によって、至る所に危機や大惨事がもたらされました」とジンホア氏は続けます。「ヒーローたちは、時空の亀裂とタイムストリームのもつれを解消すべく、反撃するために集結します」
筋金入りのコミックファンにとっては、この背景は2015年の『Secret Wars』で、世界に終焉をもたらすインカージョンによって現実世界がその存在を脅かされるなか、並行世界で生き残りをかけて戦ったことを思い起こさせるかもしれません。他の人々にとっては…ポップカルチャーの人気キャラクターを登場させるにはとてつもない背景設定に違いありません。
各バトルのスター、ギャラクタ
残念なことに、『マーベル・ライバルズ』全体のストーリーに関わるすべての主要キャラクターが、「ポップカルチャーのアイコン」というステータスでシーンに登場するわけではありません。各マッチのアナウンサーを見るだけで(正確には聞くですが)、NetEaseがどれほど深く掘り下げて、各役割に理想的なキャラクターを探し出したかを理解できるはずです。

「私たちの主な目的は、アナウンサーシステムに個性的な登場人物を取り入れることでした。そのため、単調で機械的ではなく、魅力あるダイナミックなバトルコメンタリーを目指しました」とジンホア氏。「これを実現するために、第4の壁を突破でき、宇宙に起源を持つ血筋を誇り、生き生きとした魅力的なキャラクターをコミックから探し出しました。それで、ギャラクタが理想的な選択肢として浮上したんです」
これはギャラクタスの書き間違いではありません。それに、「生き生きとした魅力的な」は、ファンに人気のスーパーヴィラン、ギャラクタスの世界を食い尽くす気質を正確に表現していませんから。しかし、ある特定のMarvelの平行世界(2009年に『Marvel Assistant-Sized Spectacular #2』でジョークとして造られたもの)を掘り下げると、Devourer of Worlds(世界を食い尽くす者)から寄生虫が発生し、Galan(ギャラン━━そう、ギャラクタスには実名があるのです)の人間サイズの女性バージョンが登場する時のことを描いた話が見つかります。彼女は自分をギャラクタと名乗ることにします。父親の地球を食い尽くしたいという衝動を彼女も持っていたものの、そのことにすっかりうんざりしていました。
通常なら、15年前の9ページのストーリーと14年前のデジタルコミック数冊に登場しただけのキャラクターを、AAA級の大作ゲームの顔としてメインのポジションには採用しません。実際、短い期間アクティブだった彼女のX(旧Twitter)アカウントでの発言の方が、コミックでの発言よりも多い可能性すらあります。しかし、ジヨン氏が「私たちは、85年以上の豊富な歴史を持つMarvelのIPラインナップ全体から選ぶことができました」と言うように、そのすべてを最大限に考慮した結果、カプコンが『Marvel Super Heroes』で13人のプレイアブルキャラクターの1人としてシュマゴラスを登場させて以来初めて、マイナーなキャラクターとしては最も重要な役割を果たすことになります。
「彼女はコミックでの登場回数が限られていたことで、私たちの創造性の自由度が高まり、本当にユニークで魅力的な存在感のあるアナウンサーを作り上げることができました」とジンホア氏は言います。「登場回数が少ないキャラクターを作り上げる際、彼女の基本的なキャラクタープロフィールを固めるために、Marvelチームと何度も相談する必要がありました」彼は、カサンドラ・リー・モリス(『フォートナイト』のSarah Hotep役)がキャラクターの声に「ぴったり」だと評価します。
「ギャラクタは私たちのゲーム世界で、極めて重要な役目を担っています。単なる傍観者からは程遠く、彼女には説得力のある、新鮮なバックストーリーがあります。そして、彼女の隠された動機は、今後のシーズンで徐々に解き明かされていきます。私に言えるのは、彼女の役割が父親と密接に結びついていることだけです。彼女が物語に与える影響の全容は、少しずつ明らかになります」とジンホアは説明します。
膨大な伝承とともに続いてゆく物語
ギャラクタのストーリー全体を語るには、数か月あるいは数年もかかりそうですが、それでも大丈夫です。それを待っている間に、没頭できる他の豊富な設定がたくさんあるからです。ゲームの内外で提供される視覚的なストーリーテリングとは別に、『マーベル・ライバルズ』では、デジタルのページに記された文章を通して、この世界の他の冒険物語をアンロックすることができます。ジンホア氏は、マグニートーとネイモア、あるいはマジックとヴェノムといった、予想外でありながら魅力的な組み合わせを取り上げたこれらの物語について、こう述べています。「今シーズンの物語を理解するために必読です。各マップのカットシーンのアニメーション、ヒーロー同士のやり取り、そしてギャラリーシステムも、それぞれのシーズンのストーリーを描く上で不可欠な要素となっています」

「シーズン」という言葉がたくさん出てきますよね?ナラティブチームが、ストーリーに関連付けられる新キャラクターや、新しく追加・アップデートされるヒーローの連携について、長期的な計画を持っていることが見て取れます。「私たちはシーズンアップデートへの取り組みを重要視しており、テーマに基づいたシーズンコンテンツの完全な体験を提供していく予定です」と話すジンホア氏によると、シーズン2を皮切りに、およそ3か月ごとに新しいコンテンツを楽しめるはずとのこと。「各シーズンは特定の物語のテーマを中心に展開され、そのシーズンに向けた新しいキャラクター、マップ、コスチューム、さらにはゲームプレイの仕組みが導入されます」
それを聞いてひと安心です。というのも『マーベル・ライバルズ』のリリース時に登場するヒーローの数は多いとはいえ、おそらくプレイヤーのお気に入りのキャラクターが全員揃っていない可能性があるからです。NetEaseは、今後リリースされる特定のキャラクターについて聞かれても、その答えを明らかにしません。とはいえ、もしあなたのお気に入りのキャラクターが多くの人々にも人気があるなら、そのキャラクターがリリース計画に含まれている可能性は高く、説得力のあるストーリー展開が期待できるはずです。今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のリリースについて、私たちの真剣かつ純粋な憶測をご紹介しましょう!
「誰?」から「ええっ!」まで
それにしても、ジェフ・ザ・ランド・シャークやルナ・スノーのようなキャラクターを、ファンにとってより馴染みのあるキャラクターより先に登場させるという決定は、いったいどのようにして下されるのでしょうか?「バランスの取れた魅力的な体験を保証しつつ、ゲームプレイに不可欠な要素とMarvelファンたちの要望に基づいて私たちは決断します」と言うジヨン氏に、ジンホア氏が付け加えます。
「私たちの目標は、有名な『アベンジャーズ』や『X-Men』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のメンバーだけでなく、二次創作ですらめったに見られないキャラクターも登場させることなんです。ギャラクタ、ルナ・スノー、そしてジェフみたいな、コミックファンを本当にわくわくさせるキャラクターをです。私たちは、『マーベル・ライバルズ』がゲーマーにとって、マーベルユニバースを探求して楽しむための入り口となることを目指しているんです」

もちろん、これはただのマーベルユニバースではありません。これは原作に対するNetEase独自の解釈であり、マーベル・シネマティック・ユニバースと同様に、コミックを基にしながら必要に応じて変更を加えたものなのです。その自由度が、魅力的なゲームプレイを実現するために、特定のキャラクターの能力を強化することに繋がりました。
「私たちは、彼らの核となるエッセンスを抽出し、その要素を中心にスキルデザインを構築しています。既存の能力をただ組み合わせ、これまでの表現に縛られるのではなく、『マーベル・ライバルズ』ならではのユニークな体験を作り上げているんです」とジヨン氏は語ります。
おそらく、本作のリリースの際にウィンター・ソルジャーほどそのメンタリティを体現しているキャラクターは他にいないかもしれません。「彼の象徴的な機械のアームは、彼の核となるエッセンスの1つだと考えています」とジヨン氏は説明します。「ハイテクな機械のアームで何ができるのか、どのように新しい、独特な機能を持ちうるかなどを熟考し、その可能性を探りました。このアプローチにより、キャラクターの信ぴょう性を維持しながら、新鮮で特別なゲームプレイ体験を実現できます」
この場合、「新鮮で特別」とは、これまでに見たことのない方法で、バッキーの腕のパワーを強化することを意味します。たとえば、彼の機械のアームが触手に変形し、範囲内にいる敵に対して壊滅的な攻撃を繰り出し、地面に打ちつけるKraken Impactパンチなどです。彼が輝く腕を伸ばして敵を掴む様子は、まるで『モータルコンバット』のOutworld(アウト・ワールド)で宿敵サブ・ゼロと戦っているかのようです。「Marvelのチームはこのアプローチを高く評価しており、全体的なデザイン監修プロセスが非常にシームレスになりました」とジヨン氏は述べています。
収益化とコスチュームに関する一般的な取り組み
ウィンター・ソルジャーは、リリース時に無料でプレイできる33ものキャラクターのうちのほんの1人です。それに比べて、このジャンルの代表格である『オーバーウォッチ』では発売時に登場したキャラクターは21人で、ソジョーンのリリースで33人に達したのは、約6年後の『オーバーウォッチ2』に移行するわずか数か月前のことでした。ちなみに現在のキャラクター数は41人となります。
もし皆さんがいくらか課金しようと考えているなら、ゲームの利益は「コスチュームやエモート、スプレーなど」を含む「バトルパスやゲーム内ストアでの直接販売といった、シンプルな方法」で得られるとNetEaseのリードコンソールデザイナーであるアデン氏は説明しています。

コスチュームは、スーパーヒーローゲームをプレイする現代の一部のゲーマーにとって、ゲームプレイやストーリーと同様に重要なようです。「コスチュームの選択に関しては、私たちのプロセスはダイナミックで多面的です。複数のカテゴリーを計画していますよ」とジンホア氏は言います。
期待されるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)やComic Classicsからの種類(例:上に掲載したAnti-Venomと『Venom: Space Knight』の例を参照)に加えて、ジンホア氏は、ゲームのストーリーから着想を得たSeasonal Storyスーツ、ゲームイベントを記念して作られるHoliday Costumes、さらに、Popular Themes(西部劇のレトロ感やスチームパンクを取り入れた『1872』シリーズのように、様々なメディアで扱われる不朽のテーマをヒーローと融合させたコスチューム)を約束しています。
私たちの言いたいことは十分に伝わりましたか?
NetEaseは自信を持ってリリース期間を迎えています。その自信は、「プレイテストの結果がチームの期待をも上回った」ことに支えられているのだとジヨン氏は言います。「全体のテストデータは非常に期待できるもので、このゲームの明るい未来に対する自信を与えてくれています」
ジンホア氏もジヨン氏の楽観的な考えに共感しています。彼がゲームの現状を語る様子には、ある種の驚嘆が感じ取れます。「今日、『マーベル・ライバルズ』はMarvelゲームのラインナップに欠かせない存在として位置付けられています。愛されるスーパーヒーローたちのために作られた新しい物語が、数え切れないほどの熱狂的なMarvelファンに届いています。その中には、かつての私たちと同じようなファンもいます。この成果を私たちは心から誇りに思っています」
