『Killing Floor 3』はいかにして『遊星からの物体X』、『エイリアン』、『プレデター』から着想を得たか

『Killing Floor 3』開発者が語る、ボディホラー、ストーリーテリング、そしてバランスの追求2025.2.12
執筆:寄稿者:ブライアン・クレセンテ

彼らはゾンビではありません。Zedなのです。

『Killing Floor 3』で延々と押し寄せてくる、走ったり、這ったり、巨大だったりするクリーチャーの群れは、蘇った死者ではありません。ある企業の生物兵器実験が生み出した産物なのです。

『Killing Floor』シリーズになじみがなければ、その違いはわかりにくいかもしれません。

しかし、今月初めに行われたインタビューで、Tripwire Interactiveのクリエイティブディレクターであるブライアン・ウィニア氏は、私が同氏のゲームに登場する恐ろしいクリーチャーをアンデッドになぞらえると、すぐに訂正を入れてきました。

「ここが非常にマニアックなところです」とウィニア氏は言います。「ご存じないかもしれませんが、私は大のホラーファンなんです。モンスターのプラモデルやドクロでいっぱいの部屋を持っているほどです。Tripwireのチームがやってきたことのひとつは、Zedとゾンビとの差別化だと言えると思います」

「一般的には(『Killing Floor』が、ウェーブ制のゾンビシューターと呼ばれているのは承知しています。ですが、私は細部こそ肝心だと考えていますし、私たちはこれらの敵をZedと認識しています」

具体的に何が違うのでしょうか?

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ウィニア氏によれば、Zedは生物工学的に作られた殺人兵器なのです。ゾンビとターミネーターを掛け合わせたような存在と言えるでしょう。そして、人工的に作られた存在であるがゆえに、それぞれ独特の形態と、異なる能力を持っています。

「Zedは魂を持たず、特徴もない、脳を食べるだけのゾンビではありません。その点が、Zedにちょっとした個性を与えているのだと思います」

この区別は、ゾンビをテーマにしたゲームが数多くのゾンビ映画からインスピレーションを得る一方で、Tripwireのチームははるかにグロテスクな領域、特にボディホラーからインスピレーションを得ていることを意味します。

「ゲームデザインや世界観の構築に関しては、『遊星からの物体X』のような作品が非常に参考になりました」とウィニア氏は語ります。

ウィニア氏によると、チームはボディホラーの生みの親とされる映画監督・脚本家のデヴィッド・クローネンバーグ氏などの手による作品を、長い時間をかけて研究したそうです。

「どのような要素が不安を演出するのかを分析しました」とウィニア氏は言います。

『Killing Floor 3』のクリーチャーは、命を吹き込まれたボディホラーであり、プレイヤーを襲いますが、ゲームの雰囲気は別のホラーから影響を受けています。それはアクションホラーです。具体的には、『エイリアン』『プレデター』のような、少人数のグループが圧倒的な悪に立ち向かう映画が挙げられます。

これは、『Killing Floor 3』のデザインにおける重要要素にもつながっています。チームは、プレイヤーが生きるか死ぬかの瀬戸際を、ギリギリのバランスで渡り歩くようなゲームを作ろうとしたのです。そのバランス調整を誤ると、プレイヤーは絶望するか、あるいは自分が強すぎると感じてしまいます。

「バランスこそがこのゲームの肝なんです」とウィニア氏は言います。「私たちは毎日、絶え間なくプレイテストを実施し、適切なZedの数、適切な弾薬の量、プレイヤーに対する適切な報酬は何か、その基準を探っています」

例として、ウィニア氏はショットガンを挙げます。ある時点では、ゲーム内のあるショットガンがあまりにも弱く、プレイヤーはすぐに倒されていたといいます。ところが、その銃を強化したところ、プレイヤーはゲーム内のすべてを一切恐れなくなったそうです。

チームはまた、リソース管理の調整にも多くの時間を費やし、プレイヤー同士が互いにサポートするようにしつつ、ラウンドの間にプレイヤーが購入するアップグレードにも慎重に気を配っています。

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幸運なことに、私はウィニア氏とお話しした内容の多くを、ゲームの初期ビルドでのプレイセッション中に体験することができました。
私は他のメディア関係者や開発者らとともにゲームに参加し、押し寄せるゼッドの波を生き延びる挑戦に臨みました。

プレイセッションは、プレイヤーが6つのスペシャリストクラスの中から好きなクラスを選べる拠点からスタートしました。マップをクリアした後には、クラスをレベルアップすることもできます。とはいえ、ゲームには、各クラス30レベル、3つのスキルカテゴリー、スペシャリストごとに30以上のスキルが用意されることになります。

『Killing Floor 3』は7つのサバイバルマップ、3段階の難易度、14種類の敵クラス、3つのボス戦を収録してリリースされる予定です。

クラスを選択したら、初期装備の武器を選択します。全クラスで合計36種類の武器が用意されており、その内訳はプライマリ武器が24種類、セカンダリ武器が6種類、手榴弾が6種類です。また、6つのアルティメットガジェットと6つのツールもあります。武器には150種類以上のカスタマイズを施して調整することが可能です。

準備が整ったら、シャトルに乗って戦場へと向かいます。

多くのウェーブ制のゲームと同様に、序盤は比較的簡単で、プレイヤーの油断を誘います。しかし、それが命取りになることにすぐに気づかされます。

Zedは、ウィニア氏が「ビックリ穴」と呼ぶ、驚くような場所から現れ、プレイヤーを攻撃します。これは、アクションと恐怖を同時に増幅させる効果的な手法です。Zedがプレイヤーに襲いかかる手段は他にもたくさんあります。上から壁を滑り降りてきたり、通気孔から忍び寄ってきたり、スパイク付きの拳を持った醜いクールエイドマンのように壁を突き破ってきたりするのです。

プレイヤーはすぐに、チームメイトと連携し、背後を守ってもらうことを学ぶでしょう。カバーと射撃を繰り返す戦いが展開されます。

ウェーブの合間には、獲得したクレジットで武器をアップグレードしたり、追加アイテムを購入したり、別のものに交換したりできます。資金の使い方についても考えなければなりません。銃を強化すべきか、よりよい防具を入手すべきか、判断が求められます。

数回のセッションをプレイすることで、このシリーズが大きな人気を博している理由がはっきりとわかりました(『Killing Floor 2』は9年間にわたり開発サポートを受け、素晴らしいファンベースを維持しました)。スタジオが特定のプレイスタイルに徹底的にこだわり、時間をかけて磨き上げると、そのジャンルの一般的な枠を超える特別な体験を生み出すことができるのです。

『Killing Floor 3』は、まさにそのようなゲームだと感じました。

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驚くべきことに、本作にはちょっとした物語要素も盛り込まれています。具体的には、ゲーム内のナラティブアサインメントによって進行する3幕構成のキャンペーンです。

これはゲームプレイにおいてどのような意味を持つのでしょうか?

それは、仲間とともにZedの大群を相手に激闘を繰り広げている最中でも、一時離脱してアサインメントを探したり、達成したりできるということです。私の場合、歩き回っているうちに音声ファイルを見つけ、マップのプレイ中に証拠を探して集めるように指示されました。

プレイヤーが物語にいつ、どのように関わるかを自由に決められるようにするのは素晴らしいアイデアです。このアイデアは、チームを分断するというダイナミズムも生みます。一部のプレイヤーが手がかりを探しに行き、残りのプレイヤーは彼らなしで生き残りをかけて奮闘することになるのです。

ウィニア氏によると、チームは『Killing Floor』の世界で新しい物語を語ることに「非常に興奮している」そうですが、同時にシリーズの醍醐味であるウェーブ制戦闘から逸脱したくなかったといいます。

本作にはキャラクターやスペシャリストのボイスオーバーや環境ストーリーテリングがありますが、さらに「発展型アサインメントキャンペーン」と呼ばれるものが追加されています。

「それはプレイヤーに与えられる一連の目標のことで、エリア51から着想を得た軍事基地での大虐殺の調査から、さまざまなマップに点在する死体を調べて、SCP『X-ファイル』から大きな影響を受けた物語をつなぎ合わせるようなものまで、非常に多岐にわたります」とウィニア氏。「私は、科学の暴走によって引き起こされる物語を語ることにすごく興味があるんです」

ウィニア氏は、これらのストーリーラインに興味を持つ新規プレイヤー向けに、次のようなアドバイスをしています。

「もしもグループでプレイしているときに、その場を離れてアサインメントをこなしたくても、フレッシュパウンドに襲われている場合は、先にその敵を倒してから音声ログを調査したほうがよいでしょう」とウィニア氏は言います。「マップには、好きなときにアサインメントや目標を確認する自由がありますから」

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『Killing Floor 3』は前作から数十年後の2091年を舞台にしており、プレイヤーは巨大企業Horzine(ホージン)が生み出したクリーチャーと引き続き対峙します。本作の物語は、プレイヤーが特定の場所にいる理由や、ゲームの悪役たちの動機など、多くの空白を埋めることを目的としています。

私はウィニア氏に、『Killing Floor』の世界を、これらのウェーブ制ゲームを超えて拡大する構想があるかどうかを尋ねました。ウィニア氏は明言を避けましたが、『Killing Floor』の世界には語るべき物語がたくさんあることを指摘しました。

「Nightfall(ナイトフォール)はまったく新しいチームメンバーによるグループで、新たな悪役も登場します。Moorcroft(ムーアクロフト)と呼ばれるこの敵については、今後たくさん耳にすることになるでしょう。将来的には、『Killing Floor』の物語を語り続け、その世界をさらに発展させていくことに、大いに興味を持っています」とウィニア氏は述べました。

『Killing Floor 3』は現在事前購入可能です。今月後半にはベータ版がリリース予定です


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