
『Toxic Commando』:血と泥、そしてジョン・カーペンターの融合

すべては、ひとつのひらめきから始まりました。オフロードトラックシミュレーターと、背後に潜む邪悪な恐怖を組み合わせたらどうなるだろう?というひらめきです。
次にやってきたのは、プロトタイピング、そして泥でした。
そしてついに、ジョン・カーペンター氏が参加することになります。ホラー映画の確かな系譜、卓越したストーリーテリング、シンセサイザー主体の音楽、ビデオゲームへの愛、そして──言うまでもなく──彼の名を携えて。
『John Carpenter's Toxic Commando』は、4人協力プレイ式の一人称視点シューターです。感染者の大群が押し寄せる本作は、カーペンター氏の幅広い作品群を彷彿とさせる新規IPとして制作されました。本作は家庭用ゲーム機およびPC向けに、3月12日(米国時間)に発売予定です。
しかし、ここに至るまでの過程は、プレイヤーの何気ない発言から始まり、果てしなく続くかに見えたプロトタイピングとプレイセッションを経て、最終的には、仲間が感染者の大群を撃ち倒す中で、泥にハマった車両をウインチで引き上げるという体験を備えたゲームを完成させるまでに至る、実に興味深い旅路でした。

夜で、ハマっていて、そして怖い
このアイデアが生まれたのは、Saber InteractiveのCEOであるMatt Karch氏が、ある配信者が『SnowRunner』をプレイしている様子を観ていたときのことだという話です。
「夜で、その人は泥にハマっていたんです」と、SaberのチーフクリエイティブオフィサーであるTim Willits氏は語ります。「配信者は『うわ、これは本当に怖い。夜だし、泥にハマってる』と言っていました」
「もちろん、『SnowRunner』では実際に何かが起きるわけではありません。でも、その瞬間にひらめいたんです。私たちは『World War Z』で大きな成功を収め、プレイヤー数は3,000万人を突破しました。そして『SnowRunner』でも成功を収めていました。この2つを融合させる、そんな発想の火花が散ったのです」
「車両で移動できる広大な環境を作り、ゾンビシューターの方向性に寄せたらどうだろう?生き延びるために車両を使い、感染者の間を移動する。そして車両を使っている最中に、感染者が襲いかかってくる。そうすれば、体験全体を通じて、より差し迫ったゲームプレイが生まれるはずです」
そのひらめきを、遊べて魅力的なものへと育てる作業は、当初想定していたよりもずっと複雑だったと、Saber InteractiveのリードプロデューサーであるNikolai Egorikhin氏は語ります。
この新しいゲームの核となったのは、『MudRunner』シリーズの物理演算および泥シミュレーション技術と、このデベロッパーのゲーム『World War Z』で培われたスウォーム技術でした。
これらの技術は登場以降も進化を続けています。Willits氏によれば、『World War Z』で導入されたスウォーム技術は『Space Marine 2』で完成形に近づいたものの、『Toxic Commando』ではさらに「爆発的に拡張」されたとのことです。一方、『SnowRunner』で「Husky」と呼ばれていた地形変形技術も、現在ではスタジオのゲームエンジンに不可欠な要素となっています。
2つの技術を融合させるため、チームは初期設計においてサンドボックス的なアプローチを取ることを決めました。紙に書き留める作業を省き、アイデアをそのままビルドに投入して試行錯誤を繰り返したのです。
「コンセプト自体がクールだったので、紙の段階はできるだけ早く終えたかったんです」とWillits氏は語ります。「想像できますよね。目を閉じれば、泥にハマり、ゾンビが迫り、スウォームが押し寄せてくる。そんな光景が」
初期プロトタイプでは、車両や敵の構築、操作感の調整に重点が置かれていました。
「このファンタジーを実現するには、これまでの作品にはなかった機能が必要だとすぐに分かりました」と彼は続けます。「たとえば『World War Z』では、ゾンビがピラミッド状に積み重なって障害物を乗り越えます。しかし、動いている車両によじ登るのは、まったく別次元の課題でした」
移動する車両に感染者の群れが殺到し、しがみつく仕組みを作るのは、非常に困難な作業だったのです。
「敵の種類ごとに、あらゆる車両に対応する必要があり、その結果、膨大な数のアニメーションが必要になりました」と彼は語ります。「これらすべてを実装するのは、正直なところかなり厄介な作業でしたし、その結果、何千種類ものアニメーションを作ることになりました」
「でも最終的には、その価値がはっきりと分かります。車両が決して安全な場所ではないと迅速に理解した瞬間の感覚は、唯一無二です」
本作には複数のタイプの車両が登場し、それぞれに固有の特殊能力や操作特性が用意されています。しかし、Egorikhin氏が指摘するように、ゲーム内の起伏に富んだ地形を、ただ力任せに突っ切ることはできません。感染者たちが、それを許さないのです。
「彼らは車両によじ登り、ドアを叩き始め、窓を割り、ドアそのものを破壊します。中には、プレイヤーを車両から引きずり出すことができる敵も存在します」と彼は語ります。

『Destiny』でも、『Left 4 Dead』でもない
ゲームの基本要素──車両、徒歩での移動、感染者──が固まった後、チームはさまざまなバリエーションのプロトタイプ制作に取りかかりました。
たとえば、ある時点では『Toxic Commando』はオープンワールドシューターでした。プレイヤーは特定のロケーションに降り立ち、次に何をするかを自分で決める形式です。
「マップ全体を探索したいですか?それとも目的を見つけてすぐにクリアしたいですか?あるいは、まず車で走り回って、すべての目標の場所を確認したいですか?」とEgorikhin氏は語ります。「しかしプレイテストを通じて、それは別の種類のゲーム、より『Destiny』やMMORPGスタイルのゲームに近いものになってしまうと分かりました」
一方で、ゲームプレイが直線的になりすぎることにも、チームは警戒していました。これは『Left 4 Dead』がやや強く寄っている部分だと感じていたからです。
「『Left 4 Dead』は主要なリファレンスのひとつでしたが、非常に直線的でした」と彼は言います。「ほとんどが屋内で、デザイン的にも回廊状のレベルが中心です。ですので、私たちはそこから距離を取りたかったのです」
車両と感染者の手応えが固まった段階で、チームはマップサイズの検討に入りました。
『Toxic Commando』の舞台のほとんどは屋外です。起伏の激しい地形、なだらかな丘陵、湿地帯、点在する森林といった広大な環境が広がっています。しかし、狙っていたプレイ時間に合わせて、環境の規模を適切に調整する必要がありました。
「このゲームはセッション制であるべきだと分かっていました。1回のセッションが3時間も続いたり、終わりがなかったりするわけにはいきません」とEgorikhin氏は語ります。
最終的に、1回のプレイが通常は15分から40分程度になるようなマップサイズと目標設計に落ち着きました。
サイズが決まると、次は地形の設計です。高低差をどの程度持たせるか、それが瞬間ごとのプレイにどう影響するかが検討されました。
「ある程度の高低差があるのは楽しいです。運転にも影響しますから。ただ、穴に落ちて、出て、また穴に落ちて、というのを繰り返すのは、必ずしも楽しいとは限りません」と彼は言います。「環境とのインタラクションが多かったですね」
またWillits氏は、チームは、セッション間でマップ内の位置が変化する、魅力的な注目点や副次的な目標を追加することにも注意を払ったと付け加えました。
「目標の位置、アイテム、車両の配置には多くのランダム性があります」と彼は語ります。「エンカウントさえ変化します。ただし、ストーリー上の山場は存在します。教会のレベルでは、教会周辺でスウォーム侵攻が起きることが分かっています。そこが目的地で、イベントが発生するからです」
「『World War Z』と比べると、はるかに柔軟性があり、選択と主体性がずっと大きくなっています」
最終的に開発陣は、実験、改良、フォーカステスト、再改良を繰り返し、一般的なプレイヤーにとってプレイしやすく、楽しく、理解しやすい形に仕上げていきました。
「その意味で、このプロジェクトは本当に異色でした」とWillits氏は語ります。
80%が『WWZ』で20%が『MudRunner』、それとも逆?
ゾンビシューターとオフロード運転シミュレーターを融合させること自体がスタジオが直面した最大の課題だったわけではありません。最も難しかったのは、両者の適切なバランスでした。
「『World War Z』と『MudRunner』を足したゲームだと言っても、何%ずつかなんて気にしませんよね。80%が『World War Z』で20%が『MudRunner』であるべきなのか、それとも逆なのか?」とEgorikhin氏は言います。
「それを正しく調整するのが、本当に、本当に難しかったのです」
その最適な比率は、スタジオが想定するプレイヤー層にも左右されます。『Toxic Commando』の場合、Saberが重視したのは、『World War Z』や『Darktide』、『Left 4 Dead』のファンのように、車両プレイをあまり期待していない層でした。
「だから『MudRunner』シリーズのファンよりも、こちら側に寄せる必要がありました」と彼は言います。
方針が決まると、チームは社内外で大量のフォーカステストを実施しました。
「このバランス調整には、開発期間のほぼすべてを費やしました」とEgorikhin氏は語ります。「4年間のうち3年ほどは、ある程度納得できる状態になるまで、バランス調整に取り組んでいたと言えるでしょう」
初期のテストでは、プレイヤーは車両の追加や新しい要素──燃料切れ、スタック、ウインチ、銃座など──を楽しんでいましたが、そもそもなぜ車両を使う必要があるのかが分からないという問題がありました。
そこでチームは、車両でウインチを使わなければ開けられない保管庫のような要素をマップ中に配置し、さらに車両ごとに固有のアクティブ能力を持たせることにしました。
たとえばパトカーは、感染者を引き寄せた後、15秒後に巨大なキノコ雲を上げて爆発します。他にも、無制限の弾薬を運べる車両、回復効果を持つ車両、銃座を搭載した車両などがあります。

車両はセッションごとにランダムにマップ上に出現するため、どの車両が、何台手に入るかは分かりません。手に入れた後は、燃料やダメージ管理にも気を配り、使用可能な状態を保つ必要があります。
これらの調整は功を奏し、すぐにプレイヤーは車両を使うだけでなく、可能であれば全員が車両を持つようになりました。
Egorikhin氏は語ります。「プレイヤーたちが同時に3台の車両を走らせているのを目にしたとき、私たちは、自分たちが思い描いていた光景、すなわち、何をどうするかをプレイヤー自身が考える遊び場に辿り着いたと感じました。こうした小さな追加要素がすべて揃っていなければ、この方程式は成立しなかったのです」
デザインの主眼は、ゲーム内で車両を使うことに慣れていないプレイヤー層に向けられていましたが、だからといって、車両を扱うシューター作品から着想を得ることを、チームが無視していたわけではありません。彼らは、『Battlefield』、『Call of Duty』、『Delta Force』といった作品を参考にし、車両戦闘や運転メカニクスのさまざまな要素がどのように機能しているかを研究しました。
しかし、チームにとって最大の学びは、リアリズムという概念に固執しすぎるべきではない、という点でした。
「泥や地形をできるだけ現実に近づけることで、プレイヤーに緊張感を与えるべきだ、という考え方もありました」と彼は語ります。「ですが最終的には、そこまでリアルである必要はないと理解しましたし、プレイヤーにも、『MudRunner』に近い体験を期待すべきではないということを、きちんと伝える必要があると判断しました。これは、ド派手で、常軌を逸したシューターなのです」
この判断は、セッション中に車両をどのように修理するかといった設計上の選択や、スキンを使って車両の外観を変更するようなメカニクスに、直接的な影響を及ぼしました。すべてを説明する必要はありませんし、すべてが極端にリアルである必要もないのです。
「この発想の転換は、リアル志向のホラー映画から、カーペンター映画へとシフトしたことに影響を受けています。やりたいことは何でもできる。制約はただひとつ、プレイヤーに理解され、楽しいものであることだけです」とEgorikhin氏は話します。

ジョン・カーペンターと共に感染者を吹き飛ばす
カーペンター氏が『Toxic Commando』に関わるようになったのは、スタジオがゲームの設計をかなり進めた段階になってからでした。
「数年前、私たちはデザイン面でいくつかの変更を行いました。その結果として、ジョン・カーペンター氏と一緒に仕事をすることになったのです」とWillits氏は語ります。「私たちは、80年代後半から90年代初頭のアクション映画的な感触を取り込みたいと考えていました」
チームは、どの映画や監督がその雰囲気を体現しているのかを話し合い、その中でカーペンター氏の名前が挙がりました。
『ハロウィン』、『遊星からの物体X』、『パラダイム』といった戦慄のホラー作品だけでなく、『ニューヨーク1997』や『ゴーストハンターズ』のような痛快なアクション映画も手がけてきた彼の経歴を考えれば、それは不思議なことではありません。
「彼に連絡を取ったところ、『ああ、それはすごくクールだね』と言ってくれました」とWillits氏は語ります。「こうして、私たちの経験や過去のゲームから生まれたひらめきが、ひとつのスタイルとして固まり、そこからジョン・カーペンター氏とのパートナーシップへとつながっていったのです」
カーペンター氏への売り込みでは、『Toxic Commando』の基本的な前提とゲームプレイが説明されました。突然変異したゾンビのような感染者たちが隔離区域で暴れ回る一方で、世界の他の地域では日常が続いている、という設定です。すでに俳優陣も決まっており、全体としてはド派手で、どこか茶目っ気のあるアクション路線を目指していました。
「そうした要素を示したところ、彼は『よし、これはクールだ』と言ってくれました」
彼は物語にいくつかの要素を加えることを提案し、さらにゲームの音楽も自ら作曲しました。
カーペンター氏の作品に馴染んでいる人であれば、シンセサイザーを前面に押し出した、彼特有の音楽がすぐに分かるはずです。その音楽は、彼の映画を観て育った人々に、非常に特定の感情を呼び起こします。ゲーム内のセリフ回しもまた、彼の作風を強く反映したものになっています。
カーペンター氏からのフィードバックをタイムリーに得るため、Saberはプロデューサーを彼の自宅に派遣し、開発したビルドを彼がプレイできる環境を整えました。

Egorikhin氏は、定期的にカーペンター氏のプレイセッションに参加していた開発者のひとりです。彼によれば、メカニクスについての考えを求めるのではなく、プレイ中に自然に出てくるフィードバックを重視していたとのことです。
「自然なフィードバックこそが、最も価値のあるものだと思います」とEgorikhin氏は語ります。「ときには、それについて話してもらう必要すらなく、ただ相手の目を見れば、気に入っているのか、何を考えているのかが、ある程度理解できることもあります」
「相手にすべてを消化する時間を与えてしまうと、いわば『クソサンドイッチ』のような状態になりがちです。良い点と悪い点を並べるようなコメントになってしまうのです。しかし、率直な反応をそのまま受け取れれば、その人が本当にどう思っているのかがはっきり分かります」
このプレイセッションからチームが得た最初の大きな収穫のひとつは、ゾンビシューターという土台の上に、車両の機能や要求要素をすべて積み重ねたこのゲームの複雑さが、一部の人にとっては難しすぎるという可能性があるということでした。
「私たちは何度も彼を救助し、行動不能状態から引き上げることになりました」とEgorikhin氏は語ります。「そこで『うん、これは普通ではないな』と感じたのです」
一方で、彼にとってもうひとつ印象的だったのは、ジョン・カーペンター氏と一緒にビデオゲームを遊べるという事実そのものでした。
「そんな瞬間は、現実だとは信じられなくなります」と彼は語ります。「『これは自分の思い込みじゃないのか?本当に起きているのか?……いや、本当だ』と考えていました」
カーペンター氏はとてもオープンで、フレンドリーで、そしてこのプロジェクトに深くのめり込んでいたと彼は言います。
「雑談はあまりありませんでした。『ああ、雑談はいいから、ゲームをやろう』という感じでした」
カーペンター氏が物語やサウンドトラックで果たした役割は非常に大きいものでしたが、ゲームデザイン全体に与えた最大の影響は、その「トーン」にあったと言えます。
「このフランチャイズは、もはや単なる新規IPではなく、ジョン・カーペンター氏のIPになったのだと私たちは理解しました」とEgorikhin氏は話します。「それによって、『超シリアスでなければならない』『リアルでなければならない』という制約が取り払われました。音響やVFXを含め、すべてを過剰に、思い切りやっていいのだと分かったのです。その理解は、それ以降のあらゆる判断に影響を与えました」

カーペンターの熱狂的ファンたち
ジョン・カーペンター氏の名を冠したゲームであれば、魅力的なストーリーが求められるのは当然ですが、協力プレイ式かつセッション制のゲームにおいて、それを提供するのは容易ではありません。
「プレイヤーがどこを見ているかといった点ですら、こちらで十分にコントロールすることはできませんからね」とEgorikhin氏は語ります。
もちろん、シングルプレイヤーゲームであれば、特定のポイントにプレイヤーの注意を向けさせたり、カメラを切り替えて短いシネマティックを見せたりするのは簡単です。しかし『Toxic Commando』では、最大4人のプレイヤーが存在し、必ずしも同じ行動を取っているとは限りませんし、広大なマップの中で互いにかなり離れた場所にいることもあります。さらに、セッションに合流した時点で、物語の進行度がプレイヤーごとに異なる場合もあります。
「『World War Z』では、キャラクター中心の物語構成でしたが、それは原作小説の構造とも合致していたため、『World War Z』ではうまく機能しました。ですが今回は、そこから一歩先へ進みたいと考えていました」
そこで採られた解決策が、4人のキャラクター同士の会話に大きく依存するというアプローチでした。セットピース的なカットシーンも用意されていますが、物語の多くは、ミッション中に繰り広げられる軽妙な掛け合いを通じて語られます。
セッションをプレイする際には、常に4人のキャラクター全員が登場します。ほかのプレイヤーが操作している場合もあれば、コンピューターが操作している場合もあります。そのため、誰かが欠けていることで会話が成立しなくなることは、ほとんどありません。
そして、それらのセリフの雰囲気は、カーペンター映画から直に持ってきたかのような印象を与えます。
「私たちのナラティブ部門のおかげです。私たちのチーフナラティブオフィサーであるCraig Shermanは、カーペンター映画の大ファンなんです。ですから彼は、特定の映画の特定のシーンを意識した、小さなイースターエッグやセリフを数多く盛り込みました」とEgorikhin氏は語ります。

泥で世界を描く
意外に思えるかもしれませんが、『John Carpenter's Toxic Commando』において、ゲームを際立たせる主要要素のひとつである「泥」は、比較的後になって追加された要素でした。
ゲームの冒頭ミッションで、私は重装甲かつ重武装のハンヴィーに乗り込んでいます。仲間のうち2人は窓から武器を構え、もう1人は銃座に乗り、車両の屋根を覆う太い有刺鉄線越しに、左右を警戒しています。
私は、狭いトンネルを登る運転に集中しています。前方の坂は一見すると登れそうですが、道を覆う濃い泥に刻まれた深い轍が気になります。ハンヴィーは坂に差しかかると少し跳ね、もたつきますが、やがてタイヤが地面を捉え、難なく登っていきます。しかし丘を越えた瞬間、見えなかった窪地に落ち込み、車体は濃厚な泥の溜まりに深く沈み込んでしまいました。どんなにもがいても、できることといえば、車両を左右にわずかに滑らせることだけで、回転するタイヤの後ろで泥が飛び散るばかりです。
道は通行不能に見え、ハンヴィーは完全にスタックしたかに思えました。すると、ウインチを撃ち込めるポイントを示す黄色いアイコンが表示されます。左マウスボタンを押しながら照準を合わせ、右マウスボタンを押すと、牽引ケーブルを付けた銛が車両前方から発射され、丘の上のコンクリートバリアに突き刺さります。左ボタンを押し続けてウインチを巻き上げ、泥から脱出すると、右ボタンを押してケーブルを解除します。前方にはよろめきながら迫る感染者の群れが見え、同乗していた仲間たちは即座に発砲を開始しました。
これは、この導入用チュートリアルを越え、険しいマップや危険な道路へと本格的に飛び込んでいった先に待つ体験を、手取り足取り味見させてくれるものなのです。
このゲームで、最初に私の注意を引いたのは泥でした。その泥と、その背後にある地形変形技術を実装する作業は、驚くほど繊細な工程だったと、Egorikhin氏は話しました。
「これはかなり重量級の技術で、たとえ同じエンジンを使っているとしても、別のゲームへ移植するには多くの時間を要しました。最初のプロトタイプが完成した直後から、この技術の移行作業を始めましたが、移植が終わった後も、この技術をどの程度まで必要とするのかを理解するために、多くの試行錯誤を重ねることになりました」
というのも、この技術が生まれた『MudRunner』は、本質的に地形変形と泥の技術そのものを主軸としたゲームだからです。設計陣は、ゾンビシューターに求められるようなアクションのテンポを気にする必要がありませんでした。
「これらのゲームを遊ぶプレイヤー層は、まったく異なるタイプです。彼らは、ゆっくりとしたペースを好むのです」と彼は語ります。
しかし、頻繁に泥にハマったり、困難な道を必死に車両で突破しなければならなかったりする体験は、『Toxic Commando』で目指していたゲーム性とは必ずしも相性が良くありませんでした。

この問題を解決するため、スタジオは、泥技術の精神を保ちつつ、ずっとカジュアルなものにする方法を見出す必要がありました。その結果、『Toxic Commando』における泥は、『MudRunner』のような作品に比べて、はるかに攻撃的ではないものになっています。
またスタジオは『Toxic Commando』において、泥をどこでどのように使うかについても、大幅に現場主義のアプローチを行う必要がありました。『MudRunner』と『Toxic Commando』のどちらにおいても、レベルデザイナーは専用のブラシを使って泥を配置します。泥の深さは、どれほど簡単にスタックするか、あるいは脱出できるかといった体験を左右します。
そして『Toxic Commando』においてスタジオは、映画的な場面づくりを助けるために、泥をより節度をもって用いるという判断を下しました。
「たとえば、狭いエリアがあり、左右から敵を出現させるとします。その場所では泥の役割を強めて、クライマックス的な状況へと導くことができます」とEgorikhin氏は語ります。「全員が必ずその場所を通るとは限りませんが、プレイヤーをそうした状況へと押し出すことはできます。結果として、プレイヤーの9割ほどが足止めされたり減速したりしたところで、敵が出現するのです」
その結果として生まれたのが、基本的には同じ技術を使いながらも、よりカジュアルで、より演出に導かれた形で成立しているゲームでした。
泥と血にまみれて
タイヤが泥を捉え、スウォームが押し寄せ、シンセサイザーの音楽が脈打ち、空気が不穏にざわめくとき、『Toxic Commando』はその真価をはっきりと示します。
物語は、ある科学者が地球を少し掘り進めすぎた結果、世界規模の黙示録になりかねない存在を解き放ってしまうところから始まります。幸いにも政府は、穴から這い出してきたものを封じ込めるため、隔離区域を設けることに成功します。
その科学者、皮肉屋のLeon Dorseyは、世界崩壊の瀬戸際を招いた張本人です。彼は、迫り来る大災厄に対する解決策を実行するため、傭兵のチームを呼び寄せます。それが、あなたと3人の仲間です。しかし残念ながら、挑戦は失敗に終わります──少なくとも最初は。とはいえ、Dorseyはあなたたちを救い出し、再び世界を救うための手順を示してくれます。
最初の遭遇の結果、あなたとチームは全員が感染してしまいますが、Dorseyが設計したベストを身に着けることで、理性を失ったゾンビになることを防ぎつつ、感染者と同等の力を得ることができます。
その力は、実際のゲームプレイでは4種類の強化可能なクラスとして表現されます。
Strikeクラスは、青い火球のように見える運動エネルギー弾を放ち、敵にダメージを与えます。
Operatorは、ドローンを兵器化し、周囲の敵を自動的に攻撃させることができます。
Medicは、自身と付近のプレイヤーを回復するヒーリングオーラを展開できます。
Defenderは、飛来する弾を防ぎ、内部に入った敵にダメージを与える固定式のドームシールドを展開できます。
最初の戦闘を経て、ゲームはキャンプ拠点へと移ります。そこでは、クラス能力の強化、装備の変更、Dorseyとの会話、そして次のミッションの選択が可能です。
各ミッションは徒歩で始まり、マップを歩き回りながら世界の様子を探るところから始まります。このゲームには半ランダム性があるため、ゲートの外に車両が待っていることもあれば、移動中に偶然見つかることもあります。
ゲームには6種類ほどの車両があり、それぞれに固有の能力が備わっています。たとえば救急車は、乗車中にチームの体力を回復し、短時間の回復バフを周囲に付与できます。マーベリックは、EMP、ウインチ、据え付け型の重機関銃を備えたオフロード車です。

車両はミッション中に大きな支援となりますが、修理や燃料補給が必要であり、そのために目標達成の途上で放棄せざるを得ない場面もあります。
あるミッションでは、教会を防衛することになりました。ソロプレイだった私は、ミッションの序盤を使って、ぬかるんだ道路を探索し、部品や弾薬、車両を探しました。
準備を整え、コンピューター操作のチームをマーベリックに乗せて教会へ向かうと、襲撃前の時間で、有刺鉄線の修理、機関銃の設置、電撃パッドの配置を行いました。やがて攻撃が始まると、感染者は水の奔流のように四方から押し寄せてきます。中には爆発したり、エネルギー弾を放ったりする、より大型の怪物も混じっていました。ひときわ背の高い敵は、即席の壁の上で据え付けられた銃を撃っていた私を掴み上げ、投げ飛ばします。そこをコンピューター操作のキャラクターが救ってくれました。
私は泥と血にまみれながら、停車していた車両へと向かい、EMPブラストを起動して付近の敵を一掃しました。
攻撃には、辛うじて耐え切りました。
後日この体験について話すと、Willits氏は、私が一人でプレイしていたと知って残念がっていました。彼によれば、本作はフレンドのグループと一緒に遊ぶのが最良で、そのときこそサンドボックスが真に開放され、輝きを放つとのことです。
「3人と一緒に遊んで、複数の車両があると、キャラバンを組むこともあります」と彼は語ります。「誰かが単独で走り出してスウォーム戦を引き起こし、他のメンバーが救援に向かう、なんてこともあります」
別の記者とのプレイセッションでは、4人で4台の車両を確保し、ハンヴィーの運転手がより小型の車両を牽引してマップを走り回っていたそうです。
「とにかく、常に楽しいんです」と彼は言います。
雪、都市、火星?
ジョン・カーペンター氏を新たなビデオゲームIPに迎え入れることで、実に多くのものが付随してきます。それは、トーンであり、脚本であり、音楽であり、そして──結果として分かったことですが──発売後にゲームがどこまで展開できるのか、という点でもあります。
「ジョン・カーペンター氏のフィルモグラフィーを見れば、火星から摩天楼まで、文字どおりあらゆるものをこのゲームに追加できる可能性があります」とEgorikhin氏は語ります。「私たちは、山や森といったものすべてを含めて、このゲームを拡張していきたいと強く考えています。そのうち、雪が登場することもあるでしょうし、都市や町に近い環境、あるいは、よりファンタジックなものも出てくるかもしれません」
「発売後は、新しいミッションごとに異なる舞台を用意する予定です。これは私たちにとって大きなチャンスです」
『Toxic Commando』には完結した物語がありますが、Willits氏によれば、「さまざまな方向に発展させられる未回収の伏線」も数多く残されています。
Willits氏は、2024年の『Space Marine 2』や、2019年発売の『World War Z』を例に挙げ、Saberが発売後もゲームを支援し続けてきた実績を強調します。どちらのタイトルも、発売から数年経った今でも、新しいコンテンツやアップデートが引き続き提供されています。
彼はこう話します。「ゲームが成功すれば、私たちは支援を続けます。約束します。『Toxic Commando』は、支払った金額以上の価値がある体験になります。あなたとフレンドにとって、とんでもなく楽しい時間になるはずです」