『Path of Exile 2』:10年の期待を超えるための長い道のり

2024.11.11
執筆:寄稿者:ディエゴ・ニコラス・アルグエロ

『Path of Exile』は、2013年10月のリリース以来、超大作ゲームへと成長を遂げました。この基本プレイ無料のロールプレイングゲーム(またはアクションRPG)には、現在約30の拡張コンテンツが存在し、それぞれに数多くの調整や新しいメカニズムが導入されています。その中には、プレイヤーを何か月、あるいは何年も夢中にさせるものもあります。こうした機能の大部分は、今日でも『Path of Exile』に備わっており、次々と新しいコンテンツが展開され、プレイヤーを夢中にさせています。

現在、開発元のGrinding Gear Gamesは、初代ゲームと共存することになる続編に賭けています。

『Path of Exile 2』は基本プレイ無料のアクションRPGであるため、おなじみのゲームのように感じられるかもしれませんが、大掛かりなプロジェクトであることに変わりはありません。『Path of Exile 2』では、6章にわたる新たなキャンペーンが展開され、約100種類の環境、100体のボス、600種の敵が登場します。12のキャラクタークラスが予定されており、それぞれに特化した3つのアセンダンシーサブクラスが用意されています。また、700種類の装備ベースタイプには、クロスボウ、フレイル、槍といった新しい武器など、ユニークなアイテムがそれぞれに含まれています。
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『Path of Exile 2』の開発の中心には、大きな課題が存在します。前作『Path of Exile』の成功は、10年以上にわたってゲームの規模と奥深さが際限なく成長し続けた結果によるものです。Grinding Gear Gamesは、『Path of Exile 2』で、単に同じジャンルの他のゲームと競い合っているだけではありません。今や巨大になった自作品の野望や壮大さにも挑戦しているのです。

『Path of Exile 2』の制作において、同スタジオは、前作の核となるコンセプトを覆すようなユニークな体験を提供しつつ、その変化に抵抗したり反発したりする可能性のある古参プレイヤーを失望させないように、慎重にバランスを取る必要があります。

『Path of Exile 2』のEpic Games Storeでのローンチに先立ち、私たちはGrinding Gear Gamesに、続編制作のきっかけや、チームがどのように慣れ親しんだ仕組みに新しさを盛り込んでいるのか、そしてプレイヤーの自由度と新規プレイヤーのスムーズな導入のバランスの重要性について話を伺いました。

新たなチャプター、大きな変化


『Path of Exile』は、今後も独自のゲームとして存続するでしょう。現在もこのアクションRPGは、規模の大小や作品の新旧を問わず、同ジャンルの他のゲームに匹敵するか、あるいは凌駕しています。しかし、年月が経ち、Grinding Gears Gamesが『Path of Exile』の拡張を続けるにつれ、ゲームの構造に内在する制限が障害となり、チームが新たな拡張コンテンツで思い描くものを実現することが困難になりました。

『Path of Exile 2』でGrinding Gear Gamesは、過去の負の遺産をすべて取り除き、新たなスタートを切ったのです。チームはすべてを再考し、カメラの視点といった基本的な部分さえも見直しました。前作ではキャラクターにかなり近いものでしたが、より大きなディスプレイや(シリーズ初となる)ローカルでの2人協力プレイに適したゲームにするため、『Path of Exile 2』ではより後ろに引いたものになっています。
Path of Exile 2 - 第1章 The Iron Count 第1形態
「そもそもこのプロジェクトを始めた理由は、『Path of Exile』の戦闘を大幅に改善したかったからです」と語るのは、ゲームディレクターのジョナサン・ロジャース氏。

第1作のキャラクターリグ(キャラクターをアニメートするためのデジタルスケルトン)は10年以上前に作られたものでした。ロジャース氏の説明によると、このリグがチームの足かせになっていました。キャラクターに何らかのリグを一度設定してしまうと、スケルトンを変更する際に、関連するすべてのリグも変更する必要があったためです。これは、すべてのアイテムを変更し、すべてのアニメーションをやり直すことを意味します。

そして、それこそが続編のためにチームが取り組んだことでした。

「実際にさまざまな戦闘を試してより良いものにしようとすると、ゲームの雰囲気が大幅に変化します」とロジャース氏は話します。

Grinding Gear Gamesの主任アニメーターであるエドワード・テイト氏は、いかにキャラクターに動きを多く取り入れることで波及効果が生まれ、『Path of Exile 2』の他の部分の可能性も広がったかについて詳しく説明しています。動作システムの改良により、アニメーションの長さはもはや0.5秒である必要がなくなりました。その結果、キャラクターのスキルが実行される時間をチームで決定できるようになり、最終的に、より多くのクラスに創造性と柔軟性がもたらされたのです。

テイト氏は、その結果生まれた近接戦スキル、特に『Path of Exile 2』の新しいクラスであるモンクにまつわるスキルを気に入っています。

「私はカンフーをやっていたので、モンクは私にとってある意味簡単に感じられました」とテイト氏は言います。「モンクがこなせるような技は私にはできませんが、その技がどう見えるべきか、その武術で何ができるかについては、すでに頭の中にアイデアがありました」
Path of Exile 2 - 第3章 ヴァイパー・ナプアツィ ボス対マーセナリー
マーセナリーは、続編における最大の変更点のいくつかを象徴するもう一つのクラスです。たとえば、マーセナリーのクロスボウのアニメーションを作成するには、かなりの反復作業が必要でした。ある時、Grinding Gear Gamesのリードデザイナーであるローリー・ラッカム氏は「連射」を思いつき、プレイヤーが移動しながらでも連射が可能であれば面白いのではないかと考えたのです。試行錯誤の末、プレイヤーは攻撃しながら自由に歩けるようになりました。

『Path of Exile 2』には、8方向のWASD移動(マウスクリックによる移動も可能)と、ドッジロールも含まれています。

「これらの変更点を提案されたとき、違和感を感じました」とテイト氏。たとえば、ドッジロールには、最初から明確な制限が必要でした。単純に歩くよりも転がる方が速くならないようにするためです。「『いや、それはちょっとどうだろう?』と思いましたが、実際にゲームに取り入れて動かしてみたら、ゲームの深みが本当に増したんです」とテイト氏は続けます。

『Path of Exile 2』では、スキルジェムシステムも改良されています。前作の『Path of Exile』では、スキルジェムは装備のスロットに入れる必要のあるアイテムであり、これにはリンクしたスキルジェムの能力を変更または強化するサポートジェムも含まれます。『Path of Exile 2』では、すべてのスキルを個別のメニューで完全に調整することができるようになっています。

「スキル間の相乗効果にもっと重点を置いています。キャラクターにバフやパッシブスキルばかりを付与するような状況を避けて、複数のスキルを同時に使用するだけでプレイヤーに多くのパワーを与えることができます」とラッカム氏は語ります。

これにより、長年の課題がいくつか解決されました。たとえば、以前のスキルジェムシステムでは、通常の敵すべてにかなりのダメージを与える組み合わせが見つかることはあっても、ボスに対しては特に効果的ではありません。今作では、異なる結果を得るために組み合わせを試しやすくなっています。

「『『Path of Exile』では見ることのなかった新しいデザインがあります。誰も、ほんの少しの時間しか役に立たないスキルにキャラクターをつぎ込みたくはないですからね。そのため、常に機能する何かが必要だったんです」とラッカム氏は語ります。「今作ではスキルを組み合わせることができるようになり、無理のないコンボも可能です。デバフをかけることに成功したら、大ダメージを与える別のスキルが使えるようになります」
Path of Exile 2 - 第2章 環境
その結果、ドッジロールと相互作用する仕組みにつながりました。たとえば、ドッジロール後に自身の幻影を残し、その幻影が攻撃を受けるとさらにキャラクターにパワーが付与されるスキルなどです。また、別のスキルでは、数回ドッジするたびに呪文を発動させ、攻撃戦略に回避力が加わります。

ラッカム氏によると、チームにとって『Path of Exile 2』の制作は、第1作の定期的な拡張やシーズンに取り組むよりも、創造性をより発揮できる機会になったとのことです。「クレイジーな仕組みをいろいろと試してみよう、といった感じです。開発期間がものすごく長引く可能性も出てきますが、こういったことがゲームのレベルを向上させるんです」とラッカム氏は述べています。


新規プレイヤーと快適なプレイ環境


『Path of Exile』のすべてを理解しようとすると、まるで新しい言語を学んでいるような気分になることがよくあります。Grinding Gear Gamesもこの点を理解しており、そのギャップを埋めるべく取り組んでいます。しかし、その計画は慎重に進められ、前作を楽しんだプレイヤーの多くは、その複雑さとプレイヤーの自由度の高さを求めていたのであって、単純さを求めていたわけではないという点が念頭に置かれています。

スキルツリーの振り直しを例に挙げましょう。『Path of Exile』では、パッシブスキルツリーで振り直しポイントを1つ獲得するには、後悔のオーブを見つける必要があります。そのため、特に複数のノードの振り直しが必要な場合、パッシブスキルツリーの調整が手間のかかる作業となります。後悔のオーブはランダムに敵からドロップされます。数が足りない場合は、作業ゲーをするか、プレイヤー主導の市場で同等の価値を持つ他のアイテムと交換することができます。

『Path of Exile 2』では、他者と取引できない新しいゲーム内通貨であるゴールドを消費して振り直しを行います。「ある意味、(振り直しが)やりやすくなっています」とラッカム氏。「もちろん、ゴールドでできることは他にもたくさんあります。そのため、『ビルドを変更するか、それともひょっとしたら素晴らしいアイテムを手に入れるかもしれない賭けに出るか』という選択をする必要があります」
Path of Exile 2 - 第3章 ヴァイパー・ナプアツィ ボス2
戦利品は、少なくとも地面に表示される状態が調整されています。ゲームを始める前に知っておくべきことを『Path of Exile』のプレイヤーに尋ねると、99%の確率で戦利品フィルターが話題に上るはずです。基本的に、フィルターは前述の後悔のオーブや強力でユニークな装備品といったレアアイテムのみを抽出します。フィルターを使用しないと、マップはすぐに灰色や青色のティアのアイテムで埋め尽くされますが、それらはまったく強力ではありません。

『Path of Exile』をプレイしたことがない人にとっては、大きなハードルですね」と語るのは、ゲームデザイナーのリシケシュ・シッダールタ氏。「ゲームを起動してプレイしているうちに、画面に表示されるアイテムが多すぎてプレイできなくなるという状況に陥ります。誰かが『フィルターをインストールすればプレイできるようになる』と教えてくれるまではね」

Grinding Gear Gamesは『Path of Exile 2』で、このようなよくある状況を防ぎ、ゲーム内のアイテムすべてに価値を持たせるよう努めています。
 

プレイヤーの自由度


Grinding Gear Gamesは、常にコミュニティに目を向け、初心者にとって敷居が高く、手に負えないと思われがちなゲームにプレイヤーがどのようにアプローチしているかを注視しています。

プレイヤーは、各リーグ(3~4か月ごとに実施される季節ごとのアップデートで、通常は新しい仕組みや機能が中心となります)中に「メタ」と称されるスキルと装備の組み合わせを考案し、クラスビルドを考えることを楽しんでいます。コミュティではPath of Buildingのようなツールも開発されています。このツールでは、ビルドを入力すると、アイテムからパッシブスキルツリーのノードに至るまで、ビルドを達成するために必要なものをすべて正確に把握することができます。

しかし、こうしたコミュニティの取り組みは、『Path of Exile』の攻略法を考案するだけにとどまりません。たとえば、トレードは主にプレイヤーによって決定され、ゲーム内通貨や装備品、特にユニークなアイテムの価格が設定されます。プレイヤーが他の人とトレードできるからこそ、アイテムは価値があるのです。

この自由度は意図的なものです。「アクションRPGの雰囲気を形作る上で、本当に重要な要素だと思います」とロジャース氏は述べています。
Path of Exile 2 - 第1章 Draven ボス
しかし、『Path of Exile』のコミュニティに欠点がないわけではありません。「インフレが激しくなるなどの問題が発生するため、適切なトレード経済を維持するのは難しかったですね」とロジャース氏は続けます。Grinding Gear Gamesは、『Path of Exile 2』でもコミュニティ主導のアプローチを維持する予定で、できる限り干渉せずに問題に対処することを心がけています。

「ほとんどのゲームでは、自由にトレードできるゴールドと制限付きのアイテムがありますが、真逆のアプローチが実際にはより効果的であることが分かりました」とロジャース氏は語ります。「トレードできないように制限されたゴールドがある一方で、アイテムには制限がありません。つまり、トレードにおいて、アイテムをある場所から別の場所へ移動させることを許可する税金としてゴールドを徴収する仕組みにすれば、トレードシステムを維持しつつ過度なインフレを効果的に防ぐことができます」

ロジャース氏は、多くのゲーム開発者はゲームが制御不能になることを恐れていると考えています。「私たちの場合、自由度をできるだけ高くしたいと考えています。基本的には面白いことをやって、後でそれを整理すればいいと思っています」
 

ゼロから積み上げる壮大な野望


私たちが今回話を伺ったGrinding Gear Gamesの開発者たちは全員、8年から13年以上のキャリアを持つベテラン勢です。これまでのアイデアや既存の仕組み、それらがどのように関わり合っているかを熟知した開発者によって蓄積された知識は、『Path of Exile』の発展に役立ってきました。

年月が経つにつれ、自身の技術を向上させ、より壮大なソリューションを考案したいと考えるのは自然な成り行きです。しかし、そのために過剰なまでにデザインを追求することは、複雑なゲームとしてすでに知られているアクションRPGにおいて逆効果になりかねません。

「私は常に自分の限界に挑もうとするところがあり、それが原因で、時には必要のない部分まで作り込みすぎてしまうことがあります」とシッダールタ氏は言います。「これは陥りやすい罠です。時にはどこをやり過ぎて、どう削除するかを認識することが重要なんです」

『Path of Exile 2』では、多くの新しいアイテムやシステムが導入されていますが、キャンペーンにおいては、体験を複雑にし過ぎないという基本理念が貫かれています。前作と同様、物語は『Path of Exile 2』の序章のようなもので、エンドゲームではプレイヤーがクラスビルドの細部にまで踏み込み、キャラクターをどこまで強化できるかを確認できます。
Path of Exile 2 - 第2章 Colossus ボス対レンジャー4
ロジャース氏は、初めてキャンペーンを乗り切る体験が、アクションゲームをプレイするのと似たものになるべきだと考えます。「『ゴッド・オブ・ウォー』のようなゲームをクリアできる人なら、『Path of Exile 2』もクリアできるはずです」

ロジャース氏は、プレイを重ねていくうちにクリアするまでの時間が短縮されることを期待しています。たとえば、あるキャンペーンを初めてクリアするのに60時間かかった人が、次にプレイする時には40時間、さらに20時間と短縮されるかもしれません。彼にとって重要な要素は、プレイヤーがゲームをそのまま楽しむことができ、オンラインガイドに頼らず、少なくとも一度はゲームをクリアすることです。

「現時点では、実現まであと一歩のところに来ています。まだ多くのテストを行う必要がありますが、着実に前進していますよ」とロジャース氏は語ります。

自らの功績を越えることは容易ではないものの、強固な基盤が存在するため、それをうまく活用できるという利点があります。ロジャース氏によると、チームは『Path of Exile 2』の早期アクセス期間中、第1作から彼の好きなリーグをすべて復活させる予定とのことです。

「仕組みを楽しくするという点では、すでに反復作業が何度も行われています。ですから、あと必要なのは新しい報酬やアート、エフェクトなどをデザインすることだけです」とロジャース氏は語り、人気のリーグである「ブリーチ」や、彼のお気に入りである「デルヴ」、「インカージョン」について言及しています。「正直なところ、こうした作業はゼロから何かを生み出すよりも簡単です。そのため、『Path of Exile 2』に素早くコンテンツを追加できるリソースとして大いに役立っています。

『Path of Exile 2』の完全版がリリースされると、過去のリーグコンテンツの大部分が続編で復活する予定です。これは、以前のアイデアを試す良い方法であると同時に、初めから続編が壮大な前作の規模に匹敵する(あるいはそれを超える)道を歩んでいることを確かめる方法でもあります。
 

馴染みがあるものの新鮮な基本要素


続編には過去作の繰り返しが付きものですが、11年もの間確立されてきたコミュニティを持つ前作の場合、新しい環境で使い慣れたものとのバランスを取るのは困難です。アートスタイルなどの要素は、前作からあまりかけ離れずに引き継ぎ、そこからさらに発展させることが重要でした。

「私たちは、過度に様式化されたものがあまり好きではありません」とテイト氏。「特にホラーや残虐性のあるコンテンツでは、リアリズムが効果的だと思います。グロテスクなものをアニメ調にすると、グロテスクさが失われてしまいますからね」

しかし、以前から『Path of Exile』で遊んでいるプレイヤーと、新たにこのゲームを始めるプレイヤーでは、続編に対する期待が大きく異なります。
Path of Exile 2 - 第3章 Zicoatl ボス
「実際、当初予想していたよりも少し大変でした」とロジャース氏。「クローズドベータテストを数多く実施しましたが、その際、プレイヤーを2つのグループに分けて行いました。『Path of Exile』をプレイしたことがある人と、ない人です。『Path of Exile 2』を最初にその方法でテストした際、実際に、前作をプレイしたことのない人の方がプレイしたことのある人よりもゲームを気に入っていることが分かり、これは懸念材料でした」

チームは、この比率をほぼ同等に近づけるよう取り組みました。この差が生じた理由の一部として、ロジャース氏は『Path of Exile』のプレイヤーが当時ゲームに実装されていなかった多くのシステムを期待していたことを挙げています。新規プレイヤーはパッシブスキルツリーを開き、額面通りに受け取るかもしれませんが、前作に詳しいプレイヤーなら、すぐにスキルの詳細を読み、何かが欠けていることに気づきます。

チームは、複雑でありながら過度に複雑にならない、絶妙なバランスを取る必要がありました。ロジャース氏はこう述べています。「『Path of Exile』の息の長い人気を支える秘訣は、ゲームの奥深さにあると思っています。ですから、その奥深さを損なうようなことはしたくありません。しかし、複雑な要素もありました。それは深みを増すためのものではなく、ただ単に複雑なだけだったんです。そういった点について、私たちは間違いなく障壁がないようにしたいと考えました」
 

アクションRPGの現状


ますます競争が激化する市場でアクションRPGの続編に取り組むのは困難を極めるかもしれませんが、Grinding Gear Gamesは、数十年前に『ディアブロ II』といった先駆者たちによって確立されたジャンルの基本を反復し、さらに改善する方法がまだあると考えています。また、チームは『Path of Exile』での経験を活かして続編の開発に取り組んでいますが、開発者たちは孤立した環境で制作しているわけではありません。

インスピレーションはさらなるインスピレーションを生み、『ディアブロ IV』から『Last Epoch』まで、現代のアクションRPGのジャンルではそれらに事欠くことはありません。
Path of Exile 2 - 第3章 Forge ボス
「確かに、このジャンルでは最近多くのゲームがリリースされています。間違いなく、非常に活気づいていますね」と話すロジャース氏は、それを良い傾向だと考えているようです。ロジャース氏は、『Path of Exile』の最新拡張コンテンツである「Settlers of Kalguur」が、プレイヤー数において過去最高を記録したと説明します。

「アクションRPGが増えれば増えるほど、その恩恵を享受できることが分かりました」とロジャース氏は続けます。「最初に他のアクションRPGを試したあとで、『Path of Exile』を試してみようという人はよくいます。このジャンルの魅力は、あるゲームをしばらくプレイしたあとで、別のゲームを試してみることができる点です。これはまったく問題ありません。そうしたいと思う人がもっと増えればいいと思います」

ラッカム氏にとって、そのバラエティは見ていて楽しいものです。「誰かが実験的な試みに挑戦してくれるのは素晴らしいことです。そうすれば、『あの仕組みは実際にうまくいった。自分たちも取り入れてみよう』となります。あるいは、『Last Epoch』にとって特定の仕組みがいかに重要だったかを知り、『10年前に『Path of Exile』で実現したのは素晴らしいことだ。もしあの仕組みがまだゲームに残っていたら、今頃どんな風になっていたかな?』なんて考えたりもします」

時には、ベースとなる仕組みによって競合するアクションRPGは、Grinding Gear Gamesが『Path of Exile 2』で想定しているものとはまったく異なるものになることもあります。また、チームのメンバーが他のゲームをプレイし、そこからインスピレーションを得ることもあります。ジャンルの異なるゲームも『Path of Exile 2』に影響を与えています。たとえば、クロスボウの登場により、『Path of Exile 2』はある種のトップダウンシューターとなっています。

ラッカム氏はまた、ソウルライクや『No Rest for the Wicked』のようなゲームが、続編の新しい移動機能のインスピレーションになったとも述べています。『Path of Exile 2』のSummer Game Festでのデモ版をプレイすると、Grinding Gear Gamesはプレイヤーにもっと理路整然としたアプローチを取らせようとしていることが分かります。特にボスは、その行動パターンを把握しなければ非常に手ごわい相手となります。
Path of Exile 2 - 第1章 The Iron Count 第2形態2
「私たちのゲームには、その仕組みを学ぶ必要のある難易度の高いボスが常に存在していましたが、より複雑なボス戦は今や当たり前のことです。主要な章のボスに限ったことではありません」とラッカム氏は説明します。

最終的に、戦闘の手応えこそが『Path of Exile 2』をこのジャンルで際立たせるものなのだと、ロジャース氏は言います。これまでとは異なる演出や特定の要素はリスクを伴う可能性があることも認めています。特に『Path of Exile』を長年プレイしているプレイヤーは、既存のゲームがどのように機能するかを正確に把握しているからです。とはいえ、人々を驚かせ続けることも重要です。


早期アクセスへ


Grinding Gear Gamesとのインタビューでは、ゲームに対する人々の期待の高さをチームが認識していることをはっきり見て取れます。インタビューを受けた人々は、この新たな章の始まりが近づいていることについて、それぞれ異なる思いを口にしていました。ある人にとっては馴染み深く、またある人にとってはまったく新しい体験となります。

シッダールタ氏にとって、何年もの開発期間を経て、人々がようやくゲームを手にすることができるのは、とても感慨深いものです。「同時に進行するさまざまな要素があるため、何かを見落としていないか確認しながら進めているわけですよ」とシッダールタ氏。「完成に近づくのはとてもワクワクしますが、同時にとても怖い気持ちにもなります」

テイト氏はこう話します。「確かに、私たちが行っている変更について、人々が気に入らないのではないかと心配していた時期がありました。大規模なものに聞こえますからね。ファンの中には私たちが加えた変更を好まない人もいますが、全体的には好意的な反応が得られていると思います。実際にゲームをプレイすると、私としては、格段に良くなったと感じられます」
Path of Exile 2 - 第3章 ヴァイパー・ナプアツィ ボス対マーセナリー2
ラッカム氏にとって、チームが道の終わりに来ているという感覚はなく、むしろチームの取り組みが人々の目に触れ始める段階に辿り着こうとしていると感じています。早期アクセス期間については、速いペースで新しいコンテンツが『Path of Exile 2』に追加される可能性が高いと同氏は言います。

チームのニーズに応じて両ゲームを行き来する開発者もいるなかで、ラッカム氏はしばらくの間、『Path of Exile 2』に専念してきました。「周囲のメンバー全員が『Path of Exile』に携わっていて、自分だけが『Path of Exile 2』に取り組んでいる時期がありました。たいていは、リーグの大型リリースを目前に控えていた時期です」とラッカム氏。「今後は両方が同時進行することになるので、全体的に人員の異動は減るだろうと思います」

さまざまなスキルを一緒に試し、ビルドを考案することに専念する品質保証部門はあるものの、まだテストされていない組み合わせはたくさん存在します。チームがコミュニティに期待していることについて、ラッカム氏はこう話しています。「プレイヤーがスキルをどう使うかを見るのは、確かに面白くなりそうですね」

ロジャース氏は、早期アクセス直前のこの期間を「土壇場での懸念の嵐」と表現していますが、過去10年間、3~4か月に1回のペースで拡張コンテンツをリリースしてきたスタジオですから、少なくとも大半は、今ではこの状況に慣れっこになっているはずです。「間違いなく大変なことになるとは思いますが、『Path of Exile』は続編の開発がスタートして以来、驚くほど小さな開発チームで長期間にわたって開発を続けてきました。そして、今後もそれを継続できると確信しています」

『Path of Exile 2』がリリースされた瞬間に、チームは一息つきたいところだとロジャース氏は言うものの、それでもやるべきことはたくさんあります。特に、プレイヤーの大量流入による緊急事態が発生した場合などです。

「一般的に私たちのスタジオは、問題に対して非常に迅速に対応してきました。ですから、そのスピードを維持し続ける必要があります」とロジャース氏は語ります。「スキルやステータス、ユニークなアイテムなど、これまでテストされていない相互作用が数多く存在するため、おそらくこれまで以上に多くの問題が発生するでしょうね」

こうした緊急事態を把握する迅速さが鍵となります。素早く対処できなければ、プレイヤーの体験を台無しにしてしまう可能性があり、ドミノ倒しのような影響が連鎖的に発生するからです。もしプレイヤーが問題を発見し、数時間以内にチームがパッチを適用できれば、おそらく問題はないでしょう。しかし、数日そのまま放置されて人々がそれを悪用したビルドを構築し始めたら、厄介なことになります。

「もし台無しにしてしまったら、プレイヤーはただ去っていくだけです」とロジャース氏は言います。「このような悪用に対しては、常に目を光らせておく必要があります。問題の修正が容認される時間は、数日ではなく文字通り数時間だからです。特にステータスなどに関しては、通常はゲーム全体を再起動することなく、『Path of Exile』にパッチを迅速かつ簡単に適用できるようにしました。しかし、新たな課題は常に存在します」
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これは、『Path of Exile』(およびその続編)のような壮大なゲームを開発するGrinding Gear Gamesに求められる、数多くのユニークな考慮すべき事柄の1つに過ぎません。

「クローズドベータ版にはすでに何千人ものプレイヤーが参加していますので、多くの問題点がすでに洗い出されていることを願います」とロジャース氏は締めくくります。「そうは言っても、誰も気づかなかった問題を見つけるには、一人いれば十分なんです」

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