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Remedyが明かす『Alan Wake 2』のDLCの新チャプターやキャラクターに隠された驚くべきアイデア
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Reid McCarter
その広告はいずれもおちゃらけた、予算のない地方のテレビコマーシャルを面白おかしくパロディしたものになっています。 ただし、これらは意味のないジョークではありません。 これらのコマーシャルは、たとえ画面に映し出されていなくとも、コスケラ兄弟の個性とその地域社会での立ち位置を明らかにし、2人の重要な人物像を作り上げています。そして、彼らが本作の筋書きに与える影響は大きく、(最終的に)悲劇をもたらすのです。

『Alan Wake 2』で実写映像を採用するという決断には、複数の媒体を組み合わせたストーリーテリングと、その結果として得られる物語の可能性に対するRemedy Entertainmentの長年にわたる取り組みが反映されています。 Remedyの2作目となる2001年に登場した『Max Payne』では、主要なストーリーが漫画のようなカットシーンで語られ、1作目の『Alan Wake』では、ブライトフォールズの住民のテレビに『トワイライト・ゾーン』のオマージュである「ナイト スプリングス」が映し出され、ロッド・サーリング風のナレーションと少し不気味なテーマ音楽が流れていました。
そして今、Remedyは『Alan Wake 2』初の拡張パック、「ナイト スプリングス」で自らをループさせています。 配信が開始されたのこの拡張パックは、架空のテレビ番組の独立した3つのエピソード(言い換えれば、3つの異なるミッションまたはチャプター)の形をとっています。
その結果、独創的でありながら期待通りの仕上がりになっています。少なくともRemedyの作品としては、当初感じられるほど矛盾したものではありません。
登場人物の成長

Remedyのゲームディレクターを務めるカイル・ローリー氏は、彼とディレクター兼共同脚本家のサム・レイク氏が、『Alan Wake 2』の制作当初から、拡張パック「ナイト スプリングス」の基本コンセプトを念頭に置いていたのだと説明しています。ローリー氏は、彼とレイク氏、そしてRemedyの残りのチームは「複数のプレイアブルキャラクターをどのようにゲーム体験に組み込むことができるのかに、強く魅力を感じ続けていた」と語ります。
『Alan Wake 2』でプレイヤーの時間は、先ほど述べたFBI捜査官のサーガと、アラン・ウェイク自身の間でほぼ均等に分けられています。 『Alan Wake 2』は前作から10年以上経ったところから始まり、タイトルと同じ名前のキャラクターであるスリラー小説家が、自分の書いた気まぐれな言葉で物理的な現実が歪んでしまう、悪夢のようなニューヨークの中に閉じ込められています。 一方、サーガは、たびたび幻想的になる太平洋岸北西部を探索し、世界を曲げてしまう複雑な殺人事件の陰謀の核心へと迫ります。
頻繁に視点が切り替わることで、この手法なしではここまで効果的な演出にはならなかったであろう、迫力のある結末へと導かれていきます。 プレイヤーは最後まで、多くの時間を割いてアランとサーガ両者の視点を通して、殺そうと襲ってくる敵に満ちたホラーゲームの物理的に危険な世界を誘導しながら、デジタルで描写された二人の最も奥深くにある思考を探索します。 二人を深く理解すること、つまり、解決しなければ人生を破壊しかねない謎への手がかりをつなぎ合わせようと奮闘する彼らを操作した見返りは、二人の物語がどのように結末を迎えるのかへの大きな投資となり、最後のシーケンスでサーガとアランの両者をプレイできるようになることで、最高潮を迎えます。
『Alan Wake 2』の冒頭から、Remedyは、複数の視点に内在するストーリーテリングの可能性に関心があることを明らかにしています。 「あるキャラクターとしてプレイしていると、彼らに近づいて、彼らの視点を知ることができます」とローリー氏は言います。
『Alan Wake 2』の不気味な冒頭では、湖から現れた全裸の男が、暗い森の中で邪悪なカルト信者に追われ、命を落とします。 彼を操作できるのは一瞬ですが、プレイヤーは彼の感じる恐怖と恐れを身をもって感じることができます。これは、彼の行動を自ら操作することなくしては味わえなかったものです。
「当初、私たちは、[『Alan Wake 2』に]最終的に実装されたよりも多くのプレイアブルキャラクターを登場させようとしていました」とローリー氏は続けます。最終的に「ゲームの中核部分に集中する」という決断が下され、そのアイデアは拡張パックに取っておくことになったとのことです。
「ゲーム本編に3人以上ものプレイアブルキャラクターを作る余裕はないと判断したあと、私たちは『ナイト スプリングス』を利用して、複数のキャラクターをプレイすることがどのようなものになるのかを探るというアイデアを練り始めました」とローリー氏。 「本当に、それがすべての始まりでした。 『ナイト スプリングス』がどんなものになるかについては、基本的にゲーム本編の制作準備段階からハイレベルなコンセプトがありました」
架空のテレビ番組の独立した3つの「エピソード」に分かれている「ナイト スプリングス」の各チャプターでは、まったく異なるプレイアブルキャラクターが主人公となり、非常に異なるシナリオが展開されていきます。 「一番のファン」では、ブライトフォールズにあるダイナーのウェイトレスが、大好きなアラン・ウェイクを助け出すために行動を起こします。思いがけないほど天気の良い、明るい色彩で描写された『Alan Wake 2』の世界が舞台となります。
他の2つのエピソードには、Remedyの過去の作品でおなじみの顔ぶれが、少し変わった形で登場します。 「北極星」では、『CONTROL』のジェシー・フェイデンによく似た女性が、『Alan Wake 2』の舞台に影響を与えている超常現象に巻き込まれることになります。 そして、最も冒険的かつ実験的なエピソードである「時空の破壊者」では、ゲーム本編のティム・ブレーカーにそっくりな俳優が、ビデオゲーム内で、演技と現実の境界線が曖昧になる、変化を遂げていくマルチバースの中に迷い込むことになります。エピソードの途中で、FPS、横スクロールのアクションゲーム、テキストアドベンチャーに切り替わります。
ローリー氏は、おなじみのキャラクターをこうしてアレンジしたものを「鏡像」や「残響」と呼んでいます。 これは、Remedyのこれまでの作品に登場したキャラクターをそのまま再現したものでも、掘り下げたものでもありませんが、Remedyは、よく知られているキャラクターのこれらのバージョンに、「とりあえず登場させた適当なキャラクター」よりもプレイヤーが深く関わることを期待しています。
リードライターのクレイ・マーフィー氏は、「ナイト スプリングス」の骨組みのおかげで、Remedyは「プレイヤーが感情移入できるより極端なファンタジーを[それぞれの]キャラクターに作り上げ」、『Alan Wake 2』の本編に組み込まれていたら、「プラスになるどころか[体験の]邪魔になっていた」可能性のあるシナリオを探求できたと語っています。
「ナイト スプリングス」のエピソードの説明からもおそらく明らかなように、拡張パック全体がエネルギーに満ちています。 Remedyの他の最高傑作と同様に、クリエイターたちが、プレイヤーに披露したくてたまらないアイデアであふれているのが伝わってきます。
暗闇の中から聞こえる笑い声

何よりも「ナイト スプリングス」は、とても面白いのです。 とはいえ、Remedyの過去の作品を知っているプレイヤーにとっては、それほどの驚きではありません。 精神的な拷問を受けた自警団や現実の完全な崩壊をテーマにしたゲームと聞くと、重苦しい雰囲気を予想するかもしれませんが、Remedyは常に、不自然ではないユーモアのセンスでストーリーを変化させてきました。
『Alan Wake 2』でも、そこに変わりはありません。強烈な恐怖だけでなく、罪悪感や真実の性質といった難解なテーマも扱った正真正銘のホラーゲームですが、そんな中にも、コスケラ兄弟のテレビコマーシャルや、延々と続く(プレイ可能な)ミュージカルのシーケンスがあり、恐ろしい状況に対して時に当惑した態度を示して、最も暗く残酷な状況にもほんの一筋の光を差し込む、一風変わったキャラクターの数々が登場します。
「『Alan Wake』シリーズは常に、ホラーをテーマにした成熟した要素と、軽快なユーモアを組み合わせることを目指してきました」とローリー氏は説明します。 「このコントラストがホラーシーンの恐ろしさを引き立てるんです。際限なくホラーが続くと、単調で退屈になりかねません」
「ナイト スプリングス」は『Alan Wake 2』のフィクションをより楽しく探求したもので、ローリー氏いわく「[Remedyの]アプローチが完璧に反映された」独特の雰囲気になっているとのことです。 マーフィー氏は、1作目の『Alan Wake』のテレビで流れていたゲーム内の「ナイト スプリングス」のエピソードは、「一定レベルのユーモアとわざとらしさを期待させた」もので、Remedyは「「ナイト スプリングス」の拡張パックでそれを尊重したかった」と語ります。
「それぞれがエピソード内で解決するストーリーとして、とても楽しい方法で表現することができました」とマーフィー氏は付け加えます。 「拡張パックは『Alan Wake』の世界のさらに奇妙な側面を試し、ゲーム本編と同様の背景を提供するものの、サーガやアランの旅を必ずしも辿るわけではないストーリーを物語るのに最適な舞台なんです」
そのアイデアの一例が、ビッグマウスビリーバス風の喋る壁掛けの魚です。ローリー氏によると、このアイデアは『Alan Wake 2』本編ではボツになったものの、拡張パックで日の目をみることになったとのこと。 「できることとできないことに関して、本編ほど制限はなかったですね」とローリー氏は続け、「ナイト スプリングス」は「作業が楽しいプロジェクト」だったと語ります。
1作目の『Alan Wake』では、本編リリース後にダウンロード可能な2つのストーリーチャプターと独立した拡張コンテンツ「American Nightmare」がリリースされました。 これらの追加コンテンツは、1作目のゲームの結末にさらなる決着をつけ、『Alan Wake』と続編の間に起こった出来事を詳細に説明することで本編を補足していますが、シリーズの全体的なストーリーを追いたいと考えるプレイヤーにとって不可欠なものではありません。
これは意図的な選択によるものです。 ローリー氏は、Remedyが「有料の拡張パックをゲーム本編とそのストーリーの補足」と考えているのだと説明します。 ローリー氏は「既にあるものを拡張すべき」と強く感じていますが、チームは「プレイヤーが真の体験を得るためにプレイする必要があるものにしたくはなかった」のだと言います。 また、Remedyが「『Alan Wake 2』において完全なストーリーを築くのに注力したので、私たちの拡張パックではその周辺で起きる物語に重点を置きました」と述べています。
『Alan Wake 2』本編の開発に数年間を費やした後の「ナイト スプリングス」の開発は、良いペースの変化につながりました。つまり、「すべてが繫がり、うまく意味を成す」必要があった続編を書くことからの息抜きの機会になったわけです。
共同リードレベルデザイナーのナタリー・ジャンキー氏は、「ナイト スプリングス」の不条理な捉え方が『Alan Wake 2』にもたらす潜在的な可能性についてこう語ります。「私たちがこれまでに確立してきたさまざまなテーマを掘り下げる方法を提供し、さらにそのテーマに焦点を当てられる点が気に入っています。 ウェイトレスという職業は、FBIのプロファイラーやベストセラー作家に比べるとぱっとしない仕事かもしれませんが、多くの人々が親近感を持つ、パワーのあるファンタジーなんです」 ジャンキー氏はウェイトレスの熱烈なファン心理をどのように描写し、キャラクターとそのストーリー、そして周辺のストーリーテリングを深く掘り下げ、それをゲームプレイにいかに反映するかを議論することがとても楽しかったと話しています。
「ナイト スプリングス」のエピソードが『Alan Wake 2』のメインストーリーとは極めて異なるにもかかわらず、Remedyはそれらがまったく別のゲームに属していると感じさせないように配慮しています。
「拡張パックで語るストーリーがシームレスにゲーム本編に溶け込むようにすることが、私たちにとって重要でした」とローリー氏は説明します。 「ゲーム本編と拡張パックをプレイする新規プレイヤーにとって、全体でまとまりのある、完全なパッケージに感じられるべきですからね」 そのようなまとまりの大部分は、スタジオ全体のポートフォリオにおいて一貫した独特の雰囲気が維持されていることに起因します。
過去作からの引用

Remedyが提供する独特の雰囲気は、『Alan Wake』だけにとどまらずに一連の作品を認識する選択で、スタジオとしての歴史を意識的に振り返るという、第四の壁を破る本質的な姿勢によって形作られています。 『CONTROL』は過去のRemedy作品のキャラクターと出来事を繋げる明確な線を引き始めました。『Alan Wake 2』ではこれがさらに推し進められ、『CONTROL』の超自然研究者がブライトフォールズで起きる奇妙な出来事の調査で登場します。
チームが過去作のどの部分を登場させるかを決める方法について尋ねると、マーフィー氏から「ストーリーそのものが自然に過去の作品を見直すきっかけになることもあります」という答えが返ってきました。
「たとえば『CONTROL』では、政府機関が奇妙な現象を調査するというコンセプトであるため、アラン・ウェイクのような人物が注目を集めるであろうことは明らかでした。 『残響』と平行世界に重きを置いた物語である『Alan Wake 2』では、Remedyの過去作の要素を取り入れることは、ストーリーテリングを豊かにする自然なアプローチだと感じられました」
他のスタジオがこのようなキャラクターのクロスオーバーを行った場合、ファンへの陳腐なアピールやブランドを拡大するための単なる世界構築と、否定的に捉えられるかもしれません。 「ナイト スプリングス」は、よりリラックスした夢のような世界観にキャラクターがカメオ出演する拡張パックですが、その決断は徹底的に考え抜かれており、十分な価値があると感じられます。
マーフィー氏は、スタジオの過去の作品を引用するというこの決断について、「バランスをとること」であると説明し、ストーリーは依然として「前進し、新しい領域を探求しなければ、独自のアイデンティティを失う危険性がある」と強調しています。 「Remedyには、復活の準備が整った素晴らしいキャラクターがたくさんいますが、復活させるかどうかの判断は、ストーリーの目的と合致するか、どのように貢献できるのか、既存の登場人物をどう補完するかを把握することにかかっています。とはいえ、私たちも情があるので、時には、私たち全員が夢中になっているキャラクターを選んで、どんな障害があろうと彼らの物語が確実に語られるようにすることもあります」ともマーフィー氏は述べています。
この融合は、「ナイト スプリングス」において顕著に見られます。 拡張パックに登場するキャラクターの中には、魅力的なコンセプトの火付け役となる可能性を考慮して選ばれたように見えるものもあれば、その逆のケースもあります。 『Alan Wake 2』は、クリエイティブプロセスがゲームの一部になっており、作品に対するプレイヤーの反応がアーティスト自身の自己認識につながる部分があると言えます。 これは、アランの書くものが文字通り彼の周りの世界を変えるという形で現れるだけでなく、このゲームの最も暗い場面のいくつかでも、孤独な作家の自己陶酔が身近な人々にもたらす犠牲を浮き彫りにしています。
「ナイト スプリングス」の「一番のファン」エピソードでこのテーマをさらに掘り下げていますが、はるかに明るいアプローチとなっています。 『Alan Wake』のローズ・マリーゴールドに基づいたウェイトレスのキャラクターを中心に、大好きな作家とその作品を批判から守ろうとする熱狂的なファンの典型的な姿をユーモラスに描いています。
このエピソードは、芸術が良くも悪くも他者に与える影響について『Alan Wake 2』の視点を探求するものなのかという質問に対し、Remedyがより重点を置いたのは「Remedy Connected Universe(Remedyの接続世界)におけるキャラクター、各世界、出来事に興味深いひねりを加えながら、魅力的なつながりを導入する方法をブレインストーミングすることだった」とローリー氏は説明します。 しかしその後、ローリー氏は、これに関する壮大な基本計画がストーリーチームにあったのかをローリー氏に尋ね、 これに対してマーフィー氏は、「基本計画とは言いませんが、計画自体はありますよ」と答えています。
マーフィー氏はこう説明します。「ウェイトレスのエピソードは、間違いなくアーティストと受け手の関係性を模索する作品ですね。 昨今、受け手はクリエイターやメディアに極端な反応を示します。ファンの数と同じくらい嫌う人もいます。 そこで、私たちはその関係性を探求し、ウェイトレスの好意的に偏りすぎた視点を目一杯強めたわけです」
「私が関わった作品の中でも、特にお気に入りかもしれませんね」とマーフィー氏は付け加えます。
ウェイトレスの「ナイト スプリングス」エピソードが持つ純粋なエネルギーを考えると、それも頷けます。 Remedyの作品の多くと同様、本作は極めて想像力に富んでおり、前述の「時空の破壊者」エピソードの型破りなシーケンスとともに、ジャンルやビデオゲームという表現手段の限界に意欲的に挑戦しています。
あらゆる形を試す

この点では、「ナイト スプリングス」もRemedyの過去作を再考する伝統を引き継いでいると言えます。
2001年にリリースされた『Max Payne』では、主人公が悪夢のような世界に閉じ込められる場面が何度か登場します。 そのシーケンスのひとつで、主人公は広大な漆黒の空間を、血の跡と最近亡くした赤ん坊のゾッとさせる鳴き声を追って進みます。 別のシーケンスでは、妻子が惨殺された自宅の廊下が、主人公が恐ろしい犯行現場に彼が近づくにつれ、不自然にねじれたり傾いたりします。
『Max Payne』を上意下達の視点で、潜在的なプレイヤーにゲームの本質を伝える場合、上記のようなシーケンスは適切なものではないと思えるかもしれません。 ノワール小説の詩的なスタイルと香港映画の激しいアクションをユーモラスに引用し、タフな元警官として犯罪の陰謀の網の目をかいくぐって戦うこのゲームでは、こうした抽象的なホラーシーケンスはふさわしくないように感じるかもしれません。 同様に、2016年にリリースされた『Quantum Break』のようなSFゲームで、ゲームプレイの中にネットワークドラマを含めることは不必要であり、『Alan Wake 2』で、地元企業のコマーシャルやインタラクティブなミュージカル要素を加えることは場違いだと感じるかもしれません。
しかし、このような遊び心のあるミクストメディアの事例を抜きにして、Remedyのゲームを想像するのは不可能なのです。 こうした取り組みは同スタジオのスタイルの要となっており、「ナイト スプリングス」では実写のテレビ番組の紹介を使い、「時空の破壊者」でさまざまなゲームジャンルを探求することで、模索を続けているのです。
マーフィー氏は、Remedyのチームが好むのは「他の媒体をゲームに取り入れる実験的な試みを行うことで、『ナイト スプリングス』のようなテレビ番組をプレイアブルな体験にすることは、その方向性においてエキサイティングな進歩だと感じました」と話しています。 このような実験は、スタジオがゲームデザインへのアプローチにさらに磨きをかけることにも役立っています。 マーフィー氏はこう語ります。「このような試みに取り組むと、媒体をよりうまく融合させる方法について多くを学ぶことができます。 こうした学びによって、今後のゲーム開発が向上し、より意欲的に限界に挑戦することができるわけです」
ローリー氏は自身の視点から、「Remedyが手がける拡張コンテンツは、ゲーム本編のために十分な時間を割くことができなかったかもしれないアイデアを楽しく探求するための手段」だと説明します。
「チームには拡張コンテンツの作業を楽しむように常に促していますよ」とローリー氏は続けます。 「チームは本編の作業を終えたばかりです。中には5年も費やしたメンバーもいます。 拡張コンテンツの開発期間はそれよりも短く、既に存在するものを土台に迅速に構築できる機会であることから、より柔軟で、ある意味、より創造的な自由を提供してくれます」
Remedyの作品がバラエティに富んでいることを考慮すると、スタジオが(多面的ではあるものの)一貫した独特の雰囲気を貫いているのは賞賛に値します。 Remedyがどのようにして独自のアイデンティティを保っているのかについて質問すると、ローリー氏は、「ナイト スプリングス」の制作において「特に、それぞれ[のエピソードで]雰囲気やスタイルが異なる多数のビジュアルデザイン、オーディオデザイン、音楽が必要で、しかもそれが短い開発期間の中で行われたため、いくつかの部署ではかなり大変でした」と述べています。
「単一のムードで1つのエピソードを作るよりも難しかったことは確かですが、全員がムードを把握し、それに合わせたコンテンツを開発することが一貫性を保つことに貢献したと思います」
ローリー氏はこう続けます。「私たちはかれこれ30年、ゲーム開発のビジネスに携わってきているので、統一されたビジョンと雰囲気を提供する方法について、Remedyの全チームはよく理解していると思いますね」 ローリー氏はその理由として、進行中の作品の定期的な見直し、効果的なコミュニケーション、そして最終的には、それぞれの役割に秀で、長期にわたって一緒に経験を作り上げてきた創造性の高い人材がいることだと指摘します。
ジャンキー氏もこれに同意し、「ゲーム開発はプロセスでもありますからね。協力して共に見つけていくんです」と付け加えています。 彼女によると、その独特の雰囲気は、「Remedyのゲームをよく把握している、つまりプレイし、作業に携わったことがあるため、強い直感から生まれることもあります。そして、それはお互いにコミュニケーションを取り合うことでもあるのです」と述べています。
「それを十分行えば、その[ゲームの]世界で何が期待されているか、何がつじつまが合うかの理解が得られます。 私たちの作品は映画的な完成度、ゲームプレイ、ストーリーテリングにおいて常に素晴らしいバランスを保っていると思います。それぞれの側面が輝ける瞬間を確保することで、充実したRemedy体験が得られると信じています」とジャンキー氏は説明します。
Remedyならではのムードに対する脚本チームの役割について、マーフィー氏は「常に独特かつ実験的なアイデンティティを目指しています」と説明します。 「ただ独創的であるためだけに独創性を目指すのではなく、他のゲームがやっていないことや、 それをどう推し進め、使うのかを考慮することが重要なんです」
実験の継続

ビデオゲームとは本質的に、媒体の融合です。 サウンドとビジュアルがあり、映画をアレンジし、舞台をデジタル化したようなもので、ゲームによっては文学的なインスピレーションや野望を取り入れることもあります。 『Alan Wake 2』やその拡張パック「ナイト スプリングス」のようなプロジェクトが証明しているように、Remedyは他の多くのゲーム開発者と比べてこのコンセプトを深く理解しており、さまざまなフォーマットでのプレイに媒体の可能性が広がっていることを示しています。
この原則はゲームのデジタル形式にも当てはまり、特に、プレイヤーがプロジェクトの「最終版」を初めて体験した後に、どのようにアップデートや修正が可能かという点にも及びます。 書籍、映画、音楽がデジタル配信される以前の時代には実現不可能だった方法で、修正をし続けることができ、新しいコンテンツを追加することもできます。 このような観点から見ると、パッチ、ダウンロード可能なアドオン、拡張コンテンツなど、純粋に技術的あるいは商業的なものとみなされるビデオゲームのこれらの要素は、ソフトウェアというよりも、媒体の枠組みに対する芸術的な模索と考えることができます。
『Alan Wake 2』では、「最後の草稿」というタイトルのストーリーを含む「強くてニューゲーム」モードが導入されています。 通常、このようなモードでは、初回プレイで獲得したアイテムやキャラクターのアップグレードを引き継ぐことで、プレイヤーはより強い武器やより強力なキャラクターでゲームを再プレイすることができます。
「最後の草稿」では、通常ならゲームの後半で手に入るショットガンなどのアイテムを、サーガとアランは序盤で入手できます。さらに重要なこととしては、『Alan Wake 2』の物語の要素は、わずかな変更を受けるか、完全に一新され、同じ出来事のループに耐えなければならない奇妙な現実に巻き込まれた登場人物の物語の描写が、さらに劇的なものとなっています。
「『強くてニューゲーム』モードに追加のシナリオコンテンツを加えることは、当初からの目標でした。『Alan Wake 2』の構成と核となるテーマは、ゲームを再プレイするというコンセプトに適していたので、『強くてニューゲーム』モードが時間をかけて再プレイするファンにとって、ストーリー的にやりがいのあるものになることを目指しました」とローリー氏は語ります。

ビデオゲームのしきたりをシナリオに適応させる、あるいはビデオゲームという媒体の可能性と限界がいかにストーリーテリングを向上させるかを少なくとも徹底的に追求する姿勢は、Remedyを一貫して魅力的なスタジオにしています。 ゲームが並行世界やループの世界に閉じ込められたキャラクターの心理状態といったテーマを掘り下げている場合、「強くてニューゲーム」モードをはじめとする利用可能なあらゆるツールを使ってキャラクターの心理を探ることは理にかなっていると言えます。
『Alan Wake 2』の結末で、アランは自分が陥っているサイクルが終わりのない螺旋に成長していることに気づきます。 「ナイト スプリングス」では、『Alan Wake』の世界も、Remedyのゲームと相互に関連する世界も、複雑さを増しており、予測不可能な驚くべき方向に進化する可能性を秘めているように感じられます。
『Alan Wake 2』と新拡張パック「ナイト スプリングス」は、現在Epic Games Storeで購入可能です。