
アワードといくつものデモ:Summer Game Festの未来

ジェフ・キーリー氏は第二のE3を作り出そうとしているわけではないのかもしれません(実際にそう明言しています)。しかし、Summer Game Festを制作現場の外から見ている人には、彼がまさにそうしているかのように映るのです。
今年で3回目となるSummer Game Festは、6月10日から6月13日まで開催されます。これはビデオゲームに関するすべてを祝う祭典となります。歴史あるE3 Expoのように物理的なスペースを必要とはしませんが、4日間にわたって多くの関心を集めることは間違いありません。
しかし、おそらくもっと重要なのは、SGFがE3に代わって果たしている、もしくは少なくとも現時点ではまだ果たしていない役割なのかもしれません。
キーリー氏は、デベロッパーやファンが世界各地からカリフォルニアに1週間も訪れるよう促すような、物理的に大規模なショーを開催することには抵抗があると主張してきました。同時に、デジタルファーストのSummer Game Festにはいずれ、物理的な要素が芽生えるだろうとも述べています。今年はその最初の一歩として、カナダ、アメリカ、イギリスの劇場でキックオフショーを観覧することができます。
E3が担ってきた重要な役割の一つに、大小さまざまなパブリッシャーとスタジオの交通整理を行うような存在となり、誰もがスポットライトを浴びるようにしていたことがあります。
「私たちは皆の動向を見守って調整するよう努めていますが、そのためには一人ひとりに協力していただく必要があります。幸運なことに、皆さんがとても協力的なので本当に助かっています」とキーリー氏は語ります。「皆に声をかけて『やあ、どんなことをするつもりですか?希望日はいつですか?その日は大丈夫そうですね』などと会話をするのは楽しいですよ。私たちは皆と協力し、彼らが自分たちのニュースを希望通りのサイクルで形にできるように努めています。彼らにとっても大切なことですからね。ですから、何かを変えようとするのではなく、調整し、話し合い、パズルのピースをどのように組み合わせるかを考えています」
現時点ではSummer Game Festにはまだないもので、E3でパブリッシャーにとって重要な役割を果たしていたと考えられるものに、最高のゲームに贈られる賞の要素が挙げられます。

キーリー氏とロブ・スミス氏が共同で運営していたGame Critics Awardsは、1998年から2019年まで開催され、E3に出展されたゲームを毎年表彰していました。ノミネート作品と受賞作品は、北米の主要メディア数十社を代表する審査員によって選出され、エキスポの主催者が関与することなく表彰が行われました。
その多くは、毎年冬に開催されるキーリー氏主催のThe Game Awardsの審査員の一人として活躍することになります。しかし、E3の「Game Critics Awards」の穴を埋めるようなメジャーなアワードショーはまだ現れていません。
Summer Game Festに関係するアワードを新たに作ることについてはチームと話しており、いずれやってみたいことではあるとキーリー氏は語ります。
「大量のコンテンツから受賞すべき作品を見つけ出せる環境が重要です。ただゲームがあるからという理由だけで賞を与えるようなことはしたくありません。本当に正しい評価をするためには、業界全体でプレイ可能なコンテンツが十分あるようにする必要があります」
「去年はそれが可能ではありませんでした。今年はまだ様子を見ている状態ですが、プレイできるビルドを作れるのか、予定日に間に合わせられるのかなど、パンデミックによるゲーム開発への影響はいまだに顕著なのです」
しかし、こうしたアワードは、もう少し消費者目線に立ったものにすべきなのかもしれないとキーリー氏は話します。
「私の夢は、最終的にすべてのゲームのプレイ可能なデモが用意されることです。600ものデモをプレイする時間があれば、すべてをプレイして、お気に入りの作品を見つけ出せます。消費者のチョイスだとか、Summer Game Festの人気デモといった、ファン投票のものがあってもいいのではないかと思います」
「十分なコンテンツが揃い、アワードという名にふさわしいものにできるまでにはあと数年かかると思います。しかし、その時は必ず来ると確信しています」

このことに関して、インタビュー中にキーリー氏は興味深い点も指摘しました。夏にプレイ可能なデモがなく、ジャーナリストやファンといった大勢の人々が試すことができないと、小規模であまり宣伝されていないゲームの発掘に影響を及ぼし、さらにはデベロッパーがビルドに対する反応を基に、作品を修正する機会さえ失う可能性があります。
「ここ数年感じていたことです」とキーリー氏。「私はゲームをプレイして回り、一足先に見るのが好きなんです。早い段階でプレイしてもらえず、少し苦労しているゲームもあると思います。ゲームによっては名作になり、いずれにしてもプレイされることになるでしょう。しかし、本当に素晴らしくエキサイティングなものを見つけ出して、それを私たちのソーシャルメディアのエンジンを利用して紹介し、皆さんにわくわくしてもらえないのは残念です」
『Elden Ring』や新作の『Halo』のようなゲームの数だけ、『Coffee Talk』や『The Forgotten City』、『Inscryption』といった隠れた名作が眠っているのです。
「『Elden Ring』や『Halo』はファンに必ず購入してもらえますが、ほかのタイトルはしっかりと遊んでもらったうえで『これは本当にいいゲームだな』と思わせなくてはなりません。E3のロビーで出くわした人から、『この作品はチェックすべきだよ。本当にいいゲームでほかとは違うんだ』と言われた時のことを恋しく思いますね」
現在キーリー氏がSummer Game Festに力を注いでいるのは、この特別な魔法を蘇らせる方法です。実現するまで、何度も繰り返すことになるだろうとキーリー氏は説明します。
「あの時Summer Game Festを始めたことを誇りに思います。確かに、2020年のイベントは長すぎましたけどね。しかし、ほかに選択肢がなく、私たちにできる精一杯のことでした。何もないよりはよかったと思います。これからも多くを学びながら、作り上げていくだけです。私たちは活動を続け、機会を設けています。開発者を支援し、人々にゲームのニュースを届けるためにここにいるのです。少なくとも何かを成し遂げ、そこから学んでいるということを評価していただけたら幸いです。年々改善されていると思いますし、今回が今までで最高のSummer Game Festになることを願っています」