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信じられないほどばかげている:2023年最も奇抜なシューター『Turbo Overkill』の舞台裏

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Rick Lane
2024年1月1日

タイトルを完全に体現しているゲームがあるとすれば、それは『Turbo Overkill』でしょう。 葉巻を楽しみ、チェーンソーが足に組みこまれたサイボーグを中心とするサイバーパンクレトロシューター『Turbo Overkill』は、ネオンが煌々と輝く大都市で、悪者AIの手下を切り刻むところから始まり、宇宙でデジタル半神と戦うところで終わります。

ゲームには、敵の体にプレイヤーをテレポートさせるスナイパーライフルから、軌道上爆撃プラットフォームによる攻撃のための目標をマークする照準装置まで15種類のさまざまな武器が存在します。 プレイヤーは武装化したエアカーを運転したり、放射線を浴びた荒地をバイクに乗って走ったりできるほか、宇宙船の船内でメカを操縦することもできます。 今年8月に最終バージョンの早期アクセスが可能になると、最もよく見られた『Turbo Overkill』の批評のひとつが、「いろいろありすぎ」でした。

『Turbo Overkill』は間違いなく、2023年で最高のシューターでしょう。そして、レトロシューターへの関心が再燃している中でリリースされた最高のゲームと言えるでしょう。 しかし、このゲームの最も特筆すべき点は、ゲームの広大な規模でも、多様なコンテンツでも、大胆な姿勢でもありません。 このゲームの中のすべてが実質、一人のデベロッパーにより制作されているということです。

「今、できあがったゲームを見返して、詰まっている内容を見ると、気が遠くなるような感じですよ」『Turbo Overkill』のデザイナーであるサム・プレブル氏は語ります。 「早期アクセスからずっと毎エピソード追ってくださった方は、3~4タイトルのゲームのように感じたことでしょう」
Turbo Overkill 1
『Turbo Overkill』がソロプロジェクトだと知って以来、プレブル氏がこのプロジェクトをどのように成功させたのかを知りたいと思っていました。 その完全なストーリーは、一人称視点シューターのデザインへの執着、献身、そして熟練の10年間の物語です。

短いバージョンは、『Turbo Overkill』のパブリッシャー、Apogeeのスコット・ミラー氏が要約してくれました。 「今まで非常に才能豊かな人々と仕事をしてきました」『DOOM』『Max Payne』『Duke Nukem 3D』のデザイナーなどと仕事をしてきたミラー氏は話します。「しかし、正直言ってサムほど才能のある人には今まで会ったことがありません」

物語はふさわしくもApogeeが1993年にリリースしたゲーム、『Monster Bash』から始まります。これは、サム・プレブル氏が初めてプレイしたと記憶しているゲームです。 「4歳上の兄からかなりの影響を受けています。 いつもネットからダウンロードしていました。 シェアウェアに関していろいろ知っていたみたいです」

プレブル氏はこの混沌とした横スクロールプラットフォーマーに関して、「非常に大きな影響を受けた」ということ以外に特別に何を覚えているというわけではありませんでした。 しかし、その次にプレイしたゲームはほぼ30年間、脳裏に焼き付くものでした──id Softwareの『DOOM』です。

「5歳か6歳の時に『DOOM』をプレイしました。シェアウェアバージョンの『DOOM』です」プレブル氏は語ります。 それも単にプレイしただけではありません。貪るようにプレイしました。 「真に『プレイした』と言える唯一のゲームだと思います」 『DOOM』のプレイをついにやめたとき、それはクリスマスプレゼントで受け取った続編をプレイするためでした。 「クリスマスにもらえると知っていたんです」プレブル氏は続けます。 「とてもワクワクしていたので、クリスマスの前に開けました」
Turbo Overkill 7
プレブル氏は小さい頃から『DOOM』に魅了されましたが、ゲームのプレイ自体が彼の将来を究極的に決定したわけではありません。 「自分でステージを作成できると知った時には、冷静さを失ってしまいました」

プレブル氏は7歳で『DOOM』のカスタムマップやミッションを作成し始めました(当時は.wadファイル形式からWADとして知られていました。これは、「Where's All the Data?(データの全部はどこに?)」の略語です)。 「かなりひどいものでしたよ」プレブル氏は自分の滑稽な初期作品についてこう話しています。

それでもプレブル氏は、1998年設立された、『DOOM』の初期MODサイトのひとつであるDoom Wad Stationなどのウェブサイトに自分の作品をアップロードし始めました。 「DoomworldやSkulltagコミュニティなどのコミュニティと深くかかわるようになり、そこでマップをリリースしました」プレブル氏は付け加えました。

プレブル氏の初期マップの多くは、『DOOM』『Unreal Tournament』『Halo』といった他のシューターと融合させたものでした。 しかし、『DOOM』のMODに関する知識が増えるにつれ、意欲も高まっていきました。 2009年には、マルチプレイヤーの「インベージョン」スタイル(プレイヤーが協力して敵のウェーブを阻止するスタイル)のMOD、Shotgun Frenzyをリリースしました。 このMODは、基地建設、技術リサーチ、砲塔などの展開可能な武器を含む、数々の新たなメカニズムを『DOOM』に導入しました。

Shotgun Frenzyがリリースされた頃には、プレブル氏は『DOOM』のMODツールで自分の作品を作りたいと思うようになっていました。 「10代の頃は、トータルコンバージョンにより興味がありました。 つまり、『DOOM』MODを作成し、すべてのグラフィックやスプライトを完全にオリジナルのコンテンツと置換するのです」

2008年にプレブル氏はTotal Chaosの考案を始めました。これは、『DOOM II』用のかなり大がかりなMODで、『DOOM II』を暗く非情な完全3Dグラフィック、ユニークなアート、モデル、サウンドを有するサバイバルホラーゲームに変化させました。 「ゲームを作る方法を学ぶプラットフォームとしてこれを使いました」プレブル氏は語ります。
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この時点で、プレブル氏はゲーム作りを本業としていきたいと思っていました。 しかし、彼はニュージーランドに住んでおり、2000年後期のこの国のゲーム業界は、まだまだ発生期でした。
その代わりにプレブル氏はテレビ業界で働き始めることになり、最初は子供向け番組のモーショングラフィックをデザインしていました。 Total Chaosを作り始めた同年、プレブル氏は名高いビジュアルエフェクトスタジオであるWeta Digitalに転職しました。ここで彼は、初の大きなメディアプロジェクト、ジェームズ・キャメロンの『アバター』の制作にかかわりました。

「Weta Digitalは最高でしたよ。アセットパイプラインやきちんと3Dモデルを制作する方法をたくさん学びましたからね」 プレブル氏はこれらのスキルをTotal Chaos『Turbo Overkill』の両方に適用することになります。後者の一人称視点のシネマティックカットシーンでは、彼の映画での経歴が特に色濃くにじみ出ています。

プレブル氏は最終的にゲーム業界にやってきて、Weta Digitalで一緒に働いていた何名かとともにスタジオA44を創設しました。 そこでは、3年間ほどソウルライクのゲーム『Ashen』を制作しました。 しかし、プレブル氏は自分のプロジェクトに集中したかったのです。 「A44を辞めて、蓄えがなくなるまで自分のプロジェクトに打ち込みました」

最初の考案から10年後、開発に着手してから6年後の2018年に「Total Chaos」をリリースした後、プレブル氏は次に何を作るべきか分かりませんでした。 シューターを作成しようと思い、それを商業的な試みにしたいとも思いました。 それ以上のところで、アイデアを出すのに苦しみました。 新プロジェクトの試みはまず「悪魔に支配された混沌としたようなもの」となりましたが、早い話『DOOM』を作っているのだということにすぐに気づきました。 「『このアイデアは何度も何度も使い倒されているよね』と思ったんです」

皮肉なことに『Turbo Overkill』のインスピレーションは古いシューターからではなく、新しいシューターから得ているとのことです。 「当時、『エーペックスレジェンズ』でかなり遊んでいました。そこでスライドのメカニズムがいいなと思ったんです」プレブル氏は話します。 「『敵にスライドするとやっつけられるとどうかな?』って思ったんです」
Turbo Overkill 5
プレブル氏はプロトタイプを作成し、楽しむことができました。ただ、敵にスライドするとなぜ大ダメージを与えられるかということを説明するビジュアル的な要素がプレイヤーにとっては必要だと思いました。 「『ああ、チェーンソーを付ければいいのだ」と思いました」彼は説明を続けます。 「サイバーパンクのテーマはそこから生まれたんです」

『Turbo Overkill』のすべてはチェーンソースライドから派生していきました。 プレブル氏はサイバネティック拡張のテーマをサイバーパンクの外見に拡大し、『ブレードランナー』の80年代のスタイル(全般の都市景観)と『AKIRA』のボディホラー(ゲーム内の歪んだサイボーグの敵や地下の有機体でできた巣穴)を組み合わせました。

武器のラインナップもハイブリッドに重きを置き、さまざまな発砲モードを持つ武器を組み合わせ、多機能な武器を作り上げています。 プレブル氏はこう説明します。「突拍子もない武器にしたかったんです。多くのものを合理化したかったのもあります。たとえば、ショットガンとグレネードランチャーのどちらかを別の武器として持つことができますが、組み合わせることもできますよね」

『Turbo Overkill』の最初のプレイ可能なエピソードは1年以内にできあがりましたが、プレブル氏によると「それほど楽しくなかった」そうです。 幸いなことに、プレブル氏がゲーム開発で最も楽しんでいることは「楽しさを見つける」ことです。 「1日何かに取り組み、それが思うように動いている結果を見るのが大好きです。 粘り強く、根気強くする必要がありますね」

ゲームのローファイビジュアルも、ステージ構築やプレイ体験の洗練に集中できた理由だと言います。 彼の言葉を借りれば、「グロいグラフィックでも大丈夫だった」そうです。
Turbo Overkill 2
2021年4月には、プレブル氏は『Turbo Overkill』の開発に十分な手ごたえを感じ、ゲームプレイ動画をYouTubeで公開しました。 現時点で、動画は90,000回再生されています。YouTubeの標準からは大きな数字ではありませんが、このゲームにとっては十分に大きな数字です。 この公開動画を見たひとりがスコット・ミラー氏です。当時彼は、現在のライセンス保持者であるテリー・ナギー氏とともにApogeeパブリッシングレーベルを再開させたばかりでした。

「ナギーから声をかけられたんです。『この名前の権利を持ってるんだけど、君はもう3D Realmsで働いていないし、Apogeeをリブートしてみないか?』と」ミラー氏はこのように語ります。 「躊躇などしませんでしたよ。『もちろん、ぜひ』と応えました」

ミラー氏は再誕Apogeeを「まったくレーダーにひっかからないインディーパブリッシャー」にしたいと考え、『Turbo Overkill』のゲームプレイ公開動画を見つけた際に、いくつかより小さいタイトルの権利を得ました。 「そのとき、このゲームには魔法でもかかっているんじゃないかって思ったんですよ」ミラー氏は言います。 『Turbo Overkill』は、Apogeeが1992年にリリースした『Wolfenstein 3D』を初めて見たときのことを思い起こさせました。 「いつも言うんですよ。運は成功には不可欠な部分であると」ミラー氏は続けます。 id Softwareの創設者にはたまたまそのときに、その場にいたから会えました。サムとつながったのも同じことです。 すなわち偶然ですよ」

ミラー氏によると、契約を締結するのに数か月かかったと言いますが、最終的にはプレブル氏が持つApogeeへのノスタルジーが決定打になったということです。 奇妙な偶然で、プレブル氏はApogeeが業界に舞い戻ってきたのを知っていて、子どもの頃に『Monster Bash』をプレイしていた日々を思い出し、『Turbo Overkill』のパブリッシュに興味がないか、Apogeeにメールをしていました。

ミラー氏とApogeeが『Turbo Overkill』のデザインにどれほど関与しているかは明らかではありません。 Apogeeはゲームのサウンドトラックで先導的な役割を担っています。この部分は、プレブル氏は作成していません。 「音楽はやらないんですよ」プレブル氏は話します。 他のすべてでそうであるように、Apogeeは何もしておらず、すべてプレブル氏のワンマンショーであるとミラー氏はかたくなに語ります。 しかし、プレブル氏はミラー氏が謙遜しているだけだと言っています。 「『Turbo Overkill』が現在の形になるための素晴らしいアイデアをいくつも出してくれましたよ」
Turbo Overkill 3
もちろん、開発中にプレブル氏の野心を抱いたとしても、Apogeeはプレブル氏を思いとどまらせるようなことはありませんでした。 最初のエピソードは早期アクセスで2022年4月にリリースされました。『Turbo Overkill』は、7つ目のミッションであるRooftopsで多くの高評価を得ました。 この広大なミッションでは、プレイヤーはエアカーでたくさんの高層ビルが立ち並ぶ広いエリアを移動し、車両の乗り降りを繰り返し、敵と戦闘します。 「この車両を使ったステージの後、どのエピソードでも車両のステージを作るべきだと決めました」プレブル氏は説明します。

この頃、長い間リリースが遅れていた『Duke Nukem Forever』の2001年のビルドがオンラインでリークし、そこにはデュークがバイクに乗るステージが含まれていました。 「それがとてもカッコよく、真似したいと思いました」とプレブル氏は話します。

Exodusとシンプルなネーミングを持つ、結果としてできたステージでは、悪者AIのSynが巨大なサウロンの目のような塔からレーザーを撃つ中、『Turbo Overkill』の主人公Johnny Turboが道楽的な大都市Paradiseから逃げるために追跡をかわす30分のチェイスシーケンスです。 今までプレブル氏がデザインした中で最も意欲的なステージでした。

残念ながら、面白くないステージでもありました。 「オリジナルのステージがかなりひどかったんです」プレブル氏は説明します。 バイクを一人称視点シューターに取り込むのは非常に難しかったのです。 「操作が最悪でした」プレブル氏は続けます。 「あらゆる敵を素早く倒してしまう強い存在から、いきなりバイクに縛り付けられた状態になるのです」

幸いなことに、プレブル氏の楽しさを見つける情熱により、ゲームの最終リリース前にステージは完全に再デザインされ、バイクはエピソード1のエアカーと同じプログラミング論理を使用するホバーバイクになりました。 「そのステージの作成でたくさんを学びました」プレブル氏は語ります。

エピソード3の開発の頃には、プレブル氏の創造性は全開になります。 それまでに作ったステージは、レトロシューターとしてはかなり複雑で、小さ目のマップでもクリアするのに約25分を要しました。 エピソード3では、ステージの長さは45分になりつつありました。
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プレブル氏の野心の拡大を最もよく表しているミッションは、地球の軌道上で繰り広げられる大規模な戦闘を背景に、Johnnyが宇宙船の内外で戦うTerminal Eclipseです。 メカを使った長時間のシーケンスで終わるTerminal Eclipseは、より多くのリソースを持つスタジオが制作したとしても、注目に値するほどです。

プレブル氏は話します。「昔から壮大な宇宙を舞台としたステージを作りたいと思っていました。問題は、野心的なアイデアはたくさんあるのですが、それを成功させることが非常に困難だということです。 かなりのテストを行いましたよ」

多くの作業が必要でした。 開発初期、プレブル氏は1週間で1ステージを作ることができました。 しかし、エピソード3の頃には、各ステージの開発に1か月かかるようになりました。 「信じられないほどばかげているほどです。 最後の方では、プロジェクトへの熱意がなくなりそうなときもあるくらいでした」

『Turbo Overkill』は早期アクセスの段階で、レトロシューターのファンから高評価を得ました。 この評価は最終リリースでさらに増強されましたが、タイトルの「Overkill(やりすぎ)」の部分を文字通り理解する批評家もいました。 「レビューの大半は好意的なものでしたが、一部はゲームが長すぎるという批評もありました」プレブル氏は話します。

ミラー氏はゲームの評判に喜んでいます。 「私たちにとっては素晴らしいリリースです。 売れ行きも良く、売れ続けていますし、レビューも素晴らしいですね」
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Apogeeを創設したミラー氏とApogeeのゲームをプレイして人生を歩み始めたプレブル氏にとって、この旅はまだ終わっていません。 二人は現在、『Turbo Overkill』のゲーム機への移植の作業に勤しんでいますが、より大きな計画もあると言います。 「将来的には新しいタイトルの作成を始めますよ。おそらく、来年の初めですね」ミラー氏は話します。 どのようなゲームになるかは教えてくれませんでしたが、このような説明がありました。「『Turbo Overkill』の最後に、『Johnny will return(Johnnyは戻ってくる)』という言葉が表示されます。 これは絶対に計画の一部です」

『Turbo Overkill』の続編を作成することはかなり難しいでしょう。しかし、オリジナルの開発を通してプレブル氏のスキルは上がっています。 「多くのことを学ぶことができました。 とても活力的ですよ」 それに、続編は拡大や増大が命です。『Turbo Overkill』が証明したことをひとつ挙げるとすれば、プレブル氏が次のレベルにエスカレートさせる方法を知っているということです。

『Turbo Overkill』は、現在Epic Games Storeで購入できます。