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声優たちが語る、『紅の砂漠』のような壮大な冒険に命を吹き込む秘訣とは

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Rick Lane
2026年2月23日

アレック・ニューマン氏が『紅の砂漠』のクリフ役を射止めたとき、それが自身のキャリアにおいて最も重要な役のひとつになるとは思ってもいませんでした。映画、テレビ、そしてゲームで活躍してきたスコットランド出身の俳優ニューマン氏は、2021年にPearl Abyssが手がけるオープンワールド・アクションアドベンチャー作品のキャストに加わりました。当時、プロジェクトはまだ初期段階にあり、クリフのセリフを収録していたにもかかわらず、自分が正確にどのような人物を演じているのかは分からなかったといいます。

「開発のプロセスによっては、声優が状況を十分に知らされないまま収録に臨むこともあります。最初からすべての情報が共有されるわけではありません」とニューマン氏は語ります。彼はこれまでに、フランク・ハーバート原作のテレビミニシリーズ版『DUNE/デューン 砂の惑星』でポール・アトレイデスを、『サイバーパンク2077』でアダム・スマッシャーを演じており、さらに2023年の『Still Wakes the Deep』ではカメロン・'カズ'・マクレリーを演じて英国アカデミー賞(BAFTA)主演パフォーマー賞に輝いています。「最初の頃は、クリフがこのゲームの主人公だということすら知りませんでした」

そして2026年。1か月先に『紅の砂漠』のリリースを控える今、クリフというキャラクターはニューマン氏の人生の一部になっています。「これほど長く演じたキャラクターは他にありません」とニューマン氏は語ります。「成長していく過程を見守ることができたのは、本当に特別な体験でした」
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ニューマン氏の『紅の砂漠』での経験は、演技とゲームの間にある独特な関係性を象徴しています。現代のゲームは、作品世界に命と個性を与えるために、実に幅広い演技の才能に支えられています。何十年もの経験を持つ専業の声優、古典演劇の訓練を受けた俳優、さらにはハリウッドのスターまでもが参加しています。今日のゲームは、声優をスターへと押し上げる力さえ持っています。何百万人ものファンに愛される物語やキャラクターと、その声を演じた声優の名前が永遠に結びつくことも珍しくありません。

しかし、制作過程が比較的よく知られている映画やテレビとは異なり、ゲームにおける演技はいまだ多くがベールに包まれています。ゲームという芸術形式の特性上、プレイヤーはお気に入りのキャラクターを演じる声優から常に一歩距離を置いた立場にいます。また、キャラクターに命を吹き込む方法も、スタジオごとに大きく異なります。

こうした事情により、ゲームにおける演技は、不可欠でありながら、捉えどころのない存在となっています。そしてそれは、私たちが遊ぶゲームだけでなく、それを支える人々にとっても現実的な影響を及ぼしています。

キャラクターを形作る


『紅の砂漠』は、現代のゲームに求められる演技の幅広さを示す好例です。広大で重厚なオープンワールドを舞台とする壮大なアクションアドベンチャーである『紅の砂漠』には、多彩で大規模なキャストが必要とされます。そしてプレイヤーは、中心となるキャラクターたちと長い時間を共にすることになります。

なかでも最大の挑戦となるのが、『紅の砂漠』の主人公の存在です。オープンワールドゲームでは、主人公はさまざまな役割を担います。戦士であり、探検家であり、指導者であり、恋人であり、職人でもあります。場合によっては盗賊や暗殺者になることもあります。こうした幅の広さは、キャラクターに明確な個性を持たせるうえで難しさを伴います。

ニューマン氏は、クリフに独自の人格を与えるため、自身のスコットランドのルーツを活かしました。「彼をスコットランド人だと想像することで、いくつかの性格的特徴や態度が見えてきました。自然な懐疑心や警戒心といったものです」特にインスピレーションを受けたのは、妻の義父であるグレアム・フレック氏の声や話し方でした。フレック氏は2022年、ニューマン氏がこの役を引き受けて間もなく亡くなっています。

「彼の声は低く、時にはうなり声のようでした。私の地声よりも低い音域ですが、クリフにはぴったりな風格があると感じました。その声には危うさがありながらも、大きな温かさと強い忠誠心も宿っていました」とニューマン氏は語ります。「彼の声をクリフのインスピレーションとして使うことで、何らかの形で彼が生き続けてくれればと思っています」
紅の砂漠 - 画像1
クリフに明確な声のイメージを見いだしたことで、ニューマン氏はキャラクターの人格をより深く掘り下げることができました。収録が進み、「灰色たてがみ団」と呼ばれる戦士の仲間たちとの関係が明らかになるにつれて、理解はさらに深まっていきました。

「クリフは基本的に無骨で皮肉屋な一面を持っていますが、収録が進むにつれて、彼の別の側面も見えてきました。彼は怒りや荒々しさだけでなく、強い感情を抱くことのできる人物です」とニューマン氏。「灰色たてがみ団の仲間たちとの家族のような絆こそが、クリフの感情面における核になっていると思います」

灰色たてがみ団の存在は、プレイヤーが『紅の砂漠』の世界や物語を体験するうえで、興味深い関係性を生み出しています。物語の主人公はクリフですが、彼だけが操作可能なキャラクターというわけではありません。『紅の砂漠』では、クリフの灰色たてがみ団の仲間であるオークのウンカと、故郷デメニスを離れて灰色たてがみ団と出会う女性Damianeの2人も操作できます。それぞれが固有の戦闘スタイルと探索方法を持ち、世界を異なる視点で体験させてくれます。

ウンカを演じるのはスチュワート・スカダモア氏です。Amazonの『カーニバル・ロウ』でボズ・ガイドスや『リーグ・オブ・レジェンド』とタイアップしたNetflixのアニメシリーズ『アーケイン』でリクタスを演じたことで知られています。「実を言うと、『紅の砂漠』のウンカ役を獲得したのはSideチームを通じてなんです」とスカダモア氏は語ります。「元々は異なる勢力に属する2人のキャラクターでセルフテープを提出しましたが、最終的に遊牧民であり、強い忠誠心を持つ灰色たてがみ団のウンカ役に選ばれました」

ウンカもまたクリフと同様、無口で寡黙なタイプのキャラクターです。スカダモア氏はその特質を意識して演じました。「彼は感情がないから黙っているわけではありません。言葉を慎重に選んでいるからこそ、口数が少ないのです」とスカダモア氏は語ります。「表現を抑制し、行動に移る前に熟考する姿勢――そのようなあり方を高く評価しています」

一方、Damianeを演じるのはレベッカ・ハンセン氏です。『Stellar Blade』のイヴ役や、『バルダーズ・ゲート3』のアルフィラ役で知られるほか、Netflix版『ウィッチャー』ではライリアの女王メーヴを演じました。ハンセン氏にとって、Damianeを演じることは自身の別の側面を探る機会でもありました。

「私はどちらかというと人に合わせる性格ですが、Damianeを演じるなかで、自分の正義感を前面に出すことができ、とてもカタルシスを感じました」とハンセン氏は語ります。「彼女はお行儀よく振る舞うタイプではありません。強く、自立し、自分の意見をはっきりと述べ、正しいと思うことを恐れずに行動する人物です」

3人のキャラクターをフルボイスで、しかも完全に探索可能なオープンワールドの中で操作できるようにすることは、開発面と運営面の両方において非常に大きな挑戦です。しかし、現代のゲームはこうした野心的な試みにしばしば挑み、それを実現してきました。あまりに当たり前になっているため、達成できることの凄さを見過ごされがちです。

だからこそ、ここで立ち止まり、私たちがどのようにしてこの地点にたどり着いたのか、そしてゲームと演者との関係において何が変わり、何が変わっていないのかを考えてみる価値があります。
 

刺激的な進化


ゲームの技術やデザインの可能性が広がるにつれ、ゲームにおける声優の活躍の機会と、彼らに対する期待もまた高まっていきました。その変化は16ビット時代の終焉期にまでさかのぼることができますが、特に顕著になったのはHDゲームの登場以降です。

「この15年ほどの間に、求められるスキルも期待値も確実に引き上げられていますし、それを取り巻く業界全体の創造性や情熱も高まってきたと実感しています」と語るのはジェニファー・ヘイル氏。ヘイル氏は、『バルダーズ・ゲート』『メタルギアソリッド』『BioShock』『Mass Effect』など数多くのシリーズに参加してきた、ゲーム業界を代表する声優のひとりです。
2026年のジェニファー・ヘイル氏(マンフレッド・バウマン撮影)

撮影:マンフレッド・バウマン

実際、『Mass Effect』での女性版シェパード少佐の演技は、声優がキャラクターにもたらす影響の大きさを示す象徴的な例となりました。ヘイル氏が吹き込んだ生き生きとした表現により、多くのファンが「FemShep」(女性版シェパード)こそが事実上のデフォルト版だと考えるようになったのです。「あれは、物語がゲームに与える影響を強烈に実感する体験でした。物語が人々の心や魂を深くつかむ様子を、はっきりと目の当たりにしたんですから」とヘイル氏は振り返ります。

ヘイル氏はまた、『Mass Effect』三部作は、ゲームにおける演技の役割が変化していく過程を別の意味でも象徴していたと語ります。すなわち、技術の進化が、より自然な演技スタイルを可能にしたという点です。

「初期の頃は、進化段階にある当時のビジュアルを演技が補完できるよう、少し強めに表現することが求められていました。でも三作目になる頃には、私が最も好きな演技の形が可能になりました。カメラに映る思考がそのままマイクに伝わるような演技です。ただその瞬間をありのままに演じればいいんです。それはとても刺激的な体験でした。人間の魂の体験の多くは、まさにそこから生まれるんですから」

それ以降も、ヘイル氏はゲームと演技の関係における数多くの変化と進化を目の当たりにしてきました。そのいくつかは広く知られているものです。たとえば、パフォーマンスキャプチャ(PCAP)の導入などが挙げられます。ただし、音声収録とパフォーマンスキャプチャの両方を同じ声優が担当するケースは、現代のゲームでもそれほど一般的ではありません。

「PCAPは、私にとって本当に大好きな仕事のひとつです」とヘイル氏。「でも、現場に行くと、その光景は今まで見た中で最も地味で、時には滑稽にさえ見えます。パジャマのような衣装で走り回り、本当に「ごっこ」遊びをしている感覚になります。ただひたすら想像力で補うんです」

ヘイル氏は例として、『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズでの経験を挙げます。彼女の演じるキャラクターはクレイトスを誘惑する場面がありました。「クレイトスは身長が2〜2.5メートルもあるでしょう?私は彼を誘惑しているのに、実際には彼の頭の50センチ上に置かれたテニスボールを見つめていたんですよ」

ヘイル氏はさらに、ゲーム業界で役割や立場の重要性が増しているのは、声優だけではないと指摘します。ボイスディレクターの役割もまた、ますます重要になっています。「セッションを終えてスタジオを出るとき、入ったときよりも自分がより良い演者になっていると感じることがあります。それはマイクの向こう側にいるディレクターのおかげです」とヘイル氏は語ります。「彼らは、こちらが調子を崩しているときにすぐに気づきます。そして、自分では気づかないうちに導いてくれるんです。適切な方向へと戻してくれたり、『このキャラクターの声があるべき場所』というガードレールを示してくれたりします」

ただし、すべてが大きく変わったわけではありません。ヘイル氏によると、彼女が受ける仕事の多くはいまだにコールドリーディング、つまり、初めて台本を読みながらそのまま収録を行う形式です。全体の約80%がその形式だといいます。それでも、ヘイル氏がゲーム業界で活動を始めた頃と比べれば変化はあります。当時はほぼすべての仕事がコールドリーディングでした。とはいえ、事前に台本を確認できる機会は今でもまれです。

また、他の声優と一緒に収録できる機会もほとんどありません。「他の声優と一緒に収録できるのは本当に特別な体験ですが、それは極めて稀です」とヘイル氏は言います。数少ない例のひとつが、『BioShock Infinite』でルーテス兄妹の一人を演じたときでした。「ケン・レヴィンが、オリヴァー・ベッカーと私のためにすばらしい環境を整えてくれました。彼と向き合い、エネルギーが往復するあの感覚は、全てを別の次元へと引き上げてくれました」とヘイル氏は語ります。

なぜそれが稀なのかについて、ヘイル氏は、突き詰めればゲーム開発の複雑さに行き着くと説明します。「ゲーム制作の過程では、バランスを取らなければならない要素が本当にたくさんあるんです。たとえば、チームの一部はある部分のビジュアルを作っていて、別のチームは他のセクションの音声を担当している、さらに別のところではまた違う音声作業をしている、といった具合です。でも、そのどこか一部分がまだ準備できていなければ、私たちはその作業を進めることができないんです」
 

新たな名声


ヘイル氏は、ゲームにおける演技の重要性の変化は徐々に進んできたものだと語りますが、その過程には「いくつもの小さな飛躍」もあったといいます。そのうちのひとつは、ここ数年で具体的な形を取りました。声優がゲームにもたらす価値自体は何十年も前から理解されていましたが、より最近の変化として、今ではキャラクターの演技そのものを理由にプレイヤーを引きつけられるようになってきているのです。

この変化が広く明らかになったのは、『バルダーズ・ゲート3』のリリース後でした。その人気は、主要キャラクター、そしてその役を演じた声優たちを取り巻くファン層によっても一部支えられていました。「『バルダーズ・ゲート3』に対する反応は、誰にとっても予想外でした」と語るのは、Larian制作の人気CRPGでナイトウォーデン・ミンサラを演じたエマ・グレゴリー氏。「私たち演者は、自分たちが長い時間をかけて創り上げてきた、没入感があり多様性に富んだ、包み込むような夢中になれる世界を、これほどまでに求め続けるコミュニティが生まれるとは思っていませんでした」

声優に与えられる役割の数と種類も、近年は増加し、多様化しています。たとえば、筆者がヘイル氏に話を聞いた当日、彼女は『オーバーウォッチ』の最新サポートヒーロー「ジェットパック・キャット」の声を担当することが発表されたばかりでした。文字通り、ジェットパックでマップを飛び回る猫です。
紅の砂漠 - 戦闘
「オーディションの話を聞いたとき、『わあ、絶対にやりたい』と思いました」とヘイル氏は語ります。ジェットパック・キャットの収録では、すべてを鳴き声で表現する必要がありました。「信じられないかもしれませんが、私はちゃんとリサーチをしましたよ。YouTubeでいろいろな猫の動画を見て研究しました。それから、『どこまで人間らしさを混ぜていいのか』という線引きを探りました」

その一方で、まったく異なる方向性の作品もあります。グレゴリー氏が近年出演した『The Killing Stone』は、プレイヤーがさまざまな悪魔、そして最終的には悪魔の王そのものと知恵比べをするデッキ構築型カードバトルゲームです。『BioShock』の元開発者であるジョーダン・トーマス氏がディレクターを務めた『The Killing Stone』には、現代英語で書かれた脚本と、17世紀の方言で書かれた脚本という2種類の台本が存在します。

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでの経験を持つ古典演劇出身の俳優であるグレゴリー氏にとって、『The Killing Stone』は、ゲームの中で自身の舞台における演技力を存分に発揮できる機会となりました。「どちらのスタイルも文章への深いこだわりが求められますが、シェイクスピア作品で演じた経験があったことで、ジョーダンが目指していた方向性をより深く理解できたと思います」とグレゴリー氏は語ります。「与えられた言葉が演じる人物像を形作ります。ある意味で、古典劇的な脚本の方が、プレイヤーに私のキャラクター、Marikenへの理解をより深めてもらえると感じています」

さらにグレゴリー氏は、現代のゲームにおいて、演劇やシェイクスピアの伝統がプレイヤーの想像以上に大きな影響を与えていると指摘します。「私にとって、演技は演技です。舞台であれ、テレビであれ、映画であれ、ラジオやオーディオブック、ゲームであれ、アプローチは同じです。特に舞台について言えば、声や身体表現、呼吸、共鳴、発音、動き、そして相手とのつながりに関するあらゆる訓練は、キャラクターについて素早く判断し、つながるうえで非常に貴重です。舞台は、言葉に全身で向き合い、その中に入り込むことで、ページから解放し、言葉そのものにキャラクターの物語を語らせることを教えてくれます」
 

コミュニティの構築


近年、声優たちはゲームの顔になるだけでなく、ゲーム開発者という立場にも踏み出しています。

その代表例が『Date Everything!』です。本作は、魔法によって変身した日用品と関係を築いていくという、コメディタッチの恋愛シミュレーションゲームです。『Date Everything!』を開発したのは、ベテラン声優であるレイ・チェイス氏とロビー・デイモンド氏が設立したスタジオ、Sassy Chap Gamesです。このプロジェクトは2018年に始動しました。当時、チェイス氏とデイモンド氏は、声優業界に広がりつつあった不確かさを強く感じていたといいます。

「8年前の時点でも、私たちは状況の変化を感じ取っていました」とデイモンド氏は語ります。デイモンド氏は『ファイナルファンタジーXV』でプロンプト・アージェンタムを演じたほか、近年では『サイバーパンク2077』『Hi-Fi RUSH』『DOOM: The Dark Ages』などにも出演しています。「データを追っていれば、それは否定のしようがありません。年間に受けるオーディションの圧倒的な数を見ればわかります。いわゆるハリウッドの俳優の『次は監督をやりたい』という決まり文句が生まれる理由もそこにあります。声優という仕事は、スター級でないかぎり、ある種の期限があるキャリアだと気づくんです」

同時に、ふたりは他の声優たちが自らの運命を自ら切り開いている姿にも気づいていました。その代表的な例が、実際にプレイしながら進行する『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のウェブシリーズ「Critical Role」です。デイモンド氏も同シリーズにレギュラー出演しています。「『Critical Role』は、多くの人に愛されるコンテンツを自分たちで生み出しています」とデイモンド氏は説明します。「重要なのは、彼らが声優であるだけでなく、創造面とビジネス面の両方に通じた判断力を持っていることです」
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そこでチェイス氏とデイモンド氏は、声優としての立場を別の形で活かす決断をしました。声優についてのゲームを、声優自身が制作するという発想です。さらにそのゲームは、声優たちにゲーム業界ではほとんど前例のない待遇も用意していました。いわゆる残余報酬、つまりゲームの利益の一部を分配する仕組みです。

「私たちは声優です。他のゲーム開発者が必ずしも持っていない、ある種の箔のついたスキルを備えています」とチェイス氏は語ります。チェイス氏は『ファイナルファンタジーXV』でノクティスを演じたほか、ディズニーのアニメシリーズ『X-Men '97』ではサイクロプスの声を担当しています。「私たちはSAG-AFTRA(映画俳優組合)との関係もありました。だからこそ、声優に残余報酬を支払うという、これまでのゲーム業界にはない報酬体系を採用することができたんです。アーティストの知り合いもいましたし、脚本も書けました。では、どんなゲームが作れるか?ビジュアルノベルです」

それは賢明な計画でしたが、決して簡単ではありませんでした。『Date Everything!』の完成には7年を要しました。その間、チェイス氏とデイモンド氏は、会社運営やゲーム開発のさまざまな側面を学ばなければなりませんでした。

声の収録に関しても、ふたりにとってはよく知る分野であったにもかかわらず、プロジェクトの制約により、チェイス氏の言葉を借りれば「最も非効率な方法」で進めざるを得ませんでした。

通常、『Date Everything!』の規模の脚本を収録する場合、収録は開発期間全体にわたって分散して行われるのだとデイモンド氏は説明します。「3か月間収録を行い、そのあと一度持ち帰って、改良を重ねて実装し、さらに3か月後にまた戻ってくる、という流れです」

しかしSassy Chap Gamesには、そのような体制を整える余裕がありませんでした。その代わりに、彼らは160万語、7万件のボイスキュー、102人の声優による全台本を、ひと夏のうちに一気に収録しました。「それだけの量を形にするには、配役が完璧でなければなりません。セッションも完璧でなければなりません。システムも整っていなければなりません」とデイモンド氏は説明します。

最終的には、その努力は確かな成果として実を結びました。『Date Everything!』はこれまでに70万本以上を売り上げており、スタジオを維持するには十分すぎる実績を上げています。Sassy Chap Gamesは現在、本作の大型アップデートを進めています。「今回のアップデートはかなり大きなものになります」とチェイス氏は語ります。同社は、新たな、より野心的なプロジェクトの開発も進めています。「私たちは新しいIPの開発や、他の構想の拡張に積極的に取り組んでいます」とデイモンド氏。「これはまだ始まりにすぎません」
 

『紅の砂漠』に命を吹き込む


では、こうした変化や進化は『紅の砂漠』にどのように反映されているのでしょうか。現代のオープンワールドゲームでは、作品世界を声でどのように形作っているのでしょうか。

ニューマン氏は、Pearl Abyssのボイスワークに対するアプローチの「基本的な骨組み」が、「ゲームで声が収録される方法と似ている」と指摘します。通常、そのプロセスはキャラクターの声よりも見た目から始まります。「私にとって、キャラクターの声を形作るうえで鍵になるのは、まずビジュアルです」とニューマン氏は続けます。「クリフの外見や立ち居振る舞いは、声を考えるうえでとても助けになりました」

こうしたビジュアル資料は収録前に提供されることもありますが、収録の過程で共有されることも多いといいます。「私たちの素晴らしいディレクター、マーク・ヒーリーは、『紅の砂漠』の世界に関するあらゆる知識の源です。彼はゲーム内に登場するさまざまなキャラクターやロケーションをまとめたボードを印刷して用意してくれていました」とハンセン氏は語ります。「それは、Damianeが初めて登場する場面に向けて、彼女の過去や心情を組み立てていくのに、とても大きな助けになりました」
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おおまかな声の方向性が定まると、いよいよセッションが始まります。スカダモア氏は、収録前の流れについて次のように説明します。「まず、これまでに収録した内容の簡単なボイスチェックを行い、雰囲気の一貫性を保つようにします。その後、ディレクターがその日のセッション全体の方針と目標を説明し、シーンの背景を共有します。全員が同じ認識を持つためです」

続いて、シーンやシーケンス、あるいは環境の参考映像を確認します。「流れに乗ったら、シーンの長さにもよりますが、通常は2テイクを収録します。ひとつはメインのバージョン、もうひとつは別案です」とスカダモア氏は続けます。「その中から録音チームが最適なものを選びます。一般的な、台本に沿って個別にセリフを収録していく従来のやり方とは、少し異なります」

多くのゲームと同様に、収録は基本的に声優が個別に行います。ただし、それでも掛け合いのきっかけとなる素材がまったくないというわけではありません。「やり取りを生き生きとしたものにするために、常に十分な状況説明が与えられますし、参考となる演技も常に共有されます。アレックのこれまでの出演作もたくさん聴いていたので、彼の声が頭に入った状態で臨めました」とハンセン氏は語ります。

ゲームのボイス収録は、カットシーン用のセリフだけにとどまりません。ちょっとしたセリフのほか、叫び声やうめき声、驚きや喜び、痛みを表す声といった、状況に応じたキャラクターボイスも収録します。これは特に戦闘シーンで多く使われます。

「戦闘シーンでは、動作ごとや呼吸ごとに細かく区切って収録するのではなく、私は映像に合わせて演じる方法を選びました」とニューマン氏は語ります。「ディレクターのマーク・ヒーリーは『見たままを演じる』という言葉を使っていました。マイクを開放してもらい、私はブースの中で飛び跳ねながら、リードデビルや他のボスと戦うクリフを演じました。まるでワークアウトのようでしたよ。私は常に立って収録していたんですが、クリフは身体的な動きがとても多いキャラクターなので、その方が自然なんです」

ハンセン氏によれば、収録セッションは「1時間から4時間程度」と幅があります。また、その日の収録がメインキャラクターだけで終わるとは限りません。「その日のDamianeのセリフを録り終えると、他のNPCをいくつも演じることもあります。私にとってとても楽しい時間です」とハンセン氏は語ります。

ゲームにおける演技で最も難しい要素は、プロジェクト全体を通じて積み重なっていきます。「最も大きな課題は、膨大なコンテンツ全体で一貫性を保つことです。感情面でも、声の面でも、物語上の位置づけの面でもです」とハンセン氏は言います。「何か月も間を空けて収録したシーンが、最終的なゲームでは隣り合って並ぶこともよくあります。そのため、どの瞬間にキャラクターが心理的にどんな状態にあるかという頭の中の地図を明確に保ち続けることが、楽しい挑戦になります」

三名の声優はいずれも、作品全体の方向性を見失わず、各演技に一貫性を保つうえで、ボイスディレクターの存在が不可欠であると強調しています。特に『紅の砂漠』においては、ヒーリー氏の演劇の経験が、作品世界の神話的な雰囲気を理解するうえで大きな助けになったとニューマン氏は語ります。「ディレクターのマークはシェイクスピアの素養があります。私たちはその影響について多くを共有しました」とニューマン氏は説明します。「常に剣と盾を携え、常に備えを怠らないクリフの身体性は、シェイクスピア的な視点から強く共感した点です」
 

旅の終わり


『紅の砂漠』は3月19日(米国時間)にリリースされます。プレイヤーにとっては、壮大な冒険の始まりとなるでしょう。しかし、出演した声優たち、とりわけニューマン氏にとっては、長い旅路の終着点でもあります。

「正直に言うと、クリフの声を演じる日々が終わるのはさみしいです」とニューマン氏は語ります。「ほぼ5年間、私は断続的に彼と共に歩んできました。これで終わり、そしてクリフが世界中へと旅立ち、ファイウェルの地で戦い続けることになると考えると、不思議な気持ちになります」
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ゲームにおける演技の未来を広く見渡せば、業界は今なお多くの課題に直面しています。しかし同時に、プレイヤーはこれまで以上にゲームにおける声優の価値を認識しており、これは声優自身が自らの運命を主体的に切り開く機会でもあります。「Critical Role」や『Date Everything!』のようなプロジェクトで声優たちが前面に立つ姿を見て、ヘイル氏は未来に対して楽観的な見解を示しています。

「『Critical Role』で彼らが賢明な判断を下し、自分たちのやり方でコントロールを握ったことは本当に素晴らしいことで、他の人にとってのモデルにもなっています」とヘイル氏は語ります。「ロビーやレイが同じ考え方で一歩踏み出しているのを見るのは、とても刺激的です。なぜなら、創造的で芸術的な人々が経済的にも力を持てる世界で私は生きたいと思っているからです」

一方、チェイス氏とデイモンド氏は、自らの成功について控えめな姿勢を崩しません。「私たちはただ自信過剰なだけです。私たちにできたんだから、誰にでもできるはずです」とデイモンド氏は締めくくります。
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一方、グレゴリー氏は、『バルダーズ・ゲート3』の成功は本質的に人間による成果だったと指摘します。「ゲームは魔法のような芸術形式です。もちろん、テクノロジーにも重要な役割はありますが、私の考えでは、『バルダーズ・ゲート3』の成功を支えた重要な要素のひとつは人間の力にあります。声優たちが演じ、生き、呼吸し、感じる深みのある多様なキャラクターは、優れた脚本家やアーティスト、音楽家、デザイナーなど、ゲームに関わるすべての人々によって生み出されているんです」とグレゴリー氏は語ります。

「他の開発者の皆さんには、創造的な人間のチームを維持し、その人たちが創造できる環境を守ってほしいと思います。時間を与え、人間らしく、不完全であることも受け入れてほしいですね。それこそが、素晴らしいものが生まれる道なんです」

『紅の砂漠』は3月19日(米国時間)、Epic Games Storeにてリリースされます。