
『Delta Force』のMonumentマップが、シューティングゲームのレベルデザインにおける新たな段階を物語る理由

『Delta Force』は、常に過去から強い影響を受けてきました。Team Jadeによるリブート版は、2000年代初頭にNovaLogicが手がけたオリジナルのタクティカルシューター(同じく『Delta Force』というタイトル)からの影響を、はっきりと受け継いでいます。リブート版『Delta Force』のマルチプレイヤーは、NovaLogicのクラシックなミリタリーシューターの要素に、現代的な技術とデザインが取り入れられており、シングルプレイヤーキャンペーンは、2003年発売の『Delta Force: Black Hawk Down』を直接リメイクした内容となっています。
『Delta Force』の最新マップMonumentも、これまでの流れを受け継いでいますが、今回は異なる形で過去が影響を与えています。NovaLogicによる3作目の『Delta Force』ゲーム(『Delta Force: Land Warrior』)のオープニングミッションをもとにしたMonumentでは、エジプトのピラミッド周辺に広がる広大な砂漠を舞台にプレイヤーは戦います。これほど象徴的な建造物を中心にマップを構築したことから、Team Jadeは、前例のない決断を下しました。実際にエジプトを訪れ、ギザのピラミッドを自分たちの目で確かめることにしたのです。現代のカイロの喧騒を圧倒する巨大な古代建造物の光景は、Monumentの制作アプローチを変えただけでなく、『Delta Force』におけるマップ設計の方法そのものに大きな変化をもたらしました。

2020年に同スタジオへレベルデザイナーとして加わったKai Zhuang氏は、Monumentを含む、『Delta Force』のウォーフェアモード向けに数多くのマップ制作を担当してきました。「私の情熱は歴史そのものにあり、そして世界を創造しているという感覚を楽しんでいます」と同氏は語ります。エジプトへのこの重要な旅はチームに「実にシンプルでありながら強力な気づきをもたらしました。それは、現実を尊重し、現実世界が持つ美しさや強さに信頼を置く必要があるということです。レベルデザイナーとしての私たちの仕事は、現実を破壊したり置き換えたりすることではなく、その中でゲームプレイを創造し、それを確固たるものにすることなのです」
Team Jadeは長年にわたり、『Delta Force』のマップ制作において、構想段階から始まる厳格なプロセスを確立してきました。Zhuang氏によると、マップの構想において、チームは理性と感情の二つの側面から考えるアプローチを採用しているとのことです。
理性的な側面では、スタジオはコンセプトを評価し、それが『Delta Force』に新たな価値をもたらすかどうかを判断するとZhuang氏は言います。「これまでプレイヤーに提供したことのないもの、あるいは長らく手掛けていない要素を探求しています」と彼は説明してくれました。「新しいマップをリリースするたびに、直近のアップデートで追加したマップとは異なる体験に感じられることが目標です」
デザイナーは、マップのコンセプトが十分に新しく、独自性が認められると判断した段階で、感情的な観点から評価します。「自分自身の心に響かないアイデアはうまくいかない、という考え方が社内にあるんです」とZhuang氏。「このコンセプトは本当に自分の心に語りかけてくるか?自分自身が心からワクワクできるか?」
マップのコンセプトがこれら二つのテストに合格すると、制作に進む可能性が高くなります。この段階で、Team Jadeはマップ開発に関わる全員が参加する「キックオフミーティング」を行います。レベルデザインそのものは四段階で進行します。最初はレベルデザイナーが数週間をかけて、グレーボックスでマップの骨格や流れを作り上げます。
マップはすべての段階でプレイテストが行われますが、特にこの初期段階では、デザイナーのアイデアが実際に機能するかを確認するため、集中的にテストが行われます。「全体の体験を確認するため、厳しい基準で何度も社内テストを実施します」とZhuang氏。
第二段階は、Zhuang氏が「アートグレーボックス」と呼ぶもので、レベルデザイナーがアーティストと連携しながら、マップをより具体的な形に仕上げていきます。「この段階で、マップや環境全体にアーティストの手が加えられていきます」と彼は続けます。
その後、チームはアセットの制作と、それらをマップへ組み込む工程へと移行します。「(この段階では)ビルドは十分に最適化されておらず、安定性も高くありません。可能な限りテストを行いますが、頻度はやや低下します」とZhuang氏は語ります。
制作の最終段階では、主に最適化と「できる限り多くのバグを修正する」ことに注力します。同時にTeam Jadeがビジュアル面を完成させる段階でもあります。ライティングや特殊効果を調整し、あらゆる状況においてマップが正しく表示されるように取り組みます。「そして、すべてを検証するため、可能な限り多くのプレイテストを実施します」とZhuang氏。

このワークフローは、Team Jadeが『Delta Force』の開発を重ねる中で確立されたものですが、当初から完成されていたわけではありません。
Zhuang氏はこう説明します。「開発を始めたばかりの頃、異なるテーマやシネマティックを加えることで、より多様な体験をプレイヤーに届けようとし、ひとつのマップにあまりにも多くのゲームスタイルを盛り込んでしまうという失敗を犯しました。その結果、できあがったマップは、まるでフランケンシュタインのようでした。『ひとつの完成されたマップ』には感じられません。『バラバラのパーツを寄せ集めただけで、心に響かない』と感じてしまうのです」
対照的に、Team Jadeの現在のアプローチは、「統一感のある美しさ」を実現するのに役立っているとZhuang氏は語ります。ただし、このやり方が最終形というわけではありません。昨年9月の『Delta Force』リリース以降、チームはマップのデザインについて多くのことを学んできました。リリースによって多くのプレイヤーが集まり、『Delta Force』のマップに対する長所や短所についてさまざまなフィードバックが寄せられたためです。
「一番大きな学びは、プレイヤーは選択肢を求めているということです。プレイヤーに自由度や選択肢が少ないと、ゲームは行き詰まりや、こう着状態になることが多く、それはどちらのチームにとっても良い体験ではありません」とZhuang氏は言います。そのため、スタジオはリリース後に追加されたマップでは、より多くの進行ルートや回り道を設計することになりました。「そうすることで、プレイヤーにとってよりダイナミックな体験を生み出すことができます」とZhuang氏。
プレイヤーの選択肢を増やすことは、マップデザインへのアプローチを変えることだけではないと同氏は強調します。「ミサイル攻撃などの支援要請から、敵の視界を遮る手りゅう弾まで、ゲームプレイ上の選択肢も含まれています」こうした選択肢は、意図的にチョークポイントを多く配置したShatteredのようなマップでは特に重要です。プレイヤーは自由に使えるツールを使って、こう着状態を打破することが求められます。
こうした学びのすべてが、『Delta Force』の最新マップMonumentのデザインに活かされました。『Delta Force: Land Warrior』のオープニングミッションをマルチプレイヤーマップとして再構築するにあたり、Team Jadeはプレイヤーに新鮮な体験をもたらすと思われる2つの要素を見出しました。
1つ目は、ピラミッドそのものです。「巨大なランドマークですからね」とZhuang氏は語ります。「視覚的な意味でも素晴らしい存在です。自分がどこにいて、何をすべきなのかを明確に教えてくれるんです」
しかし、プレイ最優先の理念に基づき、Team Jadeはピラミッドがプレイヤーにとって興味深い戦闘空間になるとも考えました。Monumentのピラミッド内部はすべて探索することができ、墓荒らしによって切り開かれた古代の通路やトンネルでは、広大な砂漠空間とは対照的な、激しい近接戦闘が繰り広げられます。さらに、ピラミッドの外部もプレイ可能な空間として設計され、歩兵だけでなく車両もその斜面を移動できるようになっています。

「古代では平らだったんですよ」とZhuang氏が語るのは、かつてギザのピラミッド全体を覆っていた滑らかな石灰岩の外装のこと。現在ではカフラー王のピラミッド中央部にのみ見ることができます。「今はもう平らではありません。石が階段のように積み重なっていますよね?そのままのピラミッドを再現していたら、車両は上ることができなくなってしまいます。そこで今回は、表面を平らにしたピラミッドを作りました」
ピラミッドへのアクセスは、ウォーフェアの2つのサブモードで若干異なります。
「Attack and Defend(攻撃と防御)モードでは、ゲーム全体のテンポを大きく乱すため、マップ内の2つのピラミッドの頂上エリアを閉鎖しました」とZhuang氏は言います。「一方、King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)モードでは、プレイヤーが中央にある大ピラミッドへアクセスできるようにしました。プレイヤーのみなさんにこれはとても好評です。スナイパーライフルを持って頂上に登るのが人気ですね。時には、車両をピラミッドの頂上に乗り入れることもあります。また、ピラミッドから滑り降りようとするプレイヤーもいます」
Team Jadeが魅力を感じた2つ目の要素は、『Delta Force: Land Warrior』のオープニングミッションに登場する砂漠そのものです。スタジオは、戦いの進行に合わせて砂丘がリアルタイムで移動することで、砂漠そのものをゲームプレイの要素として活かせると考えました。「状況に応じて機能する隠れ場所をプレイヤーに与えてくれます」とZhuang氏。「そして、プレイヤーにとって、人工的な空間で戦うよりも、こうした環境の中で戦う方が、はるかにリアルで魅力的な体験と感じられるでしょう」
当初、Monumentのデザインは、純粋にこうしたプレイ面での可能性に基づいて進められていました。しかし、Team Jadeがこれほど象徴的な建造物を中心にマップを制作したことから、開発チームは実際に現地で確かめることを決断したのです。このエジプトへの旅は、Monumentのデザインに対する彼らの視点を劇的に変えました。まず彼らを驚かせたのは、大ピラミッドの圧倒的なスケールです。「ピラミッドのふもとに立ったとき、斜面でさえマップにとてつもない高低差を生み出すことに気づきました」とZhuang氏は振り返ります。
この訪問により、遺跡群と周囲の景観との関係性、そしてカイロの都市部がすぐ近くに広がっていることについても、より深く理解できました。「まさにひらめきの瞬間でした。ピラミッド周辺の実際の環境がどのようなものか、それまで知らなかったのです。現地を訪れて初めて、プレイヤーのみなさんに届けたいものはこれだと感じました」
何よりも開発チームは、時の流れ、そして精巧に切り出された石や周囲の風景に刻み込まれた、人類史の奥深さに感銘を受けました。「私たちは、マップを通じてその歴史と時の流れを表現しようとしました」とZhuang氏は言います。「実際にプレイしていただければ、ピラミッド内部の壁画が風化している様子や、何千年もの間吹き続けた風によって岩や砂が浸食されてきた様子を、いかに表現しようとしたかお分かりいただけると思います」
ピラミッドのふもとに立つという体験は、レベルデザインにおいて何が重要なのかというチームの認識を変えました。実際その影響は非常に大きく、Team Jadeはこうした現地視察をデザインワークフローに組み込み、歴史や文化の独自性を今後のデザインに反映できるようにしています。
「今後のマップでも、このアプローチを続けていきます。すでに何度か実践しているんですよ」とZhuang氏。
『Delta Force』は新たなMonumentマップとともに、現在、Epic Games Storeで入手可能です。