
何よりもプレイヤーを念頭に置いて作られた『EA SPORTS FC 26』

リリース前の『EA SPORTS FC 26』を試遊するためにEA Vancouverを訪れたとき、開発チームが私たちに最も伝えたかったことは、今年のゲームはプレイヤーの意見を聴いて開発を進めたという点でした。開発チームは、トレンドや一時的な流行りに流されるためにここにいるわけではないのです。むしろ、すべての要素は、ゲームをプレイする人々が何を求めているかに耳を傾けるところから始まります。どのスタッフと話しても、その会話の根源にはプレイヤーの意見を聞くという姿勢が感じられました。
2日間にわたって『EA SPORTS FC 26』の試遊を行い、主要ゲームプレイの変更点、再構築された進行システム、チーム運営のダイナミックな新しいアプローチについて詳しい説明を受けた後、私たちは「プレイヤーの意見は正しいかもしれない」と思わずにはいられませんでした。
ピッチシーン
腰を据えて『EA SPORTS FC 26』をプレイしてみて最初に気づいたのは、フィールドでのアクションのレスポンスがいかに良くなっていたかということでした。俊足のストライカーは素早くスムーズに方向転換することができ、メッシのようなフォワードを操作することは楽しいに違いありません。特に、EA Vancouverのチームは、単にアニメーションスライダーを増やしただけではありませんでした。むしろシーンの背景、ときにはコードにまで直接踏み込んで調整を行ったのです。『EA SPORTS FC 26』のゲームプレイ担当のリードプロデューサーであるポール・パーソンズ氏は「これは大規模なプロジェクトでしたが、プレイヤーの意見をしっかり取り入れることを実現するためには必要なことでした」と語っています。
「意見の中には『コアとなる基盤のゲームプレイを改善する必要がある』というものもありました」と、パーソンズ氏は言います。「楽しいという直感的な記憶、それが皆がゲームをする理由です。プレイヤーたちが求めていたのは、可能な限り洗練されたゲームプレイでした。そして、ゲームプレイチームはそれを実現することができたのです」
パーソンズ氏によると、ドリブルは、アニメーション、インプット、ポジション、その他の不確定要素が最も集中する部分だったので、まずはそこに焦点を当てたと言います。その結果、ドリブラーはボールにより多く触れ、ジョギングやダッシュがさらに速くなり、より素早く方向転換できるようになりました。優秀なドリブラーは、素早いアニメーションの利点を活用でき、熟練したプレイヤーにおいては、ピッチ上で爆発的な動作取ることが可能になりました。
しかし、サッカーはスピードと敏しょう性がすべてではありません。今年は、体型や強さ、身体的な特徴を武器とする選手も強化されています。ドリブル中にディフェンダーを「ボックスアウト」することは、ピッチ上の大柄で力強いプレイヤーにとってより効果的であり、筋力と体格を使ってコントロールを維持することができます。体格の違いは、衝突やポジションの競り合いに大きく影響します。例えば、大柄なセンターバックなら「ショルダーチェック」で小柄なウィングをよろめかせ、攻撃のチャンスを作り出すことができるでしょう。これは、より良いショルダーチャレンジとボールのシールドを中心に据えたスキルを備えた、新たなエンフォーサー(Enforcer)プレイスタイルに反映されています。
「強み、パワー、スキルが空間のコントロールによって表現されています。ゲームには元々シールド機能があったものの、それをゲームプレイの核となる部分にもっと取り入れたいと考えたのです。つまり、対戦相手を阻止したり、ドリブル中に肩で寄りかかり、体で相手からボールを奪う機能です」
ディフェンダーにも朗報があり、遅れをとっていません。特にゴールキーパーには、より効果的でよりオーセンティックとなるようデザインされたアップグレードが追加されています。コンピューター制御のキーパーでは、これは、来たる攻撃に対応する正しい角度を取るためのボックス内でのより賢明なポジションや、新たなアニメーション、そしてよりリアルなセーブを試みるためのシュートの軌跡のインテリジェントな理解を意味します。人間が制御するキーパーでは、これらのアップデートにより操作スキームが一新され、スティックをフリックしてダイブに備えたり、ボールのパンチングやキャッチのタイミングを図ったり、アタッカーに突進し、ボールのブロックやスマザーをすることが可能になりました。
フィールド上のディフェンダーは、特にプレイヤーによるボールの軌道をコントロールする方法に関して、タックル、ブロック、インターセプトの変化に気づくことでしょう。ミッドフィルダーがパスをインターセプトしても、ボールがランダムな方向に弾かれるだけではありません。自分やチームメイトがボールをキープできるようになっています。タイミングの良いタックルでボールキープの頻度が上がり、ゴール付近のディフレクション(キーパーも含む)も、ハイレベルのプロさながらに、意識的にアタッカーからボールを遠ざけて危機を回避することで行うことができ、リバウンドからの不公平なゴールも少なくなります。
誰もが楽しめるサッカー
オフェンス側でもディフェンス側でも、今年の重要な変更点の1つは、コンペティティブモードと非コンペティティブモードに分割された調整でしょう。このアイディアはかなりわかりすいものです。Ultimate Teamやクラブのような対人戦のゲームプレイモードから不確定要素を取り除き、運ではなくスキルによって勝者が決定されるようになりました。但し、キャリアのようにより現実的なモードを好むプレイヤーのためにアクションのオーセンティシティ(時には予想外の展開もあり)は維持されています。
パーソンズ氏が挙げた例は、サッカーの試合でよく見られるプレイヤーが他のプレイヤーと絡み合う場面でした。「これはカード寸前になる行為ですが、オーセンティックモードではプレイヤーが手を挙げて審判を見ます。これが、私たちがここで構築している複雑な作品の1部だからです。一方、コンペティティブゲームプレイオプションでは、素早く選手が立ち上がらせ、プレイに戻るようにしたいのです。これらはスライダーで調整できるようなものではありません」

もう一つの大きな焦点はアクセシビリティです。『EA SPORTS FC 26』の開発チームによれば、目標は地球上で最も身近なスポーツゲームを作ることです。この分野はコミュニティから大きな欠点として指摘されてきました。しかし、EAのアクセシビリティの専門家とコミュニティの協力のもと、進行中のプロセスにおいて、最初の一歩を考え出すことができたのです。
最大の新たな機能はハイコントラストモードの導入です。これにより、ホームチームとアウェイチームのチームカラー、ピッチの彩度、ボールの色を変更できるようになりました。さまざまな視覚的ニーズに応えるため、それぞれにカラーオプションが用意されており、注目すべきは、このモードがコンペティティブプレイでも利用できることでしょう。
「コンペティティブゲームが、コンペティティブプレイでこのようなハイコントラストを使うことは非常にまれです」とパーソンズ氏。「それはおかしなことです。それではアクセシビリティではなく、ただの便利な機能です。私たちは、確実にアクセシブルなゲームでありたいのです」
より多くのマネジメント
『EA SPORTS FC 26』の監督キャリアでの主たる目標の1つは、特に以前このモードをプレイしたことがある人に、より興味深い体験を届けることです。それは、新たな監督ライブチャレンジから始まります。これらは人気のクラブを基に厳選されたシナリオで、達成すべき特定の目標が含まれています。初心者向けのチャレンジは移籍やスカウトに焦点を当てており、これらのメカニズムの使い方を学ぶのに適しています。一方、より上級のゴールは、大きな点差や財政赤字からスタートしてチャンピオンシップを勝ち取ることを中心としたものになります。

毎週新たなチャレンジが配信されますが、目標を達成することは単なる自慢要素ではありません。ゲームを進めることで、選手向けのレトロなキットのようなゲーム内報酬を獲得できたり、新たに追加されたズラタン・イブラヒモヴィッチやアレックス・モーガンを含む名選手をアンロックして、お気に入りのチームに加えることができます。
『EA SPORTS FC 26』のラインプロデューサーであるアンドレアス・ウィルスドルフ氏によると、これはキャリアモードのプレイヤーが何に興味を持っているのかを知ることから直接得たものだそうです。
「フォーラムやRedditのスレッドを見てみると」とウィルスドルフ氏は続けます。「監督キャリアモードを10年間プレイして何度も再建を行った人々の投稿を見かけます。『プレイできるチームやどのチャレンジをするべきかの提案はありませんか?』という投稿があれば、今年初めて『FC』をプレイして、選択肢の多さに圧倒されている人もいます。『誰か簡単に始められるものを知っていますか』という投稿もあり、そこで私たちは『ああ、待てよ。ここにヒントがあるな』と思ったのです」
必ずしも監督ライブのシナリオを選択する必要はありません。お気に入りのクラブを運営する通常のプレイスルーでも、予期しない出来事が発生し、独自のドラマが展開されるのです。サッカーはピッチ上だけのものではありません。ピッチの外で起きたことが直接ピッチ上で起こることに影響を及ぼすのです。例えば、重要なリーグ戦が控えているというのに、チームメンバーが食中毒になってしまったらどうしますか?これはつい最近、サレルニターナに起こったことですが、あなたのリーダーシップに手腕が問われることになります。

これらの出来事は、怪我に関連するもの(貸し出したプレイヤーが負傷して戻ってくる)の場合もあれば、財政上の(理事会によるチームへの干渉)場合もあります。家族から遠く離れてのプレイでホームシックになってしまった選手に、自力で乗り越えろと言うのか、出身地が同じ別の選手を入れてチームにうまく馴染めるようにするのか?それとも損切をして、何でもいいので移籍させてしまうのか?1試合の間に解決できる問題もあれば、何シーズンにもわたって続く問題もあります。多くの場合、単純な正解はなく、これらをどうやって解決するかはプレイヤー次第なのです。
「もし有名な選手がインタビューでクラブを辞めたいと発言したら、どのような反応をしますか?」とウィルスドルフ氏が尋ねました。「厳しい対応をして契約を破棄しますか?そうなった場合、残りのチームの士気はどうなるでしょう?あなたがその選手を移籍リストに載せて辞めさせることにしたら、そしてあなたがその選手を売却する決定を下したと知ったら、理事会はどのような反応するでしょうか?」
監督としての人生は大きな賭けであり、チームの成績によってキャリアが左右され得るのです。今年は、そこにも焦点が当てられています。地元の小さなクラブであれば試合に勝つだけで十分かもしれませんが、チェルシーのような強豪クラブでは理事会の干渉を退けるのは容易ではないでしょう。スポーツ界全体の雇用の安定性の評価をチェックして、興味がある機会を見つけたらそれを追求することもできます。しかし、現実のクラブと同じように各チームには戦略的な計画があり、素早いオフェンスを中心に構成されている「ティキ・タカ」スタイルのチームが、守備の固い「パーク・ザ・バス」戦術を得意とする監督を雇う可能性は低いでしょう。
そして、それらの結果の影響はあなただけにとどまるわけではありません。世界中のサッカー界と同じように、監督は雇用、解雇、移籍、引退をし、代理監督が功績を上げ、そのまま留まることもあります。1人の監督が解雇されるとドミノ効果が生じ、そのポジションが埋まるにつれて、より多くの欠員と変更につながり、また、自分のリーグのチームが変化するにつれ、新たな困難が生じます。それはたとえ自分は個人的に自分のクラブに留まっていたとしてもです。
名選手をモチーフにしたアーキタイプ
1人の選手の操作に集中したいプレイヤーのために、選手キャリアとクラブの育成も大幅に改善されました。選手を作成する際に、選手のポジショングループを選択してアーキタイプを割り当てることになりました。象徴的な選手にインスパイアされた13種のアーキタイプから選択できます。例えば、ズラタン選手にインスパイアされたターゲットマンは、攻撃の焦点となり、その身体能力を活かしてアクションの中心で優位に立ちます。シャビ選手をモデルにしたクリエイターは、正確なパスでディフェンスを翻弄し、一見どこからともなく得点のチャンスを生み出します。

『EA SPORTS FC 26』のゲームデザイン・ディレクター、ピート・オドネル氏は、プレイヤーは選手を自由に作成できるものの、お気に入りの選手でプレイできるようなフレームワークも用意してあると言います。
「自分がなりたい選手を選べます」とオドネル氏。「そのアイデアを名選手にリンクさせることで視覚化しやすくなります。そして、得意分野と個性を磨いていくことで、独自性が生まれるのです」
各アーキタイプには3つのユニークな専門技能があり、進行とともにアンロックされ、さらにプレイスタイルをさらにパーソナライズすることができます。例えばMagicianのアーキタイプは、ボックスに入るとHotshotになり、パワフルなシュートを決めることができ、Invaderは、適切な攻撃状況でボールをパスして、チームメイトにブーストを与えます。
進行状況はトレーニングと試合の実績に影響されるようになりました。またアップグレードツリーは廃止され、自分のアーキタイプにとって最も重要な特性にポイントを自由に分配するシステムに置き換えられました。このポイントは好きに割り当てることができるものの、自分のアーキタイプでの評価を上げるには主要な特性を向上させる必要があります。
「プレイヤーがどのルートを選んだのかを明確にするために主要な特性を強調していますが、それでも20~30の変更が可能であるため、自分だけのルートで行ってください」とオドネル氏は述べています。
世界のゲーム
『EA SPORTS FC 26』が派手な新機能ではなく、基本的なゲームプレイに重点を置いていることは、マーケティングの観点から言えばリスクが高い動きですが、1試合プレイしただけでそれが正しい判断であったということがわかります。スピードもレスポンスもすばらしい感触です。監督キャリアモードを一新する、よりダイナミックなオプションの導入は興味深く、ゲームでフィーチャーされるレベルの名選手にプレイヤーを育成するアイデアもまたしかりです。時にはプレイヤーの意見に耳を傾け、その要望に応えるだけのシンプルさが良いのかもしれません。
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