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『SILENT HILL f』:新しさと懐かしさ、美とおぞましさの織りなす世界の舞台裏

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Tom Regan
2025年10月7日

/p/silent-hill-2-4542c7江戸時代の日本では蒸し暑い夏、武士たちは集まり、背筋も凍るような歌舞伎を見ては怪談を語り合いながら涼をとっていたといいます。また、日本の民間伝承によれば、うだるように暑いこの季節には、死者がこの世に帰ってくると言われており、日本においてハロウィンに相当する季節となります。私は日中気温が35度の東京で『SILENT HILL f』をプレイすることになりましたが、日焼け止めを塗りたくった私の肌を冷やしてくれたのは恐怖だけでなく、パブリッシャーであるコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)のオフィスで全開になっていたエアコンの助けもありました。

『SILENT HILL f』は、愛され続けているシリーズに大胆かつ斬新なアレンジを加えています。そこには強いメッセージ性、高尚なテーマが盛り込まれています。その結果、ビデオゲーム世界における舞台設定で、他に類を見ない作品となっています。とはいえ、『SILENT HILL f』の最も驚くべき点は、その存在自体と言えます。

EN Clickable BANNER BRANDED 1920x250 LOC先祖の魂が故郷へ帰るという、夏の行事であるお盆の時期に『SILENT HILL f』をプレイするのは、どこかしっくりくる気がします。長い間、 『SILENT HILL』の新作はもうプレイできないものだと思っていたからです。KONAMIはほぼ完全にビデオゲーム事業から撤退していたため、『SILENT HILL』のファンたちは最悪の事態を恐れていましたが、昨年、すべてが大きく変わりました。

2024年初頭、『SILENT HILL: The Short Message』はその名高いシリーズを刷新するきっかけとなりました。同年後半には、ポーランドの開発会社Bloober Teamが手がけた『SILENT HILL 2』のリメイクが高く評価され、依然として根強いファンがいることを証明しました。Bloober Teamによって、PS2の名作タイトルに新たな命が吹き込まれたのです。そして今、ファンの関心が再燃した中で登場する『SILENT HILL f』は、この影響力のあるホラーシリーズを思い切って新しい新境地、「東洋」へと向かわせています。

KONAMIと開発元のNeoBardsは大胆な決断を下します。舞台を 『SILENT HILL』シリーズの作品名の由来となったアメリカの町から、シリーズ初となる日本の田舎町へと移したのです。『SILENT HILL f』はリゾート地のようなメイン州の美しい光景から、日本の衰退しつつある山間の田舎町へと場所を変え、その時代設定は1960年代にまでさかのぼります。プレイヤーは問題を抱えた10代の少女、深水雛子となり、日に日に不穏な空気を増していく不気味な霧に覆われた戎ヶ丘で、自分の居場所を見つけようともがきます。

「これまで 『SILENT HILL』の舞台は、タイトルと同じ名の町、サイレントヒルでした。しかし、新しいプロジェクトを立ち上げようとしたとき、ストーリーラインが似ていて、ゲームプレイも似ていて、設定までも似ていると、退屈なものになるという結論に至りました」と同シリーズのプロデューサーである岡本基氏は説明します。「設定を変えた動機は、新鮮さを出すことが理由でした」

その決断は、間違いなく成果をもたらしました。舞台となった架空の街、戎ヶ丘は独特な美しさを持つ場所です。ゲームの制作陣がインスピレーションを得たのは、日本に実在する金山町。迷路のような通りや路地を再現し、閉塞感を最大限まで高めて緊張感を増そうと試みました。日本はビデオゲームの長い歴史に大きく関わってきたものの、現代の日本の地方を再現し、プレイヤーがそこを探索できるゲームはほとんどありません。最近では、プレイヤーが『アサシン クリード シャドウズ』や『Ghost of Tsushima』といった西洋製の侍アクションゲームで浪人を何時間も伐り倒すことができますが、日本を舞台にした日本発のAAAゲームは稀で、ましてや1960年代の田舎町を舞台にしたゲームとなればなおさらのことです。

霧「日本のホラーゲームは衰退しているかもしれませんが、むしろここ数年で日本を舞台にしたゲームの人気は確実に高まっていると思います」と岡本氏は同意します。「ここ10年ほど、日本製、あるいは日本を舞台にしたホラーゲームには目覚ましいリリースがなく、これは確かにリスクではありましたが、リスクとチャンスは表裏一体です。そこで、私たちは日本のホラーという側面に全力を注ぐことにしました」

映画でさえ、日本のホラーはかつての勢いを失っています。『龍が如く』シリーズではネオンに彩られた大阪の街で、プレイヤーがチンピラたちとドタバタと戦います。この豪華に再現された1960年代の街には、静寂と個性がはっきりと感じられます。一方、『SILENT HILL f』は雰囲気や場所の感覚を自然に捉え、際立つ美しさを持つゲームです。これは、近年の他のタイトルにはほとんど見られません。私はすかさず、ひっそりとした街角を一つひとつ見回さずにはいられなくなりました。お稲荷さんを祀った祠をすべて訪れ、美しく書かれた漢字を一文字一文字読み、不気味なほど静かな建物の質素な引き戸をすべて確認し始めました。

しかし、その不気味な美しさを味わう時間はあっという間に終わりを迎え、町の中を恐れながら進む雛子は命をかけた戦いに直面することになります。かつて静かだった町には恐ろしい霧が立ちこめ、操り人形のような存在たちが全身を震わせ、ぎくしゃくした動きで、胸を締め付けるような悪意を持って雛子に突き進んできます。町に住む大人たちの姿はどこにも見当たらず、雛子とその友人たちはいたるところでバケモノに出くわします。戎ヶ丘は徐々に赤い植物で覆われていき、その魅惑的な深紅の花々がつるのように道に広がり、雛子の脚に巻き付いてその場にとどまらせようとします。

舞台はアメリカを離れたため、『SILENT HILL f』に銃は登場しません。代わりに、身近にある短刀や野球用バット、鉄パイプや農業用の鎌など、ありとあらゆるものを使って自分の身を守る必要があります。包丁の刃から逃れ、間一髪で反撃する場面では、緊迫した近接戦がフロム・ソフトウェアの『Dark Souls』を彷彿とさせます。

しかし、デベロッパー側のゲームプレイ責任者によると、『f』の戦闘シーンは、宮崎英高氏の作品に対するオマージュではなく、実際にはシリーズの過去作から着想を得たものだといいます。「今回の作品は『SILENT HILL』に対する新しいアプローチなので、まず最初に過去の『SILENT HILL』シリーズをすべて振り返りました」と語るのは、KONAMIと共同で本作を手がけるスタジオ、NeoBardsのゲームディレクターを務めるアル・ヤン氏。「私とチームが、ゲームプレイ面で最も大きな影響を受けたのは、『SILENT HILL 1』『SILENT HILL 4』の2作品でした」『SILENT HILL 4』は近接戦中心のゲームなので、あの緊張感とペースを再現しつつ、より現代的な印象を持ったものにしたいと考えました」

そのため、SILENT HILL f - 戦闘『SILENT HILL f』は、あらゆるシステムに緊張感が盛り込まれた作品となっています。所持品の管理に加えて、プレイヤーの武器には耐久度ゲージが設定されており、壊れる前に工具袋を見つけて修理する必要があります。また、主人公の雛子には気の毒にも精神力ゲージが存在します。悪夢のようなバケモノたちに遭遇し、住み慣れた町が闇に包まれていくのを目の当たりにする中で、プレイヤーは慎重に雛子の精神状態を保たなければなりません。精神力ゲージを使用すると、敵の攻撃をスローモーション化したり、命を救う集中攻撃を繰り出したりすることもできます。しかし、集中状態で攻撃を受けると、雛子はパニック状態に陥り、体力が急速に減少してしまいます。

「ホラーゲームで怖がるのが楽しいと言う人はたくさんいます」とヤン氏は言います。「でも、その人たちが本当に言いたいのは、そこから得られる緊張感を楽しむことでもあると思うんです。そのため、私たちにとって所持品は非常に重要です。武器の耐久度や体力ゲージが可視化されていることが重要なんです。ゼロにどれだけ近づいているかを知ることになり、さらに、持てるアイテムの数にも制限があります。つまり、プレイヤーは敵の脅威を認識していますが、同時に自分自身の限界、死にどれだけ近づいていて、所持品がどれくらいで尽きるのかを強く意識することになります。これが、緊張を生み出すのです。角を曲がったところで何が起こるかは予測できるかもしれませんが、それに対処する準備ができているかどうかはわかりません」

序盤のレベルは、「筋骨」として知られる迷路のように絡み合った細い路地で構成されており、雛子が必死に町から逃げようとしても閉じ込められているような感覚を与えます。戎ヶ丘を包み込む霧が次第に濃くなるにつれ、花のような異形の存在や、操り人形のようなバケモノたちが潜む中、一歩進むたびに未知なる危険に近づいていくことになります。景色は、密集した路地から、霧がかった田んぼや不気味な教室、そして廃墟となった陰鬱な神社へと変わっていきます。特に、鎌を振り回すカカシでいっぱいの畑で注射器を手に入れるセクションは恐怖を覚えます。静止したカカシのうちどれが生き返り攻撃してくるのか、また、どれが虚ろな目でじっと見つめてくるだけなのか、まったくわかりません。

SILENT HILL f - 祭壇幸いなことに、雛子にはいつでも一息つける場所が存在します。草木が生い茂る小道や石畳の道のいたるところに、お稲荷さんを祀った祠が点在しています。これは戎ヶ丘を単に視覚的に飾るものではなく、プレイヤーの聖域にもなっています。この小さな祠では、ゲームを中断してセーブし、特定のお供え物を奉納しながら、息を整えることができます。お供えすることは、ストーリーに一味添えるだけではなく、雛子の生存率を高めることにも繋がります。回復アイテムやスタミナ回復アイテムを見つけたら、手元に残して戦闘の最中に使うか、祠で功徳と交換するかを選択できます。功徳を使うと、特定のステータスを強化する装備可能なお守りを購入できます。また、巧妙に隠された木製の絵馬も存在し、絵馬と功徳を組み合わせると、追加の持ち物の所持枠を解除できるようになります。

NeoBardsが『SILENT HILL f』の緊張感あふれるゲームプレイのシステムを主導する一方、KONAMIは『SILENT HILL f』の興味を掻き立てるシナリオを、ホラーを得意とする著名なシナリオライター、竜騎士07氏に依頼しました。「非常に才能あふれるシナリオライターである、竜騎士07さんを迎えることができてとても幸運です」と岡本氏は語ります。

あらゆる優れたホラー作品と同じように、『SILENT HILL f』で紡がれる恐怖の物語も、奥深く共感できるテーマに満ちています。舞台は1960年代、日本で女性の権利運動が高まってきた時期とも重なり、『SILENT HILL f』には作品全体にジェンダーというテーマが随所に散りばめられています。雛子は、酒浸りで暴力的な父親から逃れようとし、学校では「女らしくない」とクラスメイトにからかわれています。そんな彼女の背景の奥には、女性蔑視や怒り、嫉妬といった暗流が漂い、『SILENT HILL f』の幻想的なホラーの表層下で波紋のように広がります。

「ジェンダーは物語の重要な要素の一つです。ネタバレになってしまうので、あまり詳しくは言えませんが…」と岡本氏は言葉を選びながら続けます。「このテーマは、竜騎士07さん自身が望んでいました。そして、雛子に焦点を当てることと、ジェンダーに焦点を当てることは、明確な意図に基づいた決断なのです」

SILENT HILL f - 雛子『ひぐらしのなく頃に』や『うみねこのなく頃に』といったビジュアルノベルの執筆で知られる竜騎士07氏の作品は、長年にわたり、背すじの凍るようなホラーと人間味を融合させてきました。自称「生涯ゲーマー」の彼のペンネームも、『ファイナルファンタジー』への愛に由来しており、「竜騎士」はドラグーン、『07』は『ファイナルファンタジーV』のキャラクター、レナを表しています。『SILENT HILL f』の舞台が日本だと知った時、竜騎士07氏は『SILENT HILL』について知っていたことをすべて忘れるのに少し時間がかかったと語っています。プレイヤーが「サイレントヒル」の町にいないなら、 『サイレントヒル』のゲームとは一体何なのでしょうか?

竜騎士07氏はこう説明します。「 『サイレントヒル』を『サイレントヒル』たらしめる要素とは何かを改めて考え直さなければならず、そこから、登場人物が心の中に抱える恐怖に焦点を当てることにしました。この要素が考慮され、心理的な側面に忠実であれば、舞台が日本であろうと時代が過去であろうと、どんな環境でも『サイレントヒル』らしくなるだろうと感じました」

雛子とその友人たちは、自分たちの家がゆっくりと暗闇に包まれていくのを見守り、ある瞬間に雛子自身も超現実的で不思議な世界に引き込まれていることに気づきます。狐の仮面を被った謎の男に導かれ、この異界で雛子は完全に孤独になります。彼女が取り残された祠や古めかしい建物を通り過ぎていくと、これらの場所で恐怖が増していきます。雛子の前に子供の頃遊んだ人形が何度も現れて重大な警告をしてきます。そして、彼女を現実に引き戻すのです。『SILENT HILL f』では、現実離れした要素と共感できる要素を巧みに織り交ぜており、悪夢のような世界で繰り広げられる恐ろしいボス戦は、雛子自身が持つ、友人や家族との間にある緊張感を反映させています。

「このゲームの脚本を執筆するにあたり、誰もが経験できるような、ありふれた体験を基にしようと最大限の努力をしました」と竜騎士07氏は付け加えます。「物語の主なインスピレーションについて明かすとネタバレになってしまいますが、おそらくプレイヤーがプレイしていくうちに、より明確になっていくものです」

SILENT HILL f - 過去プレイヤーは、過去に雛子の身に起きた恐ろしい出来事や、彼女の故郷を崩壊に導いた出来事を解き明かしていきますが、その謎そのものも登場人物の心理や設定を反映しています。雛子の不安を深く掘り下げる学校にある秘密箱のパズルから、故郷と宗教の不安定な関係を反映する序盤のお守り探しまで、 『SILENT HILL f』のパズルは興味深いほど抽象的です。また、雛子はずっと手帳に情報を記しています。新しい登場人物や場所、歴史について知るたびに、これらの登場人物たちのプロフィールや情報が、美しく描かれた絵と共に手帳に記録されます。

これは、戎ヶ丘のあらゆる側面について説得力を持って生き生きと表現し、この町の長い歴史とそこに住む人々の複雑な関係を描写するのに一役買っています。岡本氏にとって、町自体を一つのキャラクターにすることは必要不可欠でした。「これは『SILENT HILL』のゲームなので、当然、特定の登場人物の心理に焦点を当てる必要があり、今作のテーマが雛子に関連しているのはそのためです。でも、バケモノに襲われているのは雛子だけではなく、バケモノやその変化によって戎ヶ丘の環境も侵食されていることがわかります。これは、バケモノが雛子を攻撃しているだけでなく、彼女の故郷の一部、そして彼女自身の人生の一部も攻撃していることを比喩的に表しているんです」

SILENT HILL f - かかしバケモノと言えば、『SILENT HILL f』でプレイヤーが対峙する敵は、不気味な生ける悪夢を組み合わせたものです。前述の操り人形のほかにも、雛子は、自我を持ったカカシ、剣を振り回す巨大なバケモノ、さらには人間の顔を集めて作られた、ドロドロと血を流す二足歩行の生き物と戦います。これらの悪夢のような創造物はすべて、日本のアーティストKERA氏が生み出したものです。彼女のデザインは、ビジュアルノベル『Spirit Hunter』、Square Enixのゲーム『ロマンシング サガ』や『Lord of Vermilion』で知られています。その不安を煽るデザインは、『SILENT HILL f』でも、生々しい恐怖を芸術的でありながら不穏なものへと高めています。かつて静かだったこの町に邪悪なものが蔓延するにつれ、プレイヤーが遭遇する不気味な生き物たちはさらに醜悪な姿へと変貌し、ゲーム全体を通して独特で一貫した不穏さを放ち続けます。

「KERAさんと提携し、登場人物とバケモノのデザインを担当していただけたのは本当に幸運でした」と岡本氏は説明します。「彼女のコンセプトと私たちの作品を組み合わせることで、美しさとおぞましさが矛盾しながら存在する、とても独特な作品が生まれました。相反する二つの要素を何らかの形で組み合わせるというのは、日本のホラーでよく見られるテーマの一つだと思います。今回は、美しさと、より陰惨でグロテスクな要素を取り上げ、その2つを融合させて、極めて独特で不気味なタイプの美しさを作り出せました」

前作と同様に、 『SILENT HILL f』は複数回のプレイを想定して作られたゲームであり、悪夢のような旅路を進むごとに新たなストーリーの断片が明らかになり、雛子が抱える恐ろしい謎がゆっくりと紐解かれていきます。ファンにとって、『SILENT HILL f』にはシリーズ恒例の突飛なUFOエンドを含む、5つの異なるエンディングがあることも嬉しいニュースです。シナリオライターの竜騎士07氏は、プレイヤーに『SILENT HILL f』を何度もプレイしてもらえるよう、白黒つけるような道徳観をあえて避け、雛子の物語が迎える結末には明確な良い・悪いを示さないようにしたと語っています。雛子の暮らす町を包み込む霧のように、『SILENT HILL f』 で描かれた道徳観は、曖昧なままにされています。

SILENT HILL f - 俯瞰戎ヶ丘に戻るたびに、プレイヤーに新たな展開を体験してもらうため、雛子の行動と選択によってその後の内容が変化します。異なるボス戦につながるだけでなく、収集可能な伝承の追加部分や分岐、まったく新しいストーリーラインの発掘にも影響します。

これらはすべて、ペースを一定に保つためのより広範な取り組みの一部です。ヤン氏と竜騎士07氏は両者とも、真の恐怖は単なる安っぽいジャンプスケアではなく、緊張と驚きの上に成り立つものだと信じています。「すべてが同じだと、何も際立ちません」とヤン氏は振り返ります。「それが私たちが注目した重要な点の一つです。日本のホラーは、もう少しゆっくりと話が進み、雰囲気を重視します。アクションが全くないわけではありませんが、私たちにとっては、不穏さ、つまり美しさと恐怖に重点を置くことが最優先事項でした。少しペースを落として、プレイヤーにゆっくりと楽しんでもらうことを決めたのは、これが大きな理由の一つですね」

この思いは、 『SILENT HILL f』の見事な音楽からも聴くことができます。『SILENT HILL f』の制作に携わるスタッフのほとんどが新しくシリーズに参加していますが、サウンドトラックは『SILENT HILL』のベテランである山岡晃氏とシリーズ初参加の稲毛健介氏が担当しています。霧の世界は山岡氏が制作し、裏世界の音楽は稲毛氏が制作しています。2人の作曲家が別々にゲームに取り組むことで、2つの世界間の関係性が強調されています。

1999年から『SILENT HILL』の音楽を制作してきた山岡氏は、今回初めて、いつも以上に日本的な楽曲に取り組むことになりました。

「私としては、常に『SILENT HILL』の音楽には、日本の影響が色濃く感じられていたと願っています」と山岡氏。「ただ、これまでのゲームでは、西洋のプレイヤーの耳に馴染みやすく理解しやすいように作られていたため、日本らしさは調整されていました。でも、 『SILENT HILL f』では、そういった調整を行わず、純粋に日本人の視点で取り組んだので、過去の作品に比べて真の日本らしさを感じられる体験になります。今回はいくつか楽器を追加しましたが、これまでと大きく変わっていません。重要なのは、どんな楽器を使うかというよりも、日本の音楽性におけるテンポの取り方や味わいですね」

山岡氏はこの音楽で、日本のわび・さび、つまり環境の静けさと安らぎに焦点を当てる感覚を表現したかったのだと説明します。静寂と緊張の両方を増幅させて、1960年代の内省的な物語に不安に満ちた雰囲気を与えることが重要でした。それは、すぐに何なのかは特定できないものの、耳にすればすぐに感じ取れる雰囲気のことです。ゲームの導入場面から、音楽は即座に独特な世界観を醸し出します。郷愁を帯びたギター、鳴り響く伝統的な太鼓、物悲しいフルートの音が子供たちの歌声の物悲しいフレーズと溶け合い、不気味な雰囲気を完璧に作り出し、長く響く音によって不穏な空気が膨れ上がっていきます。『SILENT HILL f』の緊張感と心に響くストーリー展開のバランスと同様に、不気味な静寂とすべてを包み込む音響のバランスも完璧です。

多くのゲーマーにとって、『SILENT HILL』は画期的な第2作によって定義されるシリーズです。Bloober Teamによるリメイク版が批評的にも商業的にも成功を収める中、 『SILENT HILL 2』がシリーズ全体に投げかける影響力はますます大きくなり、岡本氏もその遺産と課題を痛感しています。「『SILENT HILL』シリーズのプロデューサーとして、新作を作るにあたり過去作をすべて探求しましたが、個人的には『SILENT HILL 2』がストーリー要素の大きなベンチマークになると感じています。でも、単に『SILENT HILL 2』と同じようなものを再利用しても、すぐにこのプロジェクトはプレイヤーにとって退屈したものになってしまいます。ですから、単に使い回すのではなく、もっと幅広く対応できるよう最善を尽くしています。『SILENT HILL f』で脚本を竜騎士07さんにお願いしたのも、この理由からです。新しいことに挑戦し、シリーズに新しいアイデアを吹き込むことで、 『SILENT HILL f』に新鮮な解釈を提供できるよう全力を尽くしています」
SILENT HILL f - 家雛子の攻撃力が大幅に強化されただけではありません。新たな弱者のヒロイン像を雛子に託したように、KONAMIは『SILENT HILL f』の運命を比較的新しい開発スタジオであるNeoBardsに依頼しました。2017年にゲーム業界のベテランチームによって設立された同社は、カプコンの『デッドライジング デラックスリマスター』『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』 、Square Enixの『Marvel's Avengers』『ファイナルファンタジーVII リバース』のサポート開発など、急速に信頼できる移植・サポートスタジオとしての地位を確立してきました。『SILENT HILL f』はNeoBardsがリードデベロッパーとして手掛けた初の大型タイトルであり、執筆時点でレビュー収集サイト「Metacritic」で86点という高評価を得ていることからも、このコラボレーションが実を結んだのは間違いありません。

「NeoBardsで開発された初の伝統的なホラーゲームとして、私たちは驚くほど肯定的なフィードバックと厳しいフィードバックの両方を受け取りました。これらを謙虚に受け止め、教訓になるよう心に留めつつ、将来に生かしたいと思っています」とヤン氏はゲームの発売前レビューについて語ります。「私たちを信頼し、このような伝説的なシリーズに貢献する機会を与えてくださったKONAMIに特に感謝しています」

EN Clickable BANNER BRANDED 1920x250 LOCこれは、2019年にKONAMIに入社し『SILENT HILL』シリーズの統括プロデューサーを務めてきた岡本氏にも共有する思いです。それから6年が経ち、『SILENT HILL』の復活は多くのファンの想像をはるかに超えるものとなりました。

「今の私たちがいる状況とファンの反応にとても満足しています」と岡本氏は笑顔で語ります。「リメイク版をリリースするだけで、間違いなく昔からのファンを呼び込むことができたでしょうし、それだけで十分だったかもしれません。ですが、私が焦点を当てたかったのは、より長期的なビジョンでした。このゲームを単なる一度きりの機会にするのではなく、将来的にさらに多くのことが起こるような前進にしたかったんです。3年前に複数のプロジェクトを発表する機会を持ったのはそのためです」

「最近では、『SILENT HILL 1』のリメイクの可能性についてほのめかしました。こうしたことから、ファンの皆さんは、『SILENT HILL』がただ復活するのではなく、今後もずっと継続するだろうと信じられるようになったと思います」