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ジョン・ロメロ氏、シューターというジャンルに再び狙いを定める
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Rick Lane
「とても忙しかったです」と、横をちらりと見ながら答えてくれました。 そして笑顔を見せると、疲れたように笑いました。 「本当に忙しいですね」
ロメロ氏からこんな言葉が聞けるのは、面白いことです。 外から見ると、彼が忙しくないことなんてほとんどないように見えます。 ベテランのプログラマー兼デザイナーである彼は、90年代にFPSの先駆者となったその仕事でよく知られています。id Softwareを共同で設立し、『Wolfenstein 3D』、『DOOM』、『Quake』を共同でデザイン。1996年から2001年にかけては、Ion Stormを設立して経営しました。 しかし、その後の数年間は、より実験的なプロジェクトに次々と着手し、Monkeystone Gamesではモバイルゲームを、Slipgate Ironworks(現在は独立したFPSデベロッパー)ではMMOのデザインを、Ravenwood Fairではソーシャルネットワークゲームを探求。 大きな成功を収めたプロジェクトもあれば、そうでないものもありました。 しかし、これらはロメロ氏がデザインの新しい挑戦を追求し続け、ゲームデザインの人気分野と新分野を同じように探究していることを強調するものです。
『Prodeus』、『AMID EVIL』、『Turbo Overkill』といったレトロにインスパイアされたゲームを通じてFPSがリバイバルを遂げるなか、ロメロ氏は今、彼が広めたジャンルで再び活躍しています。 2019年以降は、ロメロ氏自らがこの波に貢献し、ゲームの中心的なアイデアを拡張させるオリジナル版『DOOM』の新エピソードを2つリリース。さらなるレトロ志向のプロジェクトも進行中です。 これはすべて彼のスタジオ、Romero Gamesでの本業に加えられており、そこでは現在、まだ名前の明かされていないFPSがUnreal Engine 5で開発されています。

「30年サイクルのようなものです。 物事は30年サイクルで巡っているのです」とロメロ氏は言います。 「今、ホラーゲームでは、PS1、1995年の美学が大きな復活を遂げています。 そのような美学を持ったホラーゲームがたくさんプレイされています。そこには、恐ろしいジャンクっぽさがあふれているのです」 ロメロ氏はもうひとつの例として、ヴェイパーウェイヴ音楽の復活を挙げています。 「ヴェイパーウェイヴは本当に大きく、そのレトロな美学全体を支えています」
レトロなFPS(またの名をブーマーシューター)で、プレイヤーが再発見するのは、その原始的な3Dの美学だけではありません。 それは、彼らの根底にあるゲームデザインで、速く、熱狂的で、一見複雑に見えます。
「だから、ブーマーシューターのようなものを作っている人たちがたくさんいるのです。とても楽しかったので、もう一度やらない理由はありませんよね?」 ロメロ氏は続けます。 「特に、純粋なレベルデザインについて話している場合はそうです。 このようなレベルデザインは、長い間見られていません」
具体的な例を挙げ、ロメロ氏は、『DOOM』の舞台とモンスターを大きく意識したシューター、『Prodeus』のデザインを称賛します。 彼はまた、『DOOM』のオリジナルエンジンの人気バージョン(「ソースポート」)、GZDoomで開発された新しいシューター、『Selaco』にも興味を持っています。 「『DOOM』エンジンの力を最大限に引き出しています」と彼は言います。 「中身すべてが完全に変わっています。 新しいゲームのように感じられますが、お馴染みの『DOOM』らしさも感じられます」
ロメロ氏自身のシューターへの復帰の旅は、『DOOM』や『Quake』が広めたレベルデザインのスタイルに戻りたいという願望から始まりました。 「「E1M8B」と「E1M4B」を作りましたが、これはオリジナルで100%作れなかったレベルの代わりでした」と彼は言います。 「みんなとても気に入ってくれましたし、作るのは非常に楽しかったです」 これをきっかけにロメロ氏は、『DOOM』25周年を記念して9つのレベル(マルチプレイヤーバージョンを含めると18)の完全エピソードを制作することに。
「自分のゲームの誕生日には、いつもツイートすることにしています」と彼は言います。 「でも、『ツイートしたり、私たちが描いたものの、『DOOM』に実装されていないという理由でみんなが怒る1993年のグラフィックを投稿する代わりに、レベルの全エピソードを作って、公開するのはどうだろう?』と思ったのです」
これが、『DOOM』の非公式(本作のクリエイターの一人によって作成されたレベルパックが非公式となる場合)の5番目のエピソード、「SIGIL」となりました。『DOOM』の拡張エピソード「Thy Flesh Consumed」の終わりと『DOOM II』の間が描き出されます。「バフォメットが[『DOOM』の最後にある]テレポーターを操作して、あなたを地獄のさらにひどい場所に連れて行き、そこであなたの面倒を見るという話になります」
ロメロ氏は、プレイヤーのオリジナルゲームに対して、「より悪魔的な」結末を与えたかったのです。 「『DOOM』は実際のところ、悪魔的ではありません」と彼は説明します。 「古典的な[悪魔の]敵には見えないモンスターが登場します。バロン・オブ・ヘルだけは、古典的な悪魔に見えますけどね」と彼は言います。 「床に亀裂が入っている、「E1M8B」の視覚言語を使うことに決めました。本当にクールなモチーフでしたからね」

重要なのは、ロメロ氏が、新しい機能やゲームを変えるメカニクスを一切追加することなく、「SIGIL」を『DOOM』の純粋なレベルデザインで実現させたかったということです。 「ですから、多くのWAD[『DOOM』のMOD]によって新しい武器が追加され、感じが変わっています。 新しい敵が追加され、感じが変わるのです。 私は、感じを変えたくありませんでした」と彼は言います。 「変わっていないものを使って、新しいことにチャレンジするのは、本当に楽しい挑戦でした」
ロメロ氏のレベルデザインに対するアプローチは、id Software時代から変わっていません。アイデアの種から始めて、広範囲に及ぶ反復とテストを経ながら作り上げていくのが通常です。 彼はまた、エピソードを逆から考えていきます。 「基本的に、最初のレベルを最後に作り終える形で、レベルを作っていきます。プレイヤーに物事を伝えるすべての方法を進化させられるからです」と彼は言います。 「プレイヤーをだます方法や、思いついたクールなビジュアルなど、レベルに登場させるものを開発しているうちに、最初のレベルに一種の伏線として取り入れることができるようになるのです」
「SIGIL」のレベルは、ロメロ氏の「悪意に満ちたダンジョンマスター」のマップ作製スタイルを体現しています。 それが最もよく表れているのが、4つ目のレベル「Paths of Wretchedness」です。プレイヤーは3つの道から選択し、好きな順番でクリアしていきます。 「私が考えたのは、次のレベルのような、直線的な長い旅に連れ出すのはやめようということでした」と、ロメロ氏は言います。 「プレイヤーには、開始直後に3つから選択させたいのです」
どの道を選んでも、嫌なサプライズが待ち受けていることは間違いありません。 中には島が沈んでいく溶岩の道があり、そこでプレイヤーはあらゆるモンスターを追い越していきますが、開くのに無限の時間がかかる巨大な扉に、真っ向から飛び込むことになります。 「愉快でした。みんな、ほかの扉と同じように、その扉も開くと思っているのですから」とロメロ氏は言います。 「この扉は開かないのです」
「Paths of Wretchedness」には、全エピソードの中で最も悪名高い瞬間も含まれています。押しつぶされそうな天井で埋め尽くされた部屋があり、そのすべてが異なるスピードで動いているのです。 「あの迷路にはクラッシュエリアを迂回できるセクションがあり、大胆にも、そこに飛び込むこともできます」とロメロ氏は言います。 「[但し]そうしたところで、止まった状態でそのエリアを突破できるのでしょうか? エリアが封鎖されているかもしれません。 ですから、ほかの何かの上を歩いて、もう一度オンにしなくてはならないのです」
「SIGIL」の緊張感のあるスリリングなレベルは、批評家とコミュニティの両方から好評で、ロメロ氏は『DOOM』の最近の30周年記念に向けて、続編のエピソードを制作することに。 『SIGIL II』で、ロメロ氏は難易度を大きく上げることにしました。 「『SIGIL』のルールは、Ultra-Violenceの難易度のために制作するということでした。 それが標準的な難易度で、すべてのレベルをピストルからのスタートでクリアできなくてはなりません」とロメロ氏は言います。 「簡単すぎると[苦情を]言う人もいました。『いいだろう。簡単すぎるというなら、[「SIGIL II」の]Ultra-Violenceのデザインの目標は、ゲームをセーブしてロードしないとクリアできないレベルにしてやろう』といった感じです。 最初から最後までピストルではクリアできないほど、難しい必要があります」
その意図を示すためにロメロ氏は、「SIGIL II」の最初のレベルを、『DOOM』で最も強力な敵の1つであるサイバーデーモンとの遭遇で終わるようにデザインしました。 Ultra-Violenceの難易度では、そのレベルで手に入る弾薬だけではこのサイバーデーモンを倒すことができません。 「潰して倒す必要があります。 そして潰すには、クラッシャーを起動させる方法を見つけ出さなくてはなりません」とロメロ氏は言います。 「トリックがたくさんあるのです」

昨年末に公開された「SIGIL II」も同様に、『DOOM』のマップ作製に対する、その高度で非常に挑戦的な取り組みが評価されました。 ということは、ロメロ氏は3つ目のエピソードを制作するのでしょうか? 「「SIGIL 3」の要望は受けています」とロメロ氏は言います。 「『「SIGIL 3」を作ってください』と皆さんに言われます。私は、「SIGIL 3」は検討の対象外ではないものの、先にやりたいプロジェクトがあると返しています」
実際、ロメロ氏は、「SIGIL」の仮説的なフォローアップに取り組む前に試してみたい、過去の作品をもとにしたマップパックをほかに2つ作っています。 その1つ目は、『DOOM II』の新しいエピソード、「Hellion」です。「SIGIL」と同じく、「Hellion」はロメロ氏が『DOOM II』の1つのレベルを作ったところから誕生しました。「One Humanity」というタイトルでダウンロード販売され、その資金はウクライナでの人道的活動を支援するためにアイルランド赤十字社に寄付されます。 「『DOOM II』がリリースされた1994年から、『DOOM II』のレベルは作っていませんでした」と彼は言います。 「まだ28歳でした」
「One Humanity」は最終的に、「Hellion」の最終バージョンにほかの31レベルとともに加わる予定で、このプロジェクトは、「SIGIL」と「SIGIL II」を足したもののおよそ2倍の規模になります。 「しばらく時間がかかります。 実際、期限はありません」とロメロ氏は言います。 「おそらく年内に、『DOOM II』の30周年で少しお見せできると思います。制作中であることを伝えるだけになりますが」
「Hellion」が完成したら、ロメロ氏は『Quake』の新しいエピソードを作りたいそうです。 これを聞いて驚きました。 『Quake』は、id Softwareにとって『DOOM』よりもはるかに困難なプロジェクトでした。最終的にはスタジオの分裂につながり、ロメロ氏がIon Storm設立のために退社することになりました。 このことが、idそのものを本質的にバラバラにしたゲームに戻るという、ロメロ氏の気持ちに影響があるのではないかと思いましたが、彼はこのアイデアに対する興奮をあらわにしていました。
「『Quake』のレベルを作るのが大好きなんです」と彼は語ります。 「『Quake』のレベルを作るのは最悪でした。急いで作らなくてはならなかったため、私の書いたツールはとてもひどいものでした。 とにかく、レベルを作る必要があったのです。 当時は、3D StudioやMayaを作ることはできません」
しかし、今日では、TrenchBroomのような最新のレベルエディターのおかげで、『Quake』のマップ作製はかなり簡単になりました。 ロメロ氏が、『Quake』のレベルを、『DOOM』のレベルデザインと同じようなペースで生み出せると考えているほどです。 「最新のツールで『DOOM』のレベルを制作するのは、信じられないほど速いです」と彼は言います。 「TrenchBroomがすばらしいので、『Quake』がどんな感じになるのかわかると、楽しいでしょうね。 『DOOM』のレベル作製には、多くの技術データが関係しています。 しかし『Quake』のレベル作製では、問題はずっと少なくなります。 そのため、技術的に可能な限り正確になるよう努めながら、最近の『DOOM』のレベルと同じくらいの時間で『Quake』のレベルを作れるかもしれません」
もちろん、どれもロメロ氏が今、本当に時間を割いているものとは関係がありません。まだ名前の明かされていないUnreal Engine 5のFPSプロジェクトで、2001年の不運に終わった『大刀』以来初めて、ロメロ氏のシューターの才能がAAAゲームデザインで蘇ることになります。 このプロジェクトについて知られていることはほかになく、それについて話し合うこともありませんでした。 しかし、ロメロ氏が「とても忙しい」と繰り返していることからも、現在制作を大きく進めていることは明らかです。
とはいえ、インタビューを締めくくるにあたって、FPSがインディー、レトロのレベルを超えるには何が必要なのか、ロメロ氏の考えを知りたいと思いました。 現在の数少ない大作FPSは、『コール オブ デューティ』や『エーペックスレジェンズ』のようにマルチプレイヤーを重視したものか、『DOOM Eternal』や『Wolfenstein: The New Order』のように古典的なシリーズから派生したもののどちらかになります。 「例えば、「SIGIL」や「SIGIL II」のプレイ方法は、どちらかというと、戦いのあるパズルの箱のような状況のデザインのレベルになっていますが、最近のゲームの環境の多くは、パズルの箱ではありません」と彼は言います。 「そこだと思います。ユニークなレベルデザインです。 たとえ、それが古典的なものであってもです。 今の多くの人にとっては、それが新しいのです」