
長年のファンには故郷のように感じられる、『S.T.A.L.K.E.R. 2』でより広大になった立入禁止ゾーン

「立入禁止ゾーンを変更するという考えは一切ありませんでした」━━そう語るのは、GSC Game Worldのディミトリー・アノシュカ氏です。『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』のリードレベルアーティストによると、本作の舞台は物語にとって重要であるため、たとえ最後に登場したのが2009年であり、なおかつ15年もの間にPCやコンソールにさまざまな新しい技術や機能が搭載されるようになったとしても、開発者たちはこの場所の作り直しや「リブート」は決して考えていなかったといいます。
「[『S.T.A.L.K.E.R.』の]オリジナル三部作で、ゾーンのことはまだ半分も解明されていないと私たちはずっと感じていました」とアノシュカ氏。「見せたい場所や伝えたい物語はまだまだあります」
10年前でさえ『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズは、その世界そのものが、登場人物と同じくらい重要なキャラクターであると言えるゲームでした。本シリーズは、史上最悪の核災害である1986年に実際に発生したチェルノブイリ原発事故とその後の影響を描いた、廃墟が舞台のサバイバルアドベンチャーです。『S.T.A.L.K.E.R.』のタイムラインでは、ソビエト連邦がこの無人地帯をさまざまな実験に使用して超常現象的な異常が発生し、この立入禁止ゾーンにSF的な要素と超自然的な危険性がもたらされることになります。ストーカーたちは、これらの異常を探査し、その付近で見つかる貴重なアーティファクトを回収するためにこのゾーンに足を踏み入れるのです。

2007年から2009年にかけてリリースされ、15年間の沈黙を経てもシリーズへの関心を維持するほどのカルト的な人気を博したオリジナル作品をプレイした人々は、『S.T.A.L.K.E.R. 2』の荒廃した環境━━特にその拠点となる場所に、まるで故郷にいるような感覚を覚えるはずです。しかし、本作の長い開発期間(その始まりは2010年までは戻らないにしても、少なくとも2018年の発表にまでさかのぼります)を経てアノシュカ氏は、オリジナルの立入禁止ゾーンを全面的に見直すのではなく、開発し続けることが、見慣れた場所を復活させる以上の没入感をもたらす機会となることに気づきました。
「『S.T.A.L.K.E.R.』のユニークさは、ほとんどのストーカー(立入禁止ゾーンの賞金稼ぎをこう呼びます)が、新規プレイヤーと同じように、ゾーンについてほとんど何も知らない状態で足を踏み入れることにあります」とアノシュカ氏は説明します。『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』の目標は、長年のファンに正統性を尊重したマップを届けつつも、初めてその世界を体験しているかのような感覚をもたらすことであると彼は続けます。
「初めてゾーンに直面した瞬間を思い出すはずです」と断言するのは、『S.T.A.L.K.E.R. 2』のリードレベルデザイナーを務めるアルテム・ノール氏。「危険でありながら、独特の雰囲気がある、唯一無二の場所です。『S.T.A.L.K.E.R.』をプレイしたことのあるゲーマーは、見覚えのある場所や、過去に起こった出来事を思い起こさせるような要素に直面することになります」
開発元のGSC Game Worldは、8月に開催されたgamescom 2024で初公開された、開発者によるゲーム詳細動画の中でその具体例を示しています。爆破された教会とそのワインセラーが、15年前のゲームと同じ場所で同じように再現されているのです。ただし本作では、過去作では開くことのなかった扉が開き、弾薬、食料、そしてその他の便利なアイテムが隠されている秘密のエリアにつながっています。
「もちろん、定番の場所は、『変更すべきか、それともそのままにすべきか』について多くの議論を重ねました。その結果、説得力のある理由がないかぎり、そういった場所は変更しないことに決めました」とノール氏は語ります。
説得力のある理由とは通常、ゲームプレイに基づくものであり、多くの場合、現代のゲームハードウェアと開発技術、特にUnreal Engine 5の導入で利用できるようになった機能に関するものでした(過去の3作品ではGSC独自のX-Ray Engineを使用しています)。
「オリジナルの三部作で実現したかったもののできなかった最も重要なことは、[『Heart of Chornobyl』の]広大でシームレスな世界です」とアノシュカ氏は言います。「『S.T.A.L.K.E.R. 2』では、そこに特に注意を払いました。現代の技術とパイプラインのおかげで、ユニークで作り込まれたロケーションを備えた、とても広大でシームレスな世界を作り上げることができました」
「広大」という言葉でアノシュカ氏が伝えたいのは、マップのエリア(彼は例として沼地を挙げています)が、最初の3作品でプレイされたマップ全体と同じくらいの広さになる可能性があるということです。「『S.T.A.L.K.E.R.』のオリジナル三部作の世界も、当時の基準としてはかなり広大でしたが、各エリアは明確に区切られており、その間には明確な移行部が存在していました」とアノシュカ氏は説明します。Unreal Engine 5によって実現したシームレスな体験によって、開発者が『S.T.A.L.K.E.R.』の世界に対して抱いていた念願がひとつかなえられました。それは主に、広さだけでプレイヤーを圧倒するのではなく、挑戦という、より大きな感覚をプレイヤーに感じてもらうことでした。
「ロケーションはより広大になり、以前はアクセスできなかったエリアの多くが今回は開放され、探索できるようになっています」とアノシュカ氏は続けます。「例をいくつか挙げると、Lab X-18[オリジナル作品における重要な舞台]に新しいフロアが追加され、Arenaの上には[Freedom派閥のNPCが集まる]バーもあります」

「オリジナル三部作のエリアは、プレイヤーにとっても私たちにとってもある種の聖域なので、これらは初期の形を維持させつつ、全体的なディテールのレベルを高めるだけにしました。また、時間の経過や作品間で起こったストーリー上の変化も反映させています」とアノシュカ氏は語ります。
プリピャチもまた、実際の資料を基に構築され、描かれたゲームエリアであり、GSCのデザイナーが最先端のツールを駆使して作ることができる世界観を示す重要なエリアです。「プレイヤーは、行政施設、数々のアパート、公園、路地、そしてもちろん広大な地下空間にアクセスできます」とアノシュカ氏。「ようやく、パフォーマンスを犠牲にすることなく、これらの多様な空間すべてを一体化させることができました」
「ここ[プリピャチ]は世界中に類似する場所がない、まさに唯一無二の場所であることを私たちは実感し、それをできる限り本物に近づけることに注力しました。もちろん、変更をいくつか加える必要はありましたが、『S.T.A.L.K.E.R. 2』のプリピャチは非常に本物とそっくりで、驚くべき広さと細部へのこだわりが再現されています」とアノシュカ氏は説明します。
その細部へのこだわりは、実際の立入禁止ゾーンそのものや、世界中の他の廃墟に関する資料を基にしています。GSC Game Worldのデザイナーは、長年放置された場所が、手つかずの自然にどのように支配されるのかを理解したかったのです。
「ちょっとした豆知識ですが」とノール氏が割って入ります。「[チェルノブイリの破壊された原子炉を囲む「石棺」内で]最初にスキャンされたコンクリートプレート一枚の方が、『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat』のプリピャチよりもポリゴン数が多かったんですよ」
gamescomやそれ以降の展示会で公開されたプレビューを見ると、「見える場所には歩いて行ける」という感覚を覚えます。この感覚は、開発者の野心に応えようとテクノロジーが進化するなかで、大規模なオープンワールドゲームが目指してきたものです。また、『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』の長期にわたる開発のもうひとつのテーマである、人それぞれにユニークなプレイ体験をもたらすという目標も達成されています。もちろん、そのような規模を目指すとゲームの複雑さが増します。世界自体が提供するものもそうですが、プレイヤーがストーリーやそのミッションの目標を追うなかで、世界にどのように関わることが可能で、実際にどのようにインタラクトするかにも影響があります。

ある意味、これはGSCの開発陣が持つ、もうひとつのさらに大きな野心に応えるものです。それは、無限に選択肢が分岐する世界を作り出し、特に初めてのプレイで、各プレイヤーにほぼ唯一無二の体験をしてもらうという野心です。過去作のロケーションでは、廃墟と化した教会は、戦闘の舞台や重要な会話の場といった単純な目的が用意されていただけです。しかし今作では、その屋根裏や垂木が開放され、プレイヤーが屋上に上がれるようになったことで敵に追われにくくなり、ボス級のクリーチャーを倒すための戦術的な解決策が提供されることになります。
立入禁止ゾーンを完全に作り直し、過去のレイアウトや架空のロケーションを放棄してしまった方が楽だったかもしれない、とノール氏は認めます。「最初は、これまでのゲームシリーズでバラバラだったエリアをシームレスなひとつのマップに組み合わせるのが大変でした。時には、エリアやロケーションを丸ごと移動させなくてはならないこともありましたよ」
さらにノール氏は、GSCのデザイナーが実際の世界の素材や、15年前にゲーム内で確立された素材を基に作業しているからといって、個人的な芸術的表現の余地がなかったわけではないと述べています。「創造性を発揮する余地はあるはずです。過去作で拠点となった場所、つまりプレイヤーが何度も訪れた場所には特別な注意を払いました」とノール氏。「プレイヤーは、これらの場所と馴染みのあるキャラクターの両方で、『故郷にいるような』感覚を味わえるはずです。たくさんのキャラクターがまだそこにいて、プレイヤーを待っています」
『S.T.A.L.K.E.R. 2』は11月20日(米国時間)にEpic Games StoreでWindows PC向けにリリースされ、Xbox Series Xでも入手可能です。