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Q-Gamesのディラン・カスバート氏とバイヨン氏が『PixelJunk』シリーズの過去、現在、未来を語る

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Alicia Haddick
2023年8月3日

インディーズゲームの盛り上がりを実現したのは、デジタルマーケットプレイスの躍進です。ある意味、この盛り上がりはゲーム界の対抗文化だったと言えます。『Braid』『Fez』』、『Limbo』といった作品が拡張的なフォーカスグループ化されたゲーム体験に代わって成功したことで、世界中のデベロッパーによる新規プレイヤーの開拓が進みました。京都に拠点を置くQ-Gamesは、大人気シリーズ『PixelJunk』のおかげで、インディーズブームの上昇気流に乗ることができた企業の1つです。

2007年以来、3つの続編を含む『PixelJunk』シリーズの12作品や、モバイルゲームとVRのスピンオフ作品がいくつかリリースされています。 本シリーズでは、3Dローグライクゲームはもちろんのこと、ツインスティックシューターや瞑想的な視聴覚体験、タワーディフェンスのような戦略ゲームと幅広く展開されています。 『PixelJunk Scrappers Deluxe』はバランス調整が行われ、拡張された形でEpic Games Storeに登場したばかりです。また、自然な音楽体験を提供する『PixelJunk Eden 2』は、今年末までに本プラットフォームで公開される予定です。

このシリーズは、Q-Gamesのチームがクリエイティブな環境で新しいアイデアや幅広いジャンルを試すことを可能にしています。 各作品のモットーは、レトロな体験を新しい世代向けに取り入れ、現代化することであり、これまでにない体験を生み出すため、チームはいずれの作品でも技術やメカニズムの面で新しいアイデアに挑んできました。

『PixelJunk』の前は初代『スターフォックス』などを手がけていたことで知られるスタジオ創設者ディラン・カスバート氏によると、本シリーズは自身の子供時代にインスパイアされており、特にコモドール64の海賊版ゲームコレクションをミックステープのように増やしていった思い出から着想を得ているとのことです。 

「少し変わったものや少し新しいものを見つけることが『PixelJunk』の開発において核となる理念だと考えています」とカスバート氏は述べています。 「『Scrappers』のベルトスクロールアクションでゴミを投げ合うという仕様は、ゴミを使ったバスケットボールゲームのようなものなんですよ。 そして、このアイデアは、ZX Spectrumやコモドール64などで今とはまったく違った古い8ビットゲームをプレイした経験から来ています」

「私が子供の頃はみんな海賊版ゲームを持っていました。 全部のゲームを買うお金がないので、360分とかできるだけ長いカセットテープを買って、沢山のゲームを詰め込みました。 買ったゲームの中で気に入ったものがあれば、それをカセットテープに保存して友達に譲るので、どんどん自分のコレクションが増えていきます。 『PixelJunk』シリーズもそんな感じで増えているんです。 『PixelJunk Eden』が影響を受けたゲームに『Bugaboo the Flea』という作品があり、子供の頃は何時間もぶっ続けでプレイしていました。 思い返してみると本当に難しいゲームでした。でも大好きだったんです。 全体的に、本シリーズで見え隠れする感覚は、若かりし頃のそんな日々から来ているのです」

Q-Gamesのディラン・カスバート氏とバイヨン氏が『PixelJunk』シリーズの過去、現在、未来を語る -『Scrappers Deluxe』1また、このミックステープのアイデアは、一見バラバラに見える構想にも繋がりを提供しています。『PixelJunk Racers』のような初期のゲームでは、友達と一緒にレースカーでコースを走る楽しさが表現されています。一方で、同じシリーズ作品の中には世界を相手に戦う孤独なヒーローさながらに、自分の基地周辺の守りを固め、マップを走り回る『PixelJunk Monsters』のようなゲームもあります。どちらもまったく異なる内容ですが、同じ創造性とビジョンでつながっており、これらが本シリーズの全作品を1つの大きな「バブル」にまとめています。

本シリーズが成功したことで、チームが「PixelJunkのバブル」の中で世界を広げたり、実験したりすることを可能にしました。 「初期にたくさん成功を収めました」とカスバート氏。 「『PixelJunk Racers』が好評で、『Monsters』も非常に素晴らしい結果に終わったのですごく驚きました。 バンドNine Inch Nailsのトレント・レズナーのような有名人でさえ、ゲームに夢中になり私たちに連絡をくれました。狐につままれた気分でしたよ。 相応の収入もあったので、他のことをする自由も得られました」 

『PixelJunk』がリリースされたのは完璧なタイミングで、ちょうど独立系パブリッシャーがこれまで以上にゲームをリリースしやすくなった時のことでした。 SonyによるQA(品質管理)と国際的な流通のサポートにより、初めてセルフパブリッシングで自分たちのゲームを世界中にリリースできるようになりました。 対象的に、チームが2006年に任天堂の「bit Generations」シリーズの『DIGIDRIVE』を手がけた際は、低価格のGBAカートリッジを販売するため、任天堂と直接パートナーシップを結ぶ必要がありました。 任天堂の販売のもとDSiウェア経由でデジタルリリースされたのは後のことで、『トゥモローチルドレン』や後の『PixelJunk』作品をセルフパブリッシングしたときのシンプルさとはほど遠いものでした。

16年の間に本シリーズが進化するにつれ、幅も広がってきています。 初期の作品は、カスバート氏のコモドールやSpectrumの思い出の具現化に大きく傾倒していましたが、後の2D作品は時代に沿ったものになっています。『Scrappers』『ファイナルファイト』のようなゲームの影響を明らかに受けており、『PixelJunk Raiders』のような作品は3Dのコンセプトが実験的に適用されています。 それでも、『Scrappers Deluxe』『Eden 2』に見られるように、ジャンルとアイデアの融合や過去作品の進化を経ても、本シリーズにはミックステープ的な雰囲気が残っています。

『Scrappers Deluxe』は、当初のApple Arcadeでの体験をただ移植しただけではなく、新しいステージの追加やゲームプレイのバランス調整が行われ、プレイヤーからのフィードバックに対応しています。 チームがより多くの時間を得ることができたのは、たった2年というスピーディーな開発サイクルを経て再リリースした後のことでした。

カスバート氏は本作の発端についてこう語ります。「オフィスの何人かが、ロボットでゴミを回収するちょっとしたデモを作ったんです。 アーティストの一人にロボットを描くのが大好きな人がいて、近未来の東京や京都、日本のロボットの雰囲気を追求したかったようです。 かなり出来の良い試作品を作ることができたので、このタイプのゲームで遊びたいと思う人がいないか考えました。 ちょうどApple Arcadeが登場した頃で、Appleが『何か載せたいゲームはないか』とゲーム会社に聞いて回っていました。 『出来立てほやほやのゲームがある』と言ったら、Appleが『素晴らしい、まさにこういう作品を探していた』と言ってくれたので、話は急展開しました」

Q-Gamesのディラン・カスバート氏とバイヨン氏が『PixelJunk』シリーズの過去、現在、未来を語る -『Eden 2』1新作リリースの仕上げに与えられた時間のおかげで、全体的なゲーム体験を向上させることができたとカスバート氏は見ています。「Apple Arcade版は最後に少し急ぎすぎて、満足いくように対応できなかったかもしれません。もし再リリースするのであれば、初心に戻り、一部を手直しして、作品を生き生きとした新しいものにしようと考えていました。たとえば、Apple Arcade版ではゴミは3つしか運べませんが、今は好きなだけ運べます。でも、その分不安定になり、ハイリスク・ハイリターンになっています。また、私たちは各ステージに戻って一通りプレイし、あまり楽しくない部分を見つけて手直ししました。これで前よりもずっと面白くなりました」

Q-Gamesは、年末に『PixelJunk Eden 2』もEpic Games Storeでの配信を予定しています。本作は本シリーズの人気作品の続編であり、当時フリーランスのミュージシャンであったバイヨン氏(現在は同スタジオのクリエイティブ・ディレクター)が共同で手がけています。 当時、バイヨン氏は京都でアーティストとして音楽活動を行っており、そこでカスバート氏と親しくなったことで、受賞につながる共同制作を行うことに繋がりました。 「高校時代ですらバンドを組んで、音楽レーベルを運営し、レコードをリリースしたり、DJとしてツアーを回ったりしていました。アートやマンガを描いたり、服を作ったりもしましたよ」とバイヨン氏は語ります。

「吉祥寺にあるShop33というお気に入りの店からチャンスが巡ってきたんです。テクノ業界に精通した人が経営していて、店には森本晃司や大友克洋のような人たちの限定品がたくさんありました。 この店はとても人気のある雑誌を刊行していたのですが、その雑誌は、多くの人に繋がっていたため、特集を組めれば様々な機会を得ることができる類のものでした。 私は有名なデザイナーたちと一緒に特集をしてもらえるチャンスを得たのですが、その特集は『CD時代の終わり』というものでした。 それで、何か自分の音楽と組み合わせるものを見つけたほうがいいんじゃないかと思い始めたんですが、それがゲームでした。 いつもゲームからインスピレーションを得ていたので、適当に選んだわけではありません。ただ、どうやって作ればいいのか分からなかったんです。 共通の友人を介して、クリスマスパーティーでディランと知り合いました。ちょうど『PixelJunk』を立ち上げようとしていた時期だったので、タイミングも良かったんです」

その後、Q-Gamesのオフィスのミーティングでアートや音楽のインスピレーションを共有したことが、やがて1作目の『PixelJunk Eden』へと発展するきっかけとなりました。 2作目の開発は、バイヨン氏がフリーランスの協力者からQ-Gamesの社員になって間もなく始まりました。 入社して最初のプロジェクトであり、このプロジェクトは、初めてのミーティングで共有されたポートフォリオに影響を受けた自然主義的なアートと音楽のアイデアをさらに広げることになりました。 「多くの絵が私の手で描かれているので、本作には深い思い入れがあります」とバイヨン氏は説明します。 同氏は、スタジオの一員となるにあたって、当時の経験をもう一度辿るのは自然なことだったと語っています。

Q-Gamesのディラン・カスバート氏とバイヨン氏が『PixelJunk』シリーズの過去、現在、未来を語る -『Scrappers Deluxe』2もし『Scrappers Deluxe』『PixelJunk Eden 2』が2023年におけるQ-Gamesの主力作品だとしたら、2024年は本シリーズにどんな作品が登場するのでしょうか?現時点でディラン・カスバート氏や関係者が次のステップについて共有できることはあまりありませんが、チーム内でいくつかのアイデアが浮かんでいることは確かです。そのアイデアには、新しいエリアの開拓や、新たな視点で再検討される既存のアイデアなどが含まれます。

「実は、実を結びそうなものが2つあって、かなりうまくいっているんです。他にも常にいろんなことを試していますよ」とカスバート氏はいたずらっぽく語ります。 「順調にいけば、来年には発表できるかもしれません。どちらの作品もジャンルが全く異なり、方向性も違うので、とても興味深いものになるはずです。 『PixelJunk Raiders』に関しては、Google Stadiaが好きにしていいと言ってきたので、同じく再リリースしたいと考えています。 でも、『Scrappers Deluxe』と同じようなアプローチをしたいですね。戻って、ちょっといじってみるみたいな感じで。そのためには時間が必要になります」

「再現したいアイデアはまだたくさんあるので、ひとつひとつやっていくしかありません」