
『The Last Case of Benedict Fox』は奇想天外なメトロイドヴァニア

『The Last Case of Benedict Fox』は、特に序盤でプレイヤーに多くの挑戦を投げかけます。
プレイヤーは背景となる話もほとんどない、謎解きの真っただ中に放り込まれますが、このラヴクラフト的メトロイドヴァニアをプレイすればするほど、ゲームの異質な物語が明らかになっていきます。
実際に鉛筆と紙が必要となるようなパズルを満載し、幻想的な設定や不気味な生き物の数々が登場する『The Last Case of Benedict Fox』は、新進気鋭のデベロッパー、Plot Twistと彼らの「良い物語を紡ぐ」ことへの愛そのものが具現化されたものです。
「私たちは、プレイするゲームにおいて、良い筋書きを非常に高く評価しているクリエイティブ集団です」と、Plot Twistののクリエイティブディレクターであるバルトウォミェイ・レジアコウフスキ氏は述べています。 「ソフトウェア開発時代にたくさんのアイデアを集めていましたが、これをすべて引き出しにしまったままなのはもったいないことでした。 そこで、新しいゲームを作ろうと思ったんです。このストーリー性のある取り組みに挑戦したかったからです」
Plot Twistは、ポーランドのモバイルゲームに特化したスタジオ、Awesome Industriesの基盤から生まれました。 数年前、『Benedict Fox』の初期のアイデアに感銘を受けた集団が焦点を移すことを決め、Plot Twistを立ち上げました。
「私たちのゲームは、ある意味このジャンルでそれほど一般受けしないことに挑戦しています」と、レジアコウフスキ氏は語ります。「メトロイドヴァニアでストーリー性に焦点を置くと、通常はうまく嚙み合わないものですが、このジャンルで私たち独自の解釈を試すことができて、解き放たれたような気分です。幸いなことに、『Benedict』でチームを組んだパブリッシャーのRogue GamesとXboxの両パートナーは、この点に関して非常に協力的です。彼らは、プレッシャーをかけることなく、建設的なアドバイスをくれます。おかげで私たちは、できるだけ没入感のある、独特な世界観を持つゲーム体験を提供することに集中できています」
本作のアイデアは、2015年にレジアコウフスキ氏がこのキャラクターについて見た夢から生まれました。 漫画、ドット絵ゲーム、さらには『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のアドベンチャーなど、さまざまな制作アイデアを出し合いながら、現在の形に落ち着いつきました。
より一層リニアなゲームを作ろうと時間をかけた結果、チームで本作をメトロイドヴァニアにすることに決めたのだとレジアコウフスキ氏は説明します。
「しかし、人の精神をかたどる次元であるLimbo(辺獄)を構想したところ、それは迷路のようであり、メトロイドヴァニアが最適であることを理解したのです」
『The Last Case of Benedict Fox』では、プレイヤーは1920年代の舞台で悪魔に取りつかれた探偵となり、非常に個人的な類の謎の解明に挑みます。 そしてすぐさま彼は、自分が死者の精神そのものに立ち入っていると気づくのです。 やがてプレイヤーは、現実世界のだだっ広い屋敷を行き来しながら手がかりを探し、助けを求め、その一方でラヴクラフト的なLimbo(辺獄)を飛び回り、ink(インク)というあだ名の未知の物質でできた奇妙な悪魔と戦わなければならなくなります。
レジアコウフスキ氏によると、本作の少しゆがんだ、時に細長いデザインは、ティム・バートン監督の作品や映画『コララインとボタンの魔女』からインスピレーションを得ているとのことです。
「このスタイルと、よりダークで成熟したテーマや環境を組み合わせることで、とても興味深く混ざり合った世界が生まれます。 私たちは、こういった大きなコントラストのあるものに取り組むのが大好きなんです。アニメ調のスタイルとゴシック調の暗く重苦しい雰囲気の衝突はいつ見ても興味深く、暗いはずなのに鮮やかなままなんですよ」とレジアコウフスキ氏は説明します。

本作には、興味をそそるジャズ形式の音楽が採用されています。
「一般的な音楽や現代的な音楽では没入感が損なわれると考えたのと、プレイヤーに1920年代の探偵になった気分を味わってもらいたかったんです」とレジアコウフスキ氏は述べています。 「そのため、私たちはジャズ調でありながらホラーらしいサウンドを探すことにしました。 このプロセスは長く複雑なものでした。 1920年のジャズでは陽気になりすぎ、モダンジャズはゲームや私たちの目指すストーリーには少し難解すぎるため、少しバランスを調整する必要がありました。 やっと、しっくりくるものを見つけたと自負しています」
そして、本作の舞台となる世界は、果てしなく広がっているように感じられます。
「このような世界を明確に作ろうと考えていたわけではありませんが、特定のキャラクターの動機や背景について自問すればするほど、細かい部分が埋まっていきました」とレジアコウフスキ氏。 「ゲームに実際に取り入れたのは、書き留めたアイデアのほんの一部でしたが、それはそれで良いことなのかもしれません」
本作は、左右移動と戦闘がほどよく配置されています。また、プレイヤーはユニークな物語に注意を払うために、多くのパズルを解読する必要があると感じるのではないでしょうか。

Limbo(辺獄)での困難を克服するため、プレイヤーはゲームの中心となる屋敷の奇妙な住人たちに助けを求めることになります。Weaponsmith(武器職人)は、フレアガンや銃剣(本作で頼みの綱になるメインの物理的な武器)を改良してくれます。
また、主人公を「私の美しいキャンバス」と呼ぶ不思議なTattooist(彫師)も登場し、プレイヤーがLimbo(辺獄)で倒した生き物から集めた「ink」(インク)を使って、最終的にスリーブタトゥーとして両腕に彫ってくれます。 スリーブタトゥーの各要素は主人公の悪魔に力を与えます。
タトゥーのアイデアが生まれたのは、Limbo(辺獄)で戦う生き物についての議論から生まれたのだとレジアコウフスキ氏は語ります。
「私たちは悪魔をコンセプトとしていたものの、そこにはある疑問が残っていました。『では、悪魔は一体何でできているのだろう?』ということです。 コンセプトのひとつとして、インクに似た物質が提案されました。 その名前が頭から離れなかったので、私たちはこのアイデアに賭けることにしました。 じゃあ、プレイヤーが敵を倒して、その敵からインクを集めたら、それで何ができるのか? タトゥーです! 主人公の中には悪魔がいるため、この悪魔のインクをもっと使ってお互いのつながりを強化し、新しいスキルを獲得することもできます。 世界観の構築と同じで、当初必要だと考えていた以上のアイデアにたどり着くことができました」
これらのタトゥーには、必要時にトリプルジャンプを行ったり、inkのついた触手で敵を掴んで地面に叩きつけたりするなど、悪魔に染まった力がふんだんに盛り込まれています。
また、Library(書斎)に店を構えるハリー・フーディーニを訪ね、回復効果のあるMiracle Waterやスモークボム、一時的に自身を無敵状態の石に変える装置といったアップグレードを購入することができます。
「ゲームの世界を1920年代のテーマに合わせるため、歴史上の人物を何人か加えることにしました」と、レジアコウフスキ氏。 「当初はH・P・ラヴクラフト本人を商人にしようと考えていましたが、後にラヴクラフトがハリー・フーディーニと友人だったことを知りました。 実際、一緒に仕事をしていたこともあるんです。 夜な夜な魔術のいかさまを暴露することで知られる人物が、実は神秘的で強力な遺物を扱う商人を密かにしている、というアイデアが気に入りました。 ハリー・フーディーニがぴったりだったんです」

プレイヤーはこれらの能力やいくつかの解読装置を使うことで、本作のLimbo(辺獄)やそこに関わりのある秘密結社の歪んだ世界を通り抜けることができます。また、ゲームのトレーラーに登場して注目を集めた創作物には、腐敗した歯茎、ひびの入った歯、でこぼこの指で出来ているおぞましい南京錠があり、これにも遭遇することになります。
「指と歯でできた口は、当初は環境上の有害物質となる予定でした」とレジアコウフスキ氏は説明します。 「そのために素晴らしいコンセプトアートを作ったものの、ゲームに採用するのを待って…待ち続けて…そのうちに作ったことすら忘れていました。 その後、自然の素材を使ったドアに関して急遽アイデアが必要になったときに、このコンセプトが頭をよぎったんです。そしてあっという間にすべての歯車が噛み合いました。 ミニゲーム形式というわけではありませんが、プレイヤーはゲームの中で不気味で気色悪いものをたくさん見つけることができます」
『The Last Case of Benedict Fox』は、メトロイドヴァニアのようにノンリニアな探索と、優れたラヴクラフトの物語のように濃いストーリーやパズルを満載したミステリーを違和感なく組み合わせることに成功し、すべてを盛り込むことで、楽しく軽快な、純粋に他とは異なる作品に仕上がっています。
『The Last Case of Benedict Fox』は、現在Epic Games Storeで入手可能です。