
避けることのできないメタゲームの刷新が必要だった『Darkest Dungeon 2』

『Darkest Dungeon 2』の開発元Red Hook Studiosは、先行アクセスという状況を利用して、新しい探索エリアやパーティーに加わるヒーローを紹介するだけでなく、本作のメタゲームと進捗システムを大幅に見直しました。
今月上旬に登場した「The Altar of Hope」アップデートは、ゲームの主要システムの再構築するだけでなく、プレイヤーの進捗をリセットするものでした。一見すると、劇的なアップデートとリセットの印象がありますが、開発スタジオは、この大きな変化は必要不可欠であることを確信していました。
Red Hook Studiosの共同創設者でありクリエイティブディレクターであるクリス・ブラッサ氏は、次のように語っています。「私たちは、以前の「Hope」/XPシステムでは、メタゲームの進行の中で、プレイヤーにとって真の選択肢がないことにずっと気づいていました。正直なところ、先行アクセスを開始するために、動作しているものが何か必要だったわけですが、システムを見直し、よりしっかりとしたものを作らなければならないと常々感じていました。私たちは、常にゲームのリスクとリターンの要素を充実させ、プレイヤーに厳しい選択を迫る方法を模索しています。これらの基準から見ると、新しいシステムはゲームをとても素晴らしい方向に導くのに役立っています!」
配信を開始した当初は、プレイごとに獲得した「Hope」がゲームのレベル全体で付与されました。各レベルでは、ヒーローやアイテム、将来的な特性など、さまざまな新しい要素がアンロックされました。

今回のアップデートの導入では、ゲーム内のHopeが廃止され、アイテムのアンロックやヒーローの入手ができなくなりました。一方で、ヒーローの過去の出来事の進行、関連スキルのアンロック、Confessionボスのアンロックは維持されています。これはとても難しい決断でした。打撃を軽減するため、彼らはゲームの新しい進捗システムである「Candles of Hope」(希望のロウソク)20本を全プレイヤーに進呈しました。
「既存のプロフィールには、新しいメタゲーム通貨を付与することで少しでも遅れを取り戻せるようにしています。全体的にみて、私たちはこの変更が非常にポジティブなものであると考えており、先行アクセスのプレイヤーを疎外してしまうリスクはないと感じています」とブラッサ氏は語ります。「先行アクセスは、ゲームの改善と反復を目的としています。私たちはプレイヤーとのオープンなコミュニケーションに最善を尽くし、どうしても必要な場合を除き、進捗をワイプすることは避けています。とはいえ、より良い体験を追求するためには、大きな変化を起こすことを恐れてはいけません。先行アクセスでは大きな変革をもたらす可能性があり、そこが素晴らしいところなのです!」
ゲームの基本的機能を全面的に見直す必要があると把握することは重要ですが、ゲームに以前から存在していた問題を、新しいバージョンで解決できるのか、チームはどのように確信したのでしょうか?

これは、このゲームと前作のインスピレーションに行き着くのだと、Red Hook Studiosの共同創設者でありデザインディレクターであるタイラー・シグマン氏は説明します。
「『Rogue』や『NetHack』をはじめとする正統派のローグライクは、持続的な進捗といったものを中心として構築されてはいませんでした。新しいクエストに持って行くのは、増えた知識だけでいいというのも魅力のひとつです。しかし、私たちは持続的な進捗という考えに常に魅力を感じてきました。『Darkest Dungeon 1』ではそれが重要な要素でした。失敗しても、常に少しずつ前進していくのです。試練を乗り越えながら続けることが重要なゲームでした」
一方『Darkest Dungeon 2』では、プレイヤーにとって面白い選択肢に欠けるとチームが感じたメタ進捗システムを採用しました。
「先行アクセスの素晴らしいフィードバックをすべて吸収する時間ができると、私たちはデザインの目標を満たしつつも、ゲームを通して語られる(世界に秩序を取り戻すために失敗を思い出し反芻するという)ストーリーのテーマに沿うような方法でそれを実現するシステムを作ることを目指しました。」

シグマン氏は、具体的に、次に挙げる4つのデザイン目標があったと語ります。
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長期的な進捗という点で、プレイヤーにとって面白い選択肢を提供すること。
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各探索において、『Darkest Dungeon』ならではの手に汗握る危険と報酬を必ず提供すること。
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失敗しても、より大きな目標に向かって少しずつ前進できるようにすること。
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探索を終えたとき、すでに次の探索でアンロックできるものや挑戦が待ち遠しくなるようなループ作りの強化。
それでは、「The Altar of Hope」の進捗システムは、現在どのように機能するのでしょうか?シグマン氏に説明していただきました。
「プレイするそれぞれの探索で、「Candles of Hope」(希望のロウソク)を獲得するチャンスがあります。例えば、トロフィー1つ(Mountainに入るための前提条件)を獲得するためにボス1体と戦うより、巣窟の複数のボスに挑戦した方が、飛躍的に多くのCandle(ロウソク)を獲得できるなど、危険を冒すことが報われます。探索に失敗した場合でも、Candle(ロウソク)を獲得することができます。」
「探索が終わり(勝敗を問わず)、再びValley(谷)に戻ると、Altar(祭壇)が待っています。ここでCandle(ロウソク)を使います。Altar(祭壇)は、『Darkest Dungeon 1』の建物に似た、複数の地域で構成されています。」
「Intrepid Coastは全部ゲットできる場所であり、Stagecoach(駅馬車)のアップグレード(インベントリ用のスペース増加など)、ロケーションの恩恵のアップグレード(例:Oasisを訪れるたびに無料のSpring Waterを入手)、美観など、あらゆるものが用意されています」
「Living Cityは、ヒーローをアンロックして使えるようにしたり、ステータスアップや他の利点を増幅させたりするなど、ヒーローに特化しています。ヒーローのアンロックは前バージョンから大幅に改善された一例です。例えば、お気に入りのヒーローが神秘主義者の場合、ステータスをアンロックするためにあらかじめ設定されたレベルまで待つ必要はなく、素早くアンロックできるようになりました」
「Working Fieldsは、他のアップグレード工程とは異なった働きをします。スロットマシンのように機能し、Candle(ロウソク)を支払って戦利品を引き当てることができます。アイテムが出現すると、その探索で即使用できるようになるだけでなく、以降のすべての探索でもアンロックされ、その時点から所持する戦利品として見つけることができます」
「Timeless Woodも特徴的です。ここでは、ヒーローが生きている間だけ持続するバフ「Memories」(記憶)でヒーローに投資する機能をアンロックできます。探索中(とConfessionボスとの対決中)にそのヒーローを生かしておくことができれば、ヒーローは記憶を維持し、生きている限りさらなるMemories(記憶)を追加できるチャンスがあります。このようにして、『Darkest Dungeon 1』と似たような方法で、特定のヒーロー要素に長期的な愛着を持たせることができます」

つまり、Altar(祭壇)は本来、第1作の村を想定したものですが、腐敗前の世界を思い出させる鏡の水面として登場します。
「アップグレードの工程は、ゲームでの励みとなって満足度を高め、プレイヤーにやる気を与えるという私たちの全体的な目標に合致しています」とシグマン氏は説明します。「プレイヤーが単に探索で勝利を収めるというだけでなく、短期・中期・長期の目標を立てるのを助けることになります」
プレイ中に獲得するCandle(ロウソク)は、実際には経験値として付与されるものですが、シグマン氏によると、プレイヤーが冒険の行程で携えなければならない物理的なアイテムにすることで、デザイン面にも面白い影響を与えたようです。
「例えば、探索中にはあらゆる場所でCandle(ロウソク)が出現します。拾ったCandle(ロウソク)は駅馬車内のインベントリに追加されます。これにより、プレイヤーは興味深い判断を求められます。これらの場所を目指して手綱を握り、見つけたCandle(ロウソク)をすべて集めれば、偵察のスコアが上がり、その後のAltar(祭壇)でより多くのものをアップグレードできるようになります。しかし、これらのCandle(ロウソク)を保管すれば、戦闘アイテム、Inn(宿屋)アイテム、トリンケットなど、現在の探索で生き残るための宝物を入れる馬車のスペースを減らしてしまいます。また、ルート上の場所の代わりにCandle(ロウソク)のある場所を選ぶと、時には危険が増したり、厳しい犠牲(Hospital(療養所)を迂回するなど)を強いられたりするかもしれません」
また、このメタゲームの大幅な見直しは、ヒーローの進捗の変更といった他の調整をもたらしたことも注目すべき事柄です。ヒーローのShrineはこれまでどおり、過去の出来事の伝承、戦闘の回想シーン、新スキルの開放の源となりますが、「Altar of Hope」では、新ヒーローのアンロックや、既存のヒーローに恒常的な改良を施す機能も提供されます。
もうひとつの素晴らしい新機能は、Altar(祭壇)でヒーローを最高レベルにすると、Inn(宿屋)に到着した際、非常にレアでパワフルなシグネチャーアイテムが出現するチャンスがあることです。

もちろん『Darkest Dungeon 2』の進捗のリセットは大きなニュースですが、もう1つのアップデートも見逃せません。チームは、第1作でファンに人気のあったキャラクターを復活させました。新たに改良された賞金稼ぎは、時折Inn(宿屋)で見かけるキャラクターで、ゲームで他のヒーローたちについてまわる人間関係のトラブルに悩まされることがありません。
「『Darkest Dungeon 2』の登場人物には弱さがあり、失敗やトラウマなどを経験していますが、賞金稼ぎは感情を出さず、口が堅く、際立っています」とブラッサ氏は説明します。「賞金稼ぎを文字通り傭兵にすることで、その神秘性を高めるチャンスだと、私たちは考えたのです。そういったキャラクターの場合、他の仲間たちを知ることにあまり興味がないのも当然です。彼は仕事のためにそこにいるのですから。単純明快です」
「彼を一時的にパーティーに加えることで、主要な登場人物に相対するパワーの調整を行うことができました。その結果、進行に問題があるプレイヤーや、ボスの巣窟に対してもう少し力をつけたいプレイヤーにとって、楽しく「とがった」選択肢を与えることになりました。Inn(宿屋)での信用できない彼の姿は、次のプレイまでのバリエーションを増やす要素にもなり、地域間で下す決断に深みを出しています」
「The Altar of Hope」は本作最大のアップデートですが、決して最初で最後のアップデートになるわけではありません。『Darkest Dungeon 2』がEpic Games Store限定で先行アクセスを開始してちょうど1年になりますが、チームは、進行中の過程で多くを学んだと語ります。
「私たちは、より短いローグライクの構造を考え、『Darkest Dungeon 2』に最適な機能や仕組みの哲学について理解を深めています」とブラッサ氏。「開発チームとしては、エキサイティングな時期です。というのも、純粋なコンテンツ制作に集中するのではなく、さらに反復を重ね、磨きをかけるための時間を割くことに意識を向けているからです。もちろん、まだまだ新しいコンテンツはたくさんありますが、社内のアイデアやコミュニティからのフィードバックをもとに改善する作業に、時間と労力をかけられるようになっているのです」
「1.0版の発売時には、『Darkest Dungeon 2』に満足感のあるストーリーと、手応えを感じさせる仕組みが備わっているはずです。前作を尊重しつつも、独自性を確立することを恐れないゲーム、やりがいのある無情な体験が待っています」
今すぐEpic Games Storeで『Darkest Dungeon 2』を購入し、公式Discordサーバーに参加して、成長を続ける本作の素晴らしいコミュニティを十二分にお楽しみください。