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『バック・フォー・ブラッド』と『World War Z』のゾンビの背後にある美味なるブレイン
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Julian Benson
これらの蘇った脳を貪るゾンビたちには、驚くほどさまざまな趣向が凝らされているのです。 私たちは、典型的な「ゾンビ」と別のゾンビを区別するために、どれだけの労力が費やされているのかを明らかにするため、これらヒット作品の背後にいる開発者の何人かに話を伺いました。 うごめくアンデッドたちは、『バック・フォー・ブラッド』や『World War Z』のような同じサブジャンルであっても、それぞれのゲーム特有のニーズに合うように成形される必要があります。
既成概念を壊さない
2020年代のゾンビゲームを制作するうえでの重要な課題は、これまでの作品によって設定された内容に対して人々が持つ期待に対するものです。 何十年にもわたり、ゾンビは映画やテレビ、マンガ、小説、そしてもちろんゲームに登場し、新たなゾンビが登場するたびに、ある種の外見や行動の基準が固まってきました。 ゾンビは噛みつき、呻き、脳みそを貪ります。 何十年も足を引きずりながら歩いていたゾンビが、2000年代初頭のシネマティックで「スピーディなゾンビ」になって走り出したときのように、プレイヤーが抱く期待の枠組みにあるものは、衝撃を与えるパワフルなツールになり得ますが、同時にそれに取り組む時に重荷にもなるのです。
「あまり変えすぎてしまうと、プレイヤーのゲームに対する感覚にズレが生じます」と語るのは、『バック・フォー・ブラッド』のゲームプレイディレクターであるTurtle Rock Studiosのブランドン・ヤネス氏。 このズレは、「ゲームプレイが同じジャンルの異なったゲームと酷似している」場合でも起こり得ます。
『バック・フォー・ブラッド』は、プレイヤーが、3人の仲間と共に、AI制御のゾンビの群れと対決する一人称視点シューターです。 『Left 4 Dead』は、Valveに買収されて社内スタジオとして完成させることになる以前に、Turtle Rock Studios自体が開発したものですが、もし、Turtle Rock Studioが開発していなかったとしても、『バック・フォー・ブラッド』が『L4D』と比較されたであろうことは間違いありません。 それを確かに念頭において、チームは逸脱することに細心の注意を払ったのです。

『バック・フォー・ブラッド』の基本的なゾンビは、協力プレイシュータージャンルの他のゲームのように機能します。 「ゾンビとはほとんどタールピットみたいなものですね」とヤネス氏。 「プレイヤーを邪魔し、動きを鈍らせ、注意をそらすために登場しますが、プレイヤーたち自身の強さを感じさせる役割も果たします」 プレイヤーは、ライフルを数発撃つだけでゾンビを木っ端微塵にでき、その体は満足できるほど血みどろの塊になって飛び散ります。
「ゾンビはプレイヤーが権力を誇示できるファンタジーであり、差し迫った脅威でもあるのです」とヤネス氏は、このジャンルの「イメージキャラクター」について語ります。 また、それぞれがプレイヤーの特定の行動を促すようデザインされた、特殊なゾンビも登場します。
「私たちは、『このゾンビは現れると、仲間の代わりにプレイヤーを掴んで、脱出を助ける』あるいは『これは群れの後ろに座って発砲し、目の前に集中するか遠くに集中するかの選択をプレイヤーに迫る』といったように、ゾンビを構築するようにしています」とヤネス氏は説明します。
プレイヤーを安心させる慣れ親しんだ土台があるからこそ、Turtle Rockが、その上に思いもよらないものを作り上げる自由度が増したのです。 ヤネス氏はこう語ります。「『バック・フォー・ブラッド』は当時私たちがはまっていたローグライクに影響されました」 チームは、20種類以上の特殊変異体を生み出しました。これは『Left 4 Dead』に登場する変異体の3倍にあたります。
ゲームの開始時に、「AIのディレクター」が特殊変異体をリストから選び出し、プレイヤーとその仲間たちに対して変異体を次から次へと送り込みます。 棍棒を振り回すトールボーイや酸を吐くレッチなど、複数の近接攻撃に特化した特殊変異体からなるウェーブがプレイヤー集団の真っ只中に押し寄せし、大群がプレイヤーをバラバラにする場合もあれば、ハープーンを投げてプレイヤーをその場から動けなくするホッカーや、動きが遅くダメージ力の高い近接攻撃に特化した特殊変異体であり、逃げられないプレイヤーに大ダメージを負わせることができるブルーザーなどが混在した波が押し寄せる場合もあります。
ヤネス氏はこう述べています。「私たちがかなり早い段階で発見したことは、プレイヤーに常にすべてをぶつけ続けると、特別な波にしようとしても、ありふれたものに感じられてしまうことです。 [バラエティがあれば]キャンペーンを繰り返しプレイするにしても、同じミッションを再度プレイするたびに、敵の種類が異なる組み合わせになります」
期待されていることを目指す
Turtle Rockが想像を覆すものを作る余地を作るために期待に寄り添ったのに対し、三人称視点協力シューター『World War Z』のデベロッパーであるSaber Interactiveは、多くのプレイヤーが映画館で見たことのある体験をするために、自分たちのゲームを手にしていることを理解していました。
映画『ワールド・ウォーZ』のゾンビたちはほとんど一体となって行動します。大群はまるで水の奔流のように押し寄せ、街の通りを流れ、行く手を阻む者を飲み込んでいきます。 砦である高い壁などの行き止まりに達すると、ピラミッドの山のように集まり始め、人数が増して防御物を圧倒し、最終的に反対側に溢れ出します。 ゲームの第1作では、プレイヤーは一度に500体以上のゾンビに立ち向かうこともありましたが、最近導入されたアップデートのホードモードXLでは、2倍の規模の1,000体以上になっています。
「私たちのチームは、映画の中で最も象徴的なものを再現したいと考え、そのためには、プレイヤーに群がるゾンビの大群が必要でした」と、Saber Interactiveの最高クリエイティブ責任者であるティム・ウィリッツ氏は述べています。 「技術的に大きな挑戦だったのは間違いありません。 何百体ものゾンビが襲ってくるような大規模な戦闘に対応できるよう、我が社のSwarm Engineを構築する必要がありました」
Turtle Rockがゾンビファンには馴染みのある土台から始め、その上にユニークな仕組みを構築したのに対し、Saber Interactiveは、原作映画がその群れの行動のおかげでサブジャンルの中でも際立っていたため、映画に近づけることで他のゾンビゲームと一線を画すことができると理解していました。
「チームはシステムの微調整に多大な時間を費やし、同時に映画そのものと比較しながら、映画の持つ感覚を的確に表現するために最善を尽くしました」とウィリッツ氏。 「初めて敵がピラミッドのようにして一斉に登っていくのを見た時は圧巻でした。とても衝撃的で、他のゲームではこういうものを見たことがありませんでしたから」

だからと言って、Saber Interactiveが潜在的な期待のズレに取り組む必要がなかったというわけではありません。 チームは、「特殊なゾンビの種類と群れを、映画と『World War Z』のライセンスに忠実に」保つ必要があったのだとウィリッツ氏は語ります。 「私たちはゾンビの多様性と「ゾンビのリアルさ」のバランスを取りながら正確さを保ち、その一方で変化に富んでいて、挑戦的なものにする必要がありました」
完璧な複雑さの加減
多くのゲーム開発者にとって課題となるのは、複雑さの絶妙な落としどころを見つけることです。 プレイヤーに多くのものを与えすぎると、刺激に圧倒され、襲ってくる脅威に優先順位をつけることが難しくなります。また逆に、少なすぎても退屈してしまいます。 特に『バック・フォー・ブラッド』や『World War Z』のようなアクションシューターにとっては、これが難題となります。その理由は、プレイヤーが戦わなければならない敵の数が非常に多いためです。 文字通り何百体ものゾンビを前にすると、何に注意を向けるべきかを知ることがあっという間に困難になります。
また、あらゆるプレイヤーのスキルレベルに対応できるゲームを作るのは、特にシューターにおいては非常に難しいことなのです。 ウィリッツ氏はこう説明します。「一人称視点シューターのジャンルは非常に成熟しています。 30年間シューターをプレイしているプレイヤーも存在し、そのような人たちは(100体のゾンビに)圧倒されることはありません。それとは別に、とてつもなく圧倒されてしまうプレイヤーもいるわけです」
このようにプレイヤーの技量に大きな差があるため、『バック・フォー・ブラッド』と『World War Z』は両方とも異なる難易度が用意されています。 しかし、その裏では、開発者が何百もの数値を調整し、それぞれの難易度の適切な落としどころを決めなければならないのです。
「大群の調整は簡単なことではありません」とウィリッツ氏は語ります。 どの大群も基本的なゾンビと特殊なゾンビの異なる組み合わせで構成されており、組み合わせによっては他の組み合わせよりもはるかに大きな難関が待ち受けています。 ゲームが開発段階にある場合は、大群の調整がさらに難しくなります。 ヤネス氏は、以前基本的なゾンビの行動や進路の一部が正しく機能していないと、テスターから指摘されたことを振り返ります。

チームがバグを修正し、内部アップデートを実行したところ、すぐにテスターたちから次のようなコメントが寄せられるようになりました。「『(基本的なゾンビが)適切に向かってきて適切に攻撃してくる』『特殊なゾンビ以上に大きな脅威になっている』『容赦がない』と言われました」とヤネス氏は当時のことを振り返ります。
開発中の徹底的なテストにもかかわらず、Turtle Rockは『バック・フォー・ブラッド』のローンチ後も一連のホットフィックスをリリースすることで、さらにゲームのゾンビを微調整する必要がありました。 それは、これらの変更のいくつかがいかに細かいものかについての記事に記載されています。たとえば、アビリティのクールダウンを1秒未満に短縮するといったことも含まれます。
「難しいのです」とヤネス氏。 「社内のプレイヤーの人数は少ないですが、ゲームがリリースされると、100万人の人々がプレイし、その結果(何かが)圧倒されすぎるか、またはそうでないかという100万の意見を受け取ることになります。
ウィリッツ氏によると、『World War Z』のチームもプレイヤーを圧倒しすぎないことを優先したとのことです。 「このバランスを達成する鍵となったのが、ゲームのペースと難易度を調整するAIディレクターシステムです」とウィリッツ氏は説明します。 『バック・フォー・ブラッド』のAIディレクターと同様、どのタイミングで敵のウェーブを発生させるか、どのような特殊なゾンビを集団に送り込むかを指示します。ウィリッツ氏は「強度と難易度は集団のスキルレベルに適応させることができます」と述べています。
プレイヤーを銃の撃ち合いに集中させるため、Saber Interactiveはゲームの複雑さの多くをゲームプレイ以外の部分に向けることにしました。 『World War Z』では、自分のクラスと武器をレベルアップさせ、さまざまなパークを選んでキャラクターと銃の挙動を変えることができます。 しかし、これらの選択はプレイを始める前に行うため、大群が攻めてくるという危機の中で重視されるのは「素早い行動と意思決定」だとウィリッツ氏は話します。 「このハイペースなゲームプレイは、プレイヤーが資源管理に煩わされることなく、代わりに戦いに勝つことに集中できることを意味します」
視点に関する課題
「『World War Z』を三人称視点にしたのは、ゾンビの大群のドラマチックなスケールと迫力を完全に表現するためでした」とウィリッツ氏は説明します。 プレイヤーは、大群が攻めてくるたびに、この選択の影響を目の当たりにすることができます。 カメラをキャラクターから離すことで、突進してくる大群の先頭を見るだけでなく、その背後に広がるアンデッドの海も窺い知ることができるのです。 また、大群から逃げるとき、カメラを回転させることで、安全な場所まで疾走しようとするプレイヤーにゾンビが迫っているのを見ることもできます。
「この視点は視覚的な体験を豊かにするだけでなく、背後から忍び寄る脅威を含め、周囲の状況をプレイヤーが常に把握できるようにすることで、戦術的な利点ももたらします」とウィリッツ氏は語ります。
『バック・フォー・ブラッド』について語る際、ヤネス氏も同様の結論に達しています。「一人称視点の場合、視野が狭いので、より複雑になります。 何かが自分にぶつかっていても、それを見たり聞いたりできないと、苛立ちを感じることもありますから」
Turtle Rockは、フラストレーションを防ぐためにいくつかのシステムを採用しています。 たとえば、探索済みの部屋は、目に見えない形で空としてマークされます。 「クリアした部屋からは、敵が次々と無限に出現するような現象を起こさないよう心がけています」とヤネス氏は話します。 オーディオチームは、ゾンビが忍び寄ってくることをプレイヤーに認識させるため、より複雑なシステムを開発しました。
「(特殊なゾンビが)近づいてくると、たとえ周囲に(敵が)大量にいた場合でも、そのAIが迫って来るのが聞こえるようにサウンドが優先されます」とヤネス氏。 「特にAIの数が多く、潜在的な脅威がある場合、正しく機能させるのがかなり複雑なシステムでした」
主な難題は、プレイヤーが何に集中したいかを想定することにあります。後ろから近づいてくるゾンビをよく認識しており、目の前のゾンビが何をしようとしているのかを聞くことを必要としている場合もあるからです。 「プレイヤーが脅威と感じることであっても、この『カメラに映っていないという理由』のため、(音が)聞こえないかもしれません」とヤネス氏は説明します。
このように、ビデオゲームのゾンビには相当な趣向が凝らされているのです。 あるタイトルではうまくいっても、別のタイトルではプレイヤーを苛立たせるかもしれません。 あるゲームでは予想を覆すものでも、別のゲームでは一歩行き過ぎたものになる可能性もあります。 それぞれのゾンビゲームの開発者は、同じジャンルのゲームであっても、自分たちが作ろうとしている挑戦に合った体験を実現するために、複雑な技術を開発しなければならないのです。 ですから、皆さんも次回アンデッドの大群に立ち向かうときには、その大群があなたにとって特別な脅威となるように何年もかけて微調整を行なってきた開発者について考えてみてください。
『バック・フォー・ブラッド』と『World War Z』はいずれもEpic Games Storeで入手可能です。