ニュース

『アノ 117: パックスロマーナ』は、シリーズの伝統と革新を融合させながら、多文化的なローマの姿を描き出している

D
Dave Tach
2025年11月10日

『アノ 117: パックスロマーナ』のクリエイティブディレクターであるマヌエル・ライナー氏は、ローマという舞台が、このジャンル越境型のストラテジーシリーズに相応しいと常に信じていたわけではありませんでした。

30年近くにわたり、『Anno』シリーズはリアルタイムストラテジー、外交、戦争、都市建設、経済シミュレーションといった要素を融合させ、プレイヤーに文明を築き、征服する力を与えてきました。ライナー氏によれば、多くのプレイヤーにとって、ローマ帝国が最も繁栄していた時代を舞台にするのはごく自然な選択であり、彼が「ビルディングゲーム」と呼ぶ本シリーズにとっては、まさに理にかなった舞台に思えたそうです。

『アノ 117: パックスロマーナ』は、ライナー氏がクリエイティブディレクターに就任してから初めてのシリーズ作品です。同氏はUbisoftで10年以上にわたって勤務し、この役職に就きました。そして新たな立場に就いてからも、彼はこの古代帝国という題材にどこか引っかかるものを感じていました。

「私は最初のころ、ローマを題材にしたくないと思っていた少数派の一人だったと思います。何故なら、あまりにも『当然すぎる』選択だったからです」とライナー氏はEpic Games Storeの取材に語っています。「私はいつも考えていました。世の中には既にローマを題材にしたゲームがたくさんあり、映画もあり、コミックもある。では、そこに新しさはあるのか?この非常に象徴的な題材に、私たちはどのようなアプローチを取れるのか?だから最初の段階では簡単ではありませんでした。紙の上ではすべてが完璧に見えるのに……『ユニークさ』がなかったのです」

ライナー氏とUbisoftの開発チームは、その「ユニークさ」を見つけるために歴史書籍を調べ上げ、リサーチを行い、ありふれた題材の中から新しい可能性を掘り起こしました。その成果が、今週の11月12日(米国時間)にEpic Games Storeで発売されます。私たちはライナー氏に、彼がローマという題材を信じるようになった理由、『Anno』というシリーズを形作るものとは何か、そしてこの愛され続けるシリーズを支える開発陣が、どのようにして古いアイデアを磨き上げ、広げながらファンの期待に応えているのかについて話を伺いました。
 

『Anno』を定義するもの


ライナー氏は過去20年間にわたりゲーム業界で活躍しており、そのうちおよそ13年をUbisoftで『Anno』シリーズ一筋に費やしてきました。最初はシニアリードアーティストとして、のちにゲームディレクターとして携わってきたのです。その経歴によって、彼は単にストラテジーゲームというジャンルを理解しているだけでなく、『Anno』がどのようにしてトップダウン型の都市建設ゲームを独自の形で表現してきたのかを説明できる、特別な立場にあります。

『Anno 1800』(2019年に高い評価を受けた作品)のように産業革命期を舞台にしている場合も、『Anno 2070』『Anno 2205』のように幻想的な未来を描いている場合も、ライナー氏は、自身が「最高峰のビルダーゲーム」と呼ぶこのシリーズに共通する特徴をすぐに語ることができます。
アノ 117: パックスロマーナ 1
「ゲームそのもの──私たちが定義している構成要素──について話すと、4つの柱があることがわかります」と彼は語ります。「第一の柱は『都市建設』です。つまり『Anno』は常に、白紙のキャンバスのような存在です。サンドボックス型の体験であり、プレイヤーは何もない島から始めます。ですから、土地の管理も重要な要素になります。そして、そこから自分の理想の都市を築いていくのです。どう建設するかは、基本的にプレイヤー次第です。美しい街を作ってもいいし、効率的な街を作ってもいい。あるいは記録に残る街を作ることもできます。本当に、すべてはプレイヤー次第なのです」

今年、私たちは『アノ 117: パックスロマーナ』を数時間プレイし(破綻も経験しながら)、そのサンドボックス体験を自分たちの目で確かめました。プレイヤーは皇帝の命を受け、新たな土地を征服・植民するローマの総督として行動します。ゲームは、ライナー氏の言葉どおり「白紙のキャンバス」から始まり、土の道や住宅、製材所、異教の礼拝所など、あらゆる施設の配置を自分で決めていきます。さらに『アノ 117: パックスロマーナ』では、シリーズ初の試みとして、従来の建物や道路の水平・垂直軸に加えて斜めの配置が可能になり、これまで以上に選択の幅が広がっています。

次に登場するのが経済です。これは、まるでローマの街道を行き交う交易のように、『Anno』全体を流れる血脈のような存在です。

「生産チェーンを構築し、交易路を整備します。この部分は本当に奥が深いのです。プレイヤーが探求できることも多く、人々のさまざまな需要を満たすことができます」とライナー氏は語ります。

こうした基盤の上に築かれているのが、いわゆる「4X」要素です。これは『シドマイヤーズ シヴィライゼーション』『Sins of a Solar Empire』といったストラテジーゲームに見られる要素で、探検(eXplore)、拡張(eXpand)、開発(eXploit)、殲滅(eXterminate)の4つを指します。
アノ 117: パックスロマーナ 2
「私たちは、こうしたすべての要素を4X要素と組み合わせています。探索があり、外交があり、そして戦争も存在します。もっとも、戦争は『Anno』シリーズの核心的な体験ではありません。しかし、これまでも──ある程度の形では──常にシリーズの一部であり続けてきました」とライナー氏は語ります。

「そして私たちは、これらすべてをひとつの本当に没入感あふれる世界にまとめ上げようとしています」と同氏は続けます。「ビジュアル面ではもちろん、オーディオや音楽面でもベンチマークとなる存在を目指しています。技術面においても限界を押し広げるために懸命に取り組んでいます。また、『没入感』という柱の一部には、物語的な層も含まれています。キャンペーンがあり、ストーリー要素があり、その他にもさまざまな要素が盛り込まれています」

『アノ 117: パックスロマーナ』の開発に着手した時点で、ライナー氏は既に「『Anno』ゲーム」を作るために必要な要素を熟知していました。しかし、ローマ帝国という題材をその枠組みに当てはめつつも、既視感のある作品にしないようにする──それこそが最初に取り組むべき課題のひとつとなったのです。
 

すべての道はローマに通ず


マヌエル・ライナー氏をローマという舞台に心惹かせたのは、「平和」と「リサーチ」でした。

「開発初期には徹底的にリサーチを行いました」と彼は語ります。「設定として考えられるあらゆる可能性を掘り下げていく中で、『パクス・ロマーナ』──つまりローマの平和の時代──に辿り着いたのです」
アノ 117: パックスロマーナ 3
ここでライナー氏が指しているのは、ローマ帝国が約二世紀にわたって経験した、比較的平和で安定し、そして領土拡大が続いた時代、つまり本作のタイトルの由来となっている時期のことです。本作のタイトルにある「117年」は、その「パクス・ロマーナ」とローマ帝国の勢力が頂点に達した時期であり、当時ローマ帝国は世界人口の約3分の1を支配していました。

しかし、ライナー氏の心を動かしたのは、帝政ローマの圧倒的な軍事力ではありませんでした。それは、これまで数え切れないほど描かれてきた題材を、新しいものへと変える文化的な可能性でした。

「私たちは、この時代をどのような視点や切り口から描くかを考えました。そして辿り着いたのが、ローマの最盛期──黄金時代──を構成していたさまざまな属州や文化を通してこの時代を見るというアプローチです」とライナー氏は語ります。「この新しい視点──多文化的ローマという、これまで語られることのなかった物語、そしてローマがいかにして二百年以上も帝国を維持し続けたのか──を見出したことで、私たちは一気に興奮しました。ただし、このような明確な方向性を定めた以上、そこには当然、さまざまな帰結も伴います」

この「多文化的ローマ」というテーマは、『アノ 117: パックスロマーナ』における二つの属州に最も明確に表れています。ひとつはプレイヤーにも馴染み深いラティウム、つまり古代イタリアそのものです。もうひとつは、帝国の果てに位置するケルトの湿地地帯、アルビオン。古代ローマを題材にしたストラテジーゲームとしてはあまり踏み込まれてこなかった領域ですが、同様に説得力のある舞台となっています。
アノ 117: パックスロマーナ 4
「私たちはローマという題材における『幻想』をしっかりと描きながらも、既成概念を打ち破るような驚きを加えたいと考えました」ライナー氏は続けます。「そのために、イタリア風のラティウムと鮮やかな対比をなす舞台としてアルビオンを設定したのです。そうすることで緊張感を生み出し、このよく確立され、よく知られた時代に新しい息吹を吹き込みたかったのです」

『アノ 117: パックスロマーナ』として完成することになったこの作品の多くの方向性は、「プレイヤーが既に知っているローマ」から一歩踏み出すという決断から生まれました。そのプロセスの出発点となったのが、シリーズに陸上戦闘を再導入するという試みです。歩兵、弓兵、騎兵、攻城兵器といった部隊が登場し、従来の海戦と並んで展開されます。

『Anno』シリーズでは、この10年間、陸戦要素が姿を消していました。初期作品において一部のプレイヤーにとって扱いづらい要素とみなされたためです。Ubisoftは当初、2019年の『Anno 1800』でこのメカニクスを復活させる計画を立てていましたが、後に方針を転換し、その開発リソースを海戦の再設計に注ぐことを選びました。しかし、「ローマを築く」ことをテーマにしたゲームにおいては、プレイヤーが指揮するローマ軍団の存在は欠かせません。

ライナー氏は語ります。「私たちにとっては最初から明確でした。ローマを舞台にするなら、完全な体験を提供するためにも陸上戦闘を再び導入する必要があります。そしてもう一つ明確だったのは、やる以上は中途半端にせず、プレイヤーが期待するすべてをきちんと実現したいということです。そう、円形競技場は必要ですし、送水路も、ゲームプレイに関連した仕掛けとして登場しなければなりません。これは非常にわかりやすい例だと思いますが、時として『舞台設定そのもの』が、ある要素を必然的に要求することがあるのです。そして幸いなことに、こうした要素は『Anno』のメカニクスとも非常に簡単に結びつけることができました」
 

ローマの拡張がもたらす『Anno』の進化


ライナー氏によれば、『Anno』シリーズの核は今もなお堅牢であり、『アノ 117: パックスロマーナ』はこの長い歴史を持つシリーズを根本から作り変えるものではありません。しかし本作は、これまでの作品よりもはるかに柔軟性を高めており、『Anno 1800』の発売後、長年にわたる拡張開発の中で得られた多くの知見や改良点が、『アノ 117: パックスロマーナ』の発売時から既に盛り込まれています。

「私たちは『Anno 1800』を長い時間をかけて開発・拡張し、その過程で多くのことを学びました」とライナー氏は語ります。「たとえば、以前の『Anno』シリーズ──『Anno 1800』を含め──はかなり直線的な構造を持っていました。これは私たちが変えたい部分です。ゲームをより柔軟に、よりオープンにし、プレイヤーにより多くの選択肢を与えたいと考えました。なぜなら、従来の『Anno』では、プレイヤーが『行き止まり』にぶつかってしまうことがあったからです」
アノ 117: パックスロマーナ 5
ライナー氏は『Anno 1800』を例に挙げました。この作品では、メインキャンペーンを進めるために、ある段階で新たなバイオーム(生態地域)へと移動することが求められていました。しかしその決定は、プレイヤーに「複雑さの乗算」ともいえる負荷を与える結果となっていました。一方、『アノ 117: パックスロマーナ』では、プレイヤーがその複雑さを受け入れて新しい要素に挑むか、あるいはこれまで育ててきたバイオームにとどまり、キャンペーンの進行が行き詰まる心配をせずに遊び続けるかを自由に選択できるようになっています。

またライナー氏は、『アノ 117: パックスロマーナ』ではシリーズ従来よりもゲーム序盤の仕上げに多くの時間をかけたことを明かしました。これは、ジャンル特有の複雑な仕組みに新規プレイヤーが自然に慣れられるようにするための配慮です。さらに、本作にはアクティブポーズシステムが導入されており、時間の進行を止めたまま建築・設計・建物の移動などの操作を行うことができます。これにより時間的なプレッシャーがいくらか解消されました。つまり、プレイヤーは時間を止めて、自分のペースで判断を下せるようになりました。これは、Ubisoftがプレイヤーの声に耳を傾け、要望が多かった機能を取り入れた最新の例といえます。

また開発チームは、プレイヤーが自ら建設を進めて道を繋げなくても、他の属州と容易に連絡を取れるようにしました。この属州間コミュニケーションの効率化は、今後のゲームコンテンツにおいても有望な可能性を秘めています。発売時点の『アノ 117: パックスロマーナ』は、ローマそのものだけでなく、帝国の遥か遠く離れた領域までも包含しています。そして、ライナー氏をこの舞台設定に惹きつけたクリエイティブアプローチは、まさにこれから始まろうとしているようです。リリース後も継続的なサポートと拡張で知られるシリーズであることを考えれば、その可能性を想像するのは容易です。

「まだとてもたくさんの選択肢が残っていると思います」とライナー氏は語ります。「現時点では、最初の1年以降のことはまだ考えていません。今はまずゲームをリリースし、人々がどう受け止め、どんな要望を出してくれるのかを見極める必要があります。とはいえ、今の時点で非常に強い基盤ができていると感じています。たとえば、1年目の終わりを迎えた頃には、イタリアをモチーフにした属州でローマの幻想を完全に体現し、ケルト世界のアルビオンを探索し……そしてエジプトにも到達できるとしたら、どうでしょう?」

「ビルダーゲームとして、これはまさに夢の実現だと思います。私たちはこのソリューションにとても満足しています」

『アノ 117: パックスロマーナ』は11月12日(米国時間)にEpic Games Storeで発売されます。